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転生したら賢者ポジだったけど魔王激推し《Sideジーク中編》1
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傾向: オナニー、精神的NTR(100%勘違い)、嫉妬、トコロテン
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自室に1人閉じこもって意識を集中する。
空間の隅々にまで力を行き渡らせるイメージを強く持ちながら結界を張る呪文を詠唱し、念入りに壁を術で覆った。
ぴっちり空間が塞がれたのを確認して閉じていた目を開ける。
最近の朝の日課を終え、ぐるっと肩を回した。
アイツが引っ越してきた初日、ぶっ倒れた理由を聞いても分からないと答えるだけだった。
けど、その話題からしきりに話を逸らそうとする様子は少し不自然で、何かを隠しているように見えた。
だから何となく気付いた。
倒れた理由を言わないのは俺に原因があるからじゃないかって。
そう考えてみて、浴室に残っていた闇のオーラに思い至る。
光属性と闇属性は魔術としてはお互いに弱点の関係だ。
正面切って悪意のある力に触れなければ普段の生活に影響は無いが、あの部屋には俺が慣れてしまって気付かなかった闇のオーラが残っていたんだろう。それで扉を開けた瞬間アイツはそれにあてられてしまったんじゃないだろうか。
光属性にとって闇属性が弱点だと言っても、耐性の強弱は人それぞれだ。
アイツが特に闇属性への耐性が弱いんだとしたら……
今後絶対にアイツの居住空間に闇の力が入り込んだらいけない。
お、俺が、アイツを守ってやる。
自分の力はうっかり漏らさないよう気をつけるとして、問題は父さんだ。
あの野郎気まぐれに瘴気だの低級霊だの下級魔だのをバカスカ送りつけてくるから、それを見逃さないようにしないと。
室内には闇の力を惹きつける術式を重ねがけした。
これで近づいた闇のものはみんなこの部屋に溜まるから共有スペースは安全だ。
万一結界が破れた場合に備えてサイドチェストに置いた空間記録装置も作動させておいた。
こうしておけば俺が留守の時にこの部屋に何か湧いてもその動きが追えるからだ。
よしと思った所で図ったようにドアがノックされる。
「リンドラント君、おはよう。」
「……ああ。」
毎朝アイツが俺に挨拶をしてくる現実が夢みたいだ。今ちゃんと普通の声を出せてるだろうか。
「私は今から学校に行く。」
「そうか。」
「……君も行かないか?」
「……まだ行かない。ほっとけ。」
「そうか。早くにごめん。先に行くから、戸締り頼むよ。」
あっさり引き下がったヤツは部屋を後にしたらしい。
バタンと玄関の閉まる音がした。
同室になってから毎日律儀に登校時誘われるけど断っている。
アイツが部屋の前にいるときにうっかりドアなんか開けたらまた