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5,(エロ)
しおりを挟むそうして私とアルの恋人としての生活が始まった。
と言っても、昼間は私の執務やアルの勉学や武術の鍛錬があるから合間にいつもより近い距離で過ごすくらいしかないのだが。
「はぁ……いい匂い。好き。」
午前の仕事がひと段落して、休憩に誘われた。アルは庭の木にもたれて座り、私はそれに背後から抱きしめられながらもたれている。
春先の庭は決して寒くないが、高い体温が背中から伝わってくるのは何だか心地いい。
アルは私の肩までおろした黒髪に顔を埋めるようにしてうなじに鼻を突っ込み何度もすんすんと匂いを吸った。
別に香水も何も着けていないというのに何を嗅いでいるのだろう。
「別に何の匂いもないだろう。」
「するよ。ルーデリヒの匂い。」
よく分からないが気に入っているようなので好きにさせておくか。
じっとしている間手持ち無沙汰で、私の腹の前で組まれた手の甲をさらりと撫でる。
途端に手が動いて、私の両手を捕らえて指を絡めてきた。
だいぶ男らしくなった長い指を、絡んだ自分の指でするするさする。
「あー……どうしよう。」
背後で吐き出すような声がして腰がモゾっと動いた。
重なった腰からアルのものが勃っているのが伝わってくる。
この陽気な日に庭でのんびりしていてもとは、流石イオの血を引いた才気ある淫魔だ。大変健康的でよろしい。
「アル、我慢する必要はない。寝室に行こう。」
起きあがろうとするが、手を絡められたままぎゅっと抱き寄せられて立ち上がれない。熱いアルの体。それよりさらに熱い中心がより近く感じる。
「いい。もっとこうしてたい。」
「しかし、お主は淫魔なのだぞ?」
魔族が本能に逆らうのがどれほど辛いことか。現にアルの息が徐々に荒くなっているのは興奮だけじゃないはずだ。
「……ルーデリヒは、俺が淫魔だから、恩人の子供だから、触らせてくれるの?」
額を私の首筋に埋めてアルが尋ねる。
「何を言っている。アルが大事だからであろう。」
「……ルーデリヒのバカ。」
本心で言ったことを罵倒された。
この年頃の男子は難しいな。
「アルの好きなようにしたら良いが、無理はするでない。」
後ろを振り返って頬にキスをする。
見つめれば、皮膚が赤く熱に浮かされたような表情でやはり本能を我慢するのが辛いと見える。
「ルーデリヒはさ、俺が触ったり、俺にキスしたりしてドキドキする?」
「うむ、するぞ。触ってみよ。」
私はアルの手を胸に導いて服越しに触らせた。魔力を使って心拍数を早くしてから。
「……嘘つき。」
しばらく私の胸に手を置いた後にアルが呟く。バレてしまった。流石にわざとらし過ぎたか。
アルが一気にむくれ顔になる。
「いいよ。ルーデリヒがそんな態度なら、俺も何でもするから。」
そう言って私のシャツのボタンを外し始めた。胸元をグッと開いて晒させると、二つの乳首にそれぞれの手で触れる。
「アル、いたすのならベッドにせぬか。」
「ここがいい。」
アルの指先が、私の両の乳首の先端を絶妙な力加減で擦る。
「っふ……」
慣れない感覚に思わず声が漏れた。
すり、すり、と擦られる度にくすぐったい感覚と微かな快感が湧き上がる。
「ルーデリヒ、乳首の感度上げて?できるよね?」
「む?」
「ね、そしたら俺、エッチなルーデリヒに我慢できなくて淫魔の本能で抱いちゃうかも。」
熱のこもった言葉に、困惑しながらも言われた通りに体を調整して乳首の感度を少し上げた。
すり、すり、すり、すり
「っ……ぁっ……」
さっきと同じ触れ方なのに、さらに強い快感が走る。
「さっきより気持ちいい?」
私は息を乱しながら頷いた。
当たり前だ。アルに言われてそうしたんだから。
「これは?」
アルが乳首全体を三本の指で摘んで撚るように捏ねた。感度の上がった部分全体が擦られて更に強い刺激に晒される。
