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6,(エロ)
しおりを挟む夜になって、寝室にアルが訪ねてきた。
扉の前に立つ姿を見ただけで鼓動が少し早くなる。
昼間のことが頭に浮かぶのを自制して招き入れた。
「やはり、夜は本能が強くなって辛いか?」
ソファに座らせて隣に寄り添う。
「違うよ。俺は好きな人と少しでも一緒にいたいだけ。」
真っ直ぐに見つめ返されて、正面からその視線を受け止めることができない。少し前ならその可愛らしさに頭の一つでも撫でていただろうに。
「そうか。」
私は視線を逸らし膝に置いた自分の手を見た。
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「ルーデリヒ、俺のこと意識してる?」
「な……。」
言い当てられた気まずさに思わず否定しようとして、ふと気がつく。
アルは私がアルに恋をしないと抱かないと言っている。
なら、正直に言わねばならないのではないか。
「うむ、そうだな。お主といると今は胸が高鳴る。」
そう言えばアルが握っていた手を離し私の胸に触れた。
昼間の快感を思い出して体が身構える。
ぺたり、と胸板に手のひらを押し当てて少し撫でた。私の素のままで速い鼓動を感じているのだろう。
「……本当だ。嬉しい。」
本当に嬉しそうに笑うアルを見て、私は更に気恥ずかしさに襲われた。
しかしこれでアルの条件は満たしたはずだ。
早く私との性交で淫魔としての本能を満足させてやらないと。
「うむ。さらばアルよ、私を……抱くが良い。」
後半はぎこちなくなってしまった。
アルがそれを聞いてまた笑う。とても可愛い。抱き寄せたい衝動にかられる。
「俺、ちゃんとルーデリヒに好きになってもらうまで頑張る。どうしたらいいかは少し分かったし。」
「む?」
「やっと意識してもらえて良かった。今日もいっぱいルーデリヒを気持ちよくするから、早く俺を好きになってね。」
まて、と止める間もなくいつの間にか私の体格に追いついたアルがひょいっと私を抱き上げベッドに運ぶ。
「アル、聞け。私はもう多分割とお主が好きだ。」
だからもうよいではないか。
そう言外に言えばアルは不満げな顔をした。
「多分?割と?それでルーデリヒは誰かに体を許すの?」
「まさか。私が抱かれてもよいと思うのはアルだけだ。」
「そ、そうなの?」
すぐに機嫌を直したような顔をする。
「当たり前だろう。今までは必要無かったからな。しかし、今はアルの本能を満たすために必要だ。」
「もー!だからそうじゃないんだって!」
ベッドに横になる私の顔を跨ぐように両手をつき上から見下ろしてくるアル。
「必要か不要かじゃなくて、したいかしたくないかだよ、ルーデリヒ。」
言った直後に、顔がゆっくり降りてきた。
見上げていると私の唇にアルのものが重なる。
最初は丁寧に形を合わせるように優しく押し当てられ、次第に唇を愛撫するような動きをし始めた。
ちゅっ、くちゅり……ぴちゃっ
「っ、はぁ……んっ……」
舌が口内に割入ってきたのも自然な流れで、上顎や舌の付け根をチロチロなぞりながら犯すように唾液を流し込んでくるアルの手管にすぐに骨抜きになってしまう。
気がついたら自分からもアルの舌に熱心に絡めて応えていた。
「ルーデリヒ、俺とキスするの好き?」
散々お互いを味わった後、ぷちゅっと水音をたてて離れたアルが尋ねてくる。
指で拭われて初めて、溢れた唾液が顎を伝っていたと知った。
息が上がってすぐには返事ができない。
「……うむ。気持ち、よかった。」
本当に。アルよ、巧すぎないか?
