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第1章 幼少期編
4 ノスニキ
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その日の昼過ぎ、食事の後で仕事に戻ろうと外廊下を歩いていると中庭から声が響いてきた。
「ほら!でっかくなれ!弱っちい奴め!」
甲高い声に庭を見やれば、ユーリスが中庭に出ている。
その手には石が握られていた。
「ならないとこれぶつけるぞ!ほら早く!」
不穏な叫びによく見ると、ユーリスの正面に小さい灰色の何かが蹲ってるのが見えた。
小型犬か何かのようだ。
反射的に廊下を飛び出して中庭を走る。
「ほらぁ!」
石が投げられる直前、動物の前に飛び出して庇ったが、石は俺の足先すれすれの地面に当たっただけだった。
なんだ、下手くそ。
「なっ、おまえっ……」
ユーリスを無視して背後を確認すると、的になっていたのは小さな子犬だった。
丸まって目を閉じている。
怪我とかはなさそうだけど意識はあるのか?
それにこのダークグレーの毛並みは……
くかかっ
子犬の背に触れて様子を確かめようとしたタイミングで、呑気に大口を開けてそいつがあくびをした。
うん。間違いない。
こいつ進化前のノスニキだ。
ゲームでもユーリスが無茶な命令をするとこのおちょくるようなあくびをよくしていた。
どうやら寝ていただけのようだ。
そう断定して立ち上がり、まだこちらを見ているユーリスに歩み寄る。
「なっ、なんだよ!無礼だぞ!さがれ!」
無視して近づき、左手を振り上げる。
ぺしんっ
その手でユーリスの右頰をはたいた。
利き手じゃないのと軽い力なのはノスニキがノーダメだったから慈悲だ。
「なっ、この僕を叩いたな!」
「それだけの事をしたからです。なぜ無抵抗の生き物に石など投げたのですか。」
「ノスが悪いんだ!いつまでも弱っちいから…ずっと寝てばっかで、僕のいうことも全然聞かない。お、お前に僕の強い守護獣見せてやろうとおもったのにっ」
え、俺のせい?何で?そんな話してないよな?
「坊っちゃま、守護獣にはそれぞれ成長のタイミングがあるのです。今は小さな獣が、いつか随一の獣になる事はいくらでもあります。」
まあ、ゲームの受け売りだけどね。
「でもっ、ノスはっ」
「ノスは坊っちゃまがちゃんと育てれば絶対に強くて偉大な獣になります。私が保証いたします。」
「うそだっ」
「嘘じゃありません。坊っちゃまの守護獣は、誰のものよりすごい守護獣ですよ。」
「うそだ……うそっ、うっ……う゛わああぁぁぁあ゛ーーん!!」
「えっ」
ユーリスの目から蛇口を捻ったみたいにポロポロ涙が溢れた。
「あ゛あ゛ああぁぁぁーーん!!」
「ちょ、坊っちゃま!?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーん!!」
後ろにグースカ寝てるノスニキ、前にわんわん泣くユーリス。
このカオスな状況に気が遠くなった。
「ほら!でっかくなれ!弱っちい奴め!」
甲高い声に庭を見やれば、ユーリスが中庭に出ている。
その手には石が握られていた。
「ならないとこれぶつけるぞ!ほら早く!」
不穏な叫びによく見ると、ユーリスの正面に小さい灰色の何かが蹲ってるのが見えた。
小型犬か何かのようだ。
反射的に廊下を飛び出して中庭を走る。
「ほらぁ!」
石が投げられる直前、動物の前に飛び出して庇ったが、石は俺の足先すれすれの地面に当たっただけだった。
なんだ、下手くそ。
「なっ、おまえっ……」
ユーリスを無視して背後を確認すると、的になっていたのは小さな子犬だった。
丸まって目を閉じている。
怪我とかはなさそうだけど意識はあるのか?
それにこのダークグレーの毛並みは……
くかかっ
子犬の背に触れて様子を確かめようとしたタイミングで、呑気に大口を開けてそいつがあくびをした。
うん。間違いない。
こいつ進化前のノスニキだ。
ゲームでもユーリスが無茶な命令をするとこのおちょくるようなあくびをよくしていた。
どうやら寝ていただけのようだ。
そう断定して立ち上がり、まだこちらを見ているユーリスに歩み寄る。
「なっ、なんだよ!無礼だぞ!さがれ!」
無視して近づき、左手を振り上げる。
ぺしんっ
その手でユーリスの右頰をはたいた。
利き手じゃないのと軽い力なのはノスニキがノーダメだったから慈悲だ。
「なっ、この僕を叩いたな!」
「それだけの事をしたからです。なぜ無抵抗の生き物に石など投げたのですか。」
「ノスが悪いんだ!いつまでも弱っちいから…ずっと寝てばっかで、僕のいうことも全然聞かない。お、お前に僕の強い守護獣見せてやろうとおもったのにっ」
え、俺のせい?何で?そんな話してないよな?
「坊っちゃま、守護獣にはそれぞれ成長のタイミングがあるのです。今は小さな獣が、いつか随一の獣になる事はいくらでもあります。」
まあ、ゲームの受け売りだけどね。
「でもっ、ノスはっ」
「ノスは坊っちゃまがちゃんと育てれば絶対に強くて偉大な獣になります。私が保証いたします。」
「うそだっ」
「嘘じゃありません。坊っちゃまの守護獣は、誰のものよりすごい守護獣ですよ。」
「うそだ……うそっ、うっ……う゛わああぁぁぁあ゛ーーん!!」
「えっ」
ユーリスの目から蛇口を捻ったみたいにポロポロ涙が溢れた。
「あ゛あ゛ああぁぁぁーーん!!」
「ちょ、坊っちゃま!?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーん!!」
後ろにグースカ寝てるノスニキ、前にわんわん泣くユーリス。
このカオスな状況に気が遠くなった。
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