「くっ……っはぁ……」
「可愛い、ルーデリヒ。もっと感度上げて?」
「っ、も……もっと、か?」
「うん、どんどん本能強くなってきた。あと少しかも。」
「そうか……あっ、あっ……んんっ……」
強請られるまままた感度を上げたら、自分でも思ったより甘い声がでた。思わず下唇をかんで耐える。
「声我慢しないで。気持ち良くなってるの聞きたい。」
アルが言って身を乗り出し私の唇をチロリと舐めた。
力の入った唇の合わせ目に舌を押し込まれて口を開かされる。
すりすり、くにくにくにっ
感度の高まった先端を、指はひたすら優しく同じペースで擦った。
私の一番高まる強さと速さが、まるでアルには分かっているようだ。
「っあぁ……ふっ、ああぁ……っはぁ……あぁっ、くっ、あぁぁっ……はぁ」
気持ち良くて体がびくびく跳ねると、たまに乳首が強く指に擦れて更に気持ちよくなってしまう。
「声エロ……。もっと聞きたい。もっと乳首の感度上げて。」
耳たぶにキスをしながら囁かれる。
「も、もっと……?あっ、っはぁ……も、よい……だろう?ふっ……っぁ……」
アルの中心は十分性交できる状態のはずだ。これ以上私が乱される理由などない。
「だめだよルーデリヒ、もっと気持ちよくならないと。俺のこと欲しがって、俺とエッチすることしか考えられなくならないと。」
「し、しかし……これ以上は、あっ……はしたなく、なってしまう。っんん……」
これはアルのためで、アルにとって一番を考えなくてはならぬのに。自分の欲望の歯止めが効かなくなってしまうのではないか。
「なるんだよ。これから俺のちんぽ突っ込まれたくて強請るようにルーデリヒはなるの。わかる?それが淫魔とセックスするって事だから。」
「あ、アル……うぁ……はぁ、手、止め……」
話してる最中も、アルはずっと絶妙なタッチで敏感になった乳頭を責めてくる。熱に浮かれた頭にアルの言葉が染み込んでいくようだ。
「ルーデリヒはさ、どうせ俺の成長に付き合ってやるかくらいにしか思ってないんでしょ。」
すり、すり、すりすり、こすこすこす
「アルっ……あっ、も……やぁ」
「ほら、感度上げて。俺に乳首気持ちよくされてはしたなく喘ご。」
私はアルに言われた通りに更に体の感度を上げた。
「あああぁっ……ちくびっ、も……だめぇっ!!ああぁ……あ゛っ……」
触れられた場所から脳を焼き切るような快感が走り、私は思わず口走っていた。
それで手が止まることはなく、背中を反らせて突き出すようになった乳首をずっとアルが弄ぶ。
指先で先端を引っ掻くような動きは変わらないのに、そのずっと送られる刺激が堪らない。
「ひゃぁっ……ああぁっ、やら、やらぁ……あっ、だめ……だめだめだめ……やあぁぁっ……」
「イきそう?」
「はぁ、あっ……イっイくぅ……、何か、きてるっ……」
襲いくる何かを感じて、私が覚悟を決めた時、すっと刺激が止んだ。
「あっ……」
乳首から離れた手がぎゅっと私を抱きしめる。アルの体温に、高められた体にぶわりと烈情が広がった。
「はぁ、大好き……。やっぱりルーデリヒが俺を好きになって両想いになったら、ちゃんと愛し合おう?イくのはその時に一緒にね。今日はいっぱい感じてくれてありがとう。」
赤く蒸気した、何かを堪える辛そうな表情でアルが言う。
そして私の乱したシャツを丁寧に整え始めた。
「あ、アル……?」
まだ高ぶり、絶頂を求めて疼く体で名前を呼ぶ。
「ん、どうしたのルーデリヒ、喉乾いた?」
アルが私の指先にキスをする。
その瞳は純粋そのものだ。
「いや…………いや、大丈夫だ。」
私は仕方なく自分の体の昂りを魔力で沈めた。
全くスッキリはしない。
アルは私を丁寧に執務室までエスコートして去っていった。
その後実務が全くと言っていいほど手につかなかったのは言うまでもない。
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