まさか私以外抱きたくないなどと言っておきながらキスはたくさん経験済みなのではあるまいな。
相手は誰だ。
……いや、なにを考えているんだ私は。
「ルーデリヒ?」
「な、なんだ。」
「俺と、キスよりもっと、気持ちいいことしたい?」
私だけをまっすぐ見つめてくる瞳。
最初は、意味を失ったこの生を現世と繋ぎ止める一本の細い糸でしかなかった。
しかしアルが成長するまでの時間を共に過ごすうちに、私にはこの瞳しか見えなくなっていたのかもしれない。
思い返せばもうずっと前から、私はこれに逆らえないのだ。
「したい。……アル、愛している。」
アルの両頬を包み込むように手を添えて驚きに見開かれる美しい眼を見つめ返した。
そのままゆっくり自分から唇を重ねる。
すると次の瞬間に腰に腕が回り強い力で抱かれて抱き寄せられた。
キスも深くなって、押し付けられる唇を受け止める。
しばらくしてぴったり密着していた体が離れた。
「愛してる。ルーデリヒ、愛してる。好き。好き……。」
呟きながら私のガウンの合わせを解く。
さらされたシャツごしに胸を手のひら全体でさらりとなでた後、既に軽く主張を始めていた突起の一つをきゅっと摘まんだ。
「昼間したみたいに感度上げて?」
側面を指の腹でするように捏ねられて快感が走る。昼間のことを思い出すと、じわっと頭がしびれる感覚がした。
「し、しかし……」
アルにはしたない姿を見せることになる恥ずかしさでつい抵抗してしまう。
しかし、指先で敏感な乳頭をすりすりされ続けてだんだん思考も麻痺してきた。
「気持ちよくなってるルーデリヒが見たいな。ね、お願い?」
「んっ……あっ……はぁ、だめだっ……これはぁ……」
結局また強請られるまま、私は自分の体をアルが望むように作り替えた。
途端に快感が増幅して頭を埋め尽くす。
気持ちよすぎるのを加減してほしくて、被さっているアルの顔を見上げて眼で訴えた。
「あーもう可愛い可愛い可愛い可愛い。もっと気持ち良くしてあげるね。」
アルの唇が、触られていない方の粒に降りてくる。
違う、加減してくれ。
「あっ……やめ……」
両手で顔を押し返そうとして、手首をひとまとめに掴まれて頭の上に押しつけられた。
「嫌がらないで。」
力ずくならすぐに逃げ出せる拘束なのに、アルが囁くだけで縫い付けられたように動けなくなる。
「も、いらぬ……おかしくなりそうだ。」
「ルーデリヒ、分かってる。大丈夫だよ。」
宥めるように言われて少しホッとした。加減してくれると思ったから。
「おかしくなっちゃっても、ずっと愛してるからね。」
言葉に反応する前にアルの唇がかっぷり私の乳首を乳輪ごと覆った。
望まれるままアルのために感度を高めたそこがぢゅうっと吸われて頭を突き抜けるような気持ちよさが体に広がる。
「ひああああっ……あ゛っ、はぁあぁっ……」
濡れて弾力のある舌が過敏になった片方の粒を弾いて転がし、もう片方は指が絶妙な力加減で凝った表面を擦りあげた。
シャツの布が敏感な皮膚にすれる感触がたまらない気持ちになる。
逃げたくても両手が押さえつけられていて、快感の逃しようがない。
唯一動かせる腰を前後に揺らすと、アルの股間の怒張が当たった。固いものが当たる感覚で、自分のものも興奮しているのがよりはっきりわかる。
ちゅっ……チュばっ、ずずずっ
かしかしかし、くにくに
「あっ、やらぁ……だめだっ、だめっ……あっ、あっ、だめぇ……っ」
乳首を嬲られているだけで襲ってくる絶頂感が背徳的で恥ずかしい。
なのにもう少し、という所で愛撫が止んだ。
「ぁ、アル……なん、で……」
「なにが?」
アルはゆっくりした手つきで私の脇や腹の皮膚を撫でながらシャツを脱がせていく。
同時に自分のシャツも脱ぎ捨ててしまった。
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「……っ、イかせて、くれ」
言ってから羞恥心で消えたくなった。
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