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【R15】番外編
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「で、帰ってきたと。」
目の前に座るガロ座長と奥さんのエリゼさんに事の顛末を一通り話した後、ガロ座長に確認されたのでこっくり頷く。
次の日、僕はカペラ座に帰ってきていた。
「エリゼ、これ俺たち真面目に聞く必要ある?」
「あんた!いくらそうでも本人の前で言うんじゃないよ。」
うんざり顔のガロ座長を肘でエリザさんが突いた。
「もーちゃんと真面目に聞いてよ!未だに週2でシてる2人なら何か妙案があるかと思って相談してるんだから!」
僕は負けじと微妙な態度の2人に食い下がる。
ガロ座長が口に付けたコップの水をぶっと吐き出した。
「っ!?エリゼ何ルネに話してるんだよ!?」
「ごめん、なんか話の流れで……」
エリゼさんがバツが悪そうに言う。
僕はこの問題についてちょくちょくエリザさんに相談していた。
「教えてもらった事色々試してみたけど、ダメだった。」
「そっか。伯爵さんは育ちがいいから、くっつけばすぐに盛ってくるお猿さんとは頭のつくりが違うんだよきっと。」
「誰のことかな!?」
ガロさんが無精髭の散った頬を赤くして叫んだ。
「ルネよぉ、状況は分かったけど家出までしなくても。お前伯爵に無断で勝手な行動したら罰される立場だろ?」
「ガロ座長、世間に疎いなぁ。あれはもうエドヴァル様が貴族典範を改正して無くなったよ。」
僕をダシにしたデモに失敗した反王制派は、今度はこれをきっかけに法律がおかしいと批判し出した。
それを治めるための改正で、妻だけに課される罰則規定が無くなったんだ。
古いこの国も、新しい考えに影響されて少しづつ変わっていくみたい。
「知るかよ。王室と世間のゴタゴタにゃ興味ないね。」
「まあ、ということで、僕はしばらくここに住むから。空いてる部屋ある?」
「二階の突き当たりの部屋。」
「ありがと。」
「待てよ。まだ泊めるとは言ってないだろ。俺は悩んでるなら今すぐ戻って伯爵と腹割って話し合うのがいいと思うがな。拗ねてたって何も変わんないだろうが。」
「でも、それではっきりシたくないって言われたら……。」
「本当にそうか分かんねぇだろ。」
「そうだよルネ。伯爵さんはいつもみたいに照れてるだけだとあたしは思うよ。」
「……違うよ。だって、ジョンは照れてる時はカチコチになっちゃうもん。」
僕は、気づいてしまって一番ショックだったことを口にした。
「今までもちょっとずつ慣れてくれたから、僕だって最初は慣れれば大丈夫だって思ってた。でも、今のジョンは自分の意思で僕の誘いを躱してるとしか思えない。」
それが何故かは分からないけど、どんな理由であれそれは僕とエッチしたくないからするんだろう。
「だとしても、お前がどうしたいかはきちんと伝えたら?」
ガロ座長がいい含めるように言う。
でも……
「ジョンとエッチしたいって言って、もし嫌がられたら……いやだ……」
想像しただけで声が震えて涙が出てきた。
それを見たエリザさんが隣に座って頭を撫でてくれる。
ガロ座長は正しい。いつもの僕だったら、はっきり聞いてると思う。
でも、ジョンに対してだとそれが怖い。
自分がこんなになるくらいジョンを好きになってることを改めて思い知った。
ガロさんはそんな僕を見て頭をガシガシ掻いている。
「全く、お前がここまでなるたぁな。まあ……いいんじゃないか。ちょっと気持ちが落ち着くまでいれば。けど、その間に頭整理しとけよ。帰ったら話し合いできるようにな。」
「分かった。ありがとうガロ座長。」
「客扱いはしないからな。せっかくだから新入りの演技指導してもらうぜ。」
「うん、もちろんだよ。」
