【R18BL】稀代の龍葬騎士長がコブ付き令息に捧げる必死の求婚

ナイトウ

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朝、騎士学校の正門では相変わらず目障りな番人がこっちを見るなり笑いかけてくる。

「ねえ、邪魔なんだけど。」

僕は門番に近づくと、ほんの少し道路側にはみ出したその大きな足を自分のつま先で小突いた。

「ああ、おはようマル。元気か?」

端正な顔に見下ろされてイラっとした。
確かに僕は人より頭半分背が低いから、大半の男は僕を見る時目線が下がる。
加えてこの門番のゾックは人より頭一個背が高いから、余計に自分の小ささを実感させられるのだ。

気に食わない。

僕はどんなに体格にハンデがあっても勘当覚悟で父さんに頼み込んで国の栄誉である龍葬騎士を目指す志があるのに、こいつはこんなに背が高くてがっしりと筋肉もある恵まれた体で絶対にすごい騎士になれるのに、日がな門の前でぼうっとしている。

「気安く話しかけないで。僕は王国最高顧問の三男で侯爵家の人間なんだから。お前ごときが話しかけていい相手じゃないの。」

いつものセリフを今日も吐き捨てて門を潜った。
少し歩いてチラッと振り返れば、目が合ったゾックが嬉しそうに手を振ってくる。
そこからあえて態とらしく首をぷいっと背けて校舎に向かった。
あれだけ言われても僕の家が怖いからかずっとヘラヘラしている。門番しかできないような国の役立たずだから。格好悪い。
そうだ。あいつは格好悪い。顔とか体とか、別に格好いいと思ったことないし。
さっきも別に怒ってるか気にしてやつを振り返ったんじゃない。
意気地なしの馬鹿面見てやっただけ。
毎日いちいち話しかけるのも、別に話したいとかじゃなくて見てると腹が立って何か言ってやらないと気が済まないからだ。

「ふん、あんなやつ。」

僕はそう誰ともなしに言い聞かせながら校舎に入った。



僕の暮らすヘプテンベルグは、7つの龍郷に囲まれた王国だ。

龍郷はドラゴンの生息地で、ヘプテンベルグはその恩恵と脅威を受けながら優秀な龍使いをたくさん持つ大陸の中堅国家として発展してきた。

ドラゴンにも様々な種類がある。
家畜化出来て使役動物や食用になる種、皮や牙が素材になる種なんかは、うまく繁殖させたり飼い慣らしたりして生活に役立てている。
人に攻撃的な種もいて、そういう種が人間の生活圏に入ってくれば退治をする。

龍使いとは色々な分野におけるドラゴンの専門家で、龍葬騎士もそのうちの一つだ。
人間に害をなすドラゴンを退治する専門集団で、武力を持つから今は国が一元的に配下に置いて管理している。
要は国有軍の一部門だ。

僕は本来なら文官の家系である侯爵家の人間として宮廷官僚になるはずだった。
でも、勇ましく大型ドラゴンに挑む仕事に憧れて、父さんをどうにか説得してこの騎士学校に入ったのが半年前。
他の貴族で編成されてる王立騎士部隊と違って、龍葬騎士は身分に関係なく志願者を募る組織だから本当に説得には骨が折れた。
今ではどうにか騎士見習いとして日々訓練に励んでいる。

実際家族が心配したとおり、周りの生徒や教師は食い扶持を求めて入った貧しい家庭出身や荒っぽい性格がこうじてドラゴン退治したがってる人間ばかりだから、僕は学校で浮いた存在ではある。

でも親の名前を出せばちょっかいかけてきた奴らはだいたいすっこんでったし、一度上級生に体を触られて無理やり服を脱がされそうになった時もそいつは捕まって除籍になった。
何で僕の服なんて脱がそうとしたんだか分からないけど、ちょっとふざけたばかりに厳しい処罰をされて哀れなやつだ。

更にその後彼が行方不明になったなんて噂が広まってからは、誰からも絡まれすらしない。
僕がいちいち警告しなくてもみんなが僕の家を怒らせるようなことをしなくなってよかったと思う。

そういえば、あのとき何故か現れて上級生を僕から引き剥がしたのはゾックだったな。
たまたま通りかかったらしいけど、ちゃんと門の前にいることすら出来ないとか本当無能だ。

ゾックの事を思い出すとまたイライラしてくるので、僕はさっさと訓練服に着替えて剣術の授業を受けに訓練場に向かった。

剣術の訓練は中々キツい。
僕は小柄だからリーチも短いし、鍛えてもすぐに筋肉がつかない体質で力もまだ弱い方だから長剣の重さに人より影響を受ける。

「先生!僕のフォーム指導してください!」

言われた型を実践してもどうにも体の捌きがしっくりこなくて、無駄かもなと思いながらも教師にお願いして目の前で型をやってみせる。
何度やっても、右足を着地させるときに体幹がぶれている感じがする。
これじゃあドラゴンに飛びかかって逆鱗に攻撃する時にうまく踏ん張れないだろう。








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