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ルークの初恋 2-13

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罪悪感と共に小さな安堵がルークの心を彩る。今夜の相手はシャルレの意中の相手じゃない、シャルレがこんなに弱ってるのに、その事実を喜んでいる自分が居た。
そんな自分にも腹がたった。
するりと鏡台から降りると、白い糸を引いているシャルレの陰茎の先に唇を宛がい、軽くすいながら舌を這わせて中に残った精液を飲み込んだ。
体に掛けられた分は、自らから自分の体に塗り込めた。
「俺は貴方の何処にだって口づけをしますよ『貴方が望んでくれるなら』帰って来たら、好きなだけ又俺で遊べばいい」
シャルレが困った様な嬉しそうな笑顔で言った。
「ばかね」
終わった後は始終無言だった。
二人でシャワーを浴びて、着替えて、シャルレはメイクをして、ルークがそれを手伝う。
そしてドアの所までルークが見送る。
「行ってらっしゃいませ」
「うん」
上着を手渡したルークの手が、渡した上着をいつまでも掴んで離せなかった。
「あ、れ?・・・すみません。直ぐ離しますんで」
空いている手で自分の指を無理やり開こうとするのに上手くいかない、焦っているとシャルレの指先がそっとルークの手をなでた。
撫でられたとたんにシャルレの上着を掴んでいた手が緩んだ。
手が離れたら、シャルレは幼馴染だとかいう男の所に抱かれに行く。『嫌だ、行かないで』と泣きすがりたい衝動を必死に飲み込んだ。
「ちゃんと」
「ん?」
「今夜、ちゃんと帰って来て下さい、僕の所に。何しても良いから」
涙を浮かべかけた情けない顔で言った。笑ってみせたかったけど、そんな顔しか出来なかった。
一瞬微かに目を細めてから、シャルレが快活に笑顔で言った。
「言ったわね!覚悟して待ってなさい」
そう言って、ドレスとコートを翻して、後は振り向きもせず行ってしまった。
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