家出先に居座りの許可をもらった僕は、空き部屋に荷物を運びに行った。
目の前に座るガロ座長と奥さんのエリゼさんに事の顛末を一通り話した後、ガロ座長に確認されたのでこっくり頷く。
次の日、僕はカペラ座に帰ってきていた。
「エリゼ、これ俺たち真面目に聞く必要ある?」
「あんた!いくらそうでも本人の前で言うんじゃないよ。」
うんざり顔のガロ座長を肘でエリザさんが突いた。
「もーちゃんと真面目に聞いてよ!未だに週2でシてる2人なら何か妙案があるかと思って相談してるんだから!」
僕は負けじと微妙な態度の2人に食い下がる。
ガロ座長が口に付けたコップの水をぶっと吐き出した。
「っ!?エリゼ何ルネに話してるんだよ!?」
「ごめん、なんか話の流れで……」
エリゼさんがバツが悪そうに言う。
僕はこの問題についてちょくちょくエリザさんに相談していた。
「教えてもらった事色々試してみたけど、ダメだった。」
「そっか。伯爵さんは育ちがいいから、くっつけばすぐに盛ってくるお猿さんとは頭のつくりが違うんだよきっと。」
「誰のことかな!?」
ガロさんが無精髭の散った頬を赤くして叫んだ。
「ルネよぉ、状況は分かったけど家出までしなくても。お前伯爵に無断で勝手な行動したら罰される立場だろ?」
「ガロ座長、世間に疎いなぁ。あれはもうエドヴァル様が貴族典範を改正して無くなったよ。」
僕をダシにしたデモに失敗した反王制派は、今度はこれをきっかけに法律がおかしいと批判し出した。
それを治めるための改正で、妻だけに課される罰則規定が無くなったんだ。
古いこの国も、新しい考えに影響されて少しづつ変わっていくみたい。
「知るかよ。王室と世間のゴタゴタにゃ興味ないね。」
「まあ、ということで、僕はしばらくここに住むから。空いてる部屋ある?」
「二階の突き当たりの部屋。」
「ありがと。」
「待てよ。まだ泊めるとは言ってないだろ。俺は悩んでるなら今すぐ戻って伯爵と腹割って話し合うのがいいと思うがな。拗ねてたって何も変わんないだろうが。」
「でも、それではっきりシたくないって言われたら……。」
「本当にそうか分かんねぇだろ。」
「そうだよルネ。伯爵さんはいつもみたいに照れてるだけだとあたしは思うよ。」
「……違うよ。だって、ジョンは照れてる時はカチコチになっちゃうもん。」
僕は、気づいてしまって一番ショックだったことを口にした。
「今までもちょっとずつ慣れてくれたから、僕だって最初は慣れれば大丈夫だって思ってた。でも、今のジョンは自分の意思で僕の誘いを躱してるとしか思えない。」
それが何故かは分からないけど、どんな理由であれそれは僕とエッチしたくないからするんだろう。
「だとしても、お前がどうしたいかはきちんと伝えたら?」
ガロ座長がいい含めるように言う。
でも……
「ジョンとエッチしたいって言って、もし嫌がられたら……いやだ……」
想像しただけで声が震えて涙が出てきた。
それを見たエリザさんが隣に座って頭を撫でてくれる。
ガロ座長は正しい。いつもの僕だったら、はっきり聞いてると思う。
でも、ジョンに対してだとそれが怖い。
自分がこんなになるくらいジョンを好きになってることを改めて思い知った。
ガロさんはそんな僕を見て頭をガシガシ掻いている。
「全く、お前がここまでなるたぁな。まあ……いいんじゃないか。ちょっと気持ちが落ち着くまでいれば。けど、その間に頭整理しとけよ。帰ったら話し合いできるようにな。」
「分かった。ありがとうガロ座長。」
「客扱いはしないからな。せっかくだから新入りの演技指導してもらうぜ。」
「うん、もちろんだよ。」
家出先に居座りの許可をもらった僕は、空き部屋に荷物を運びに行った。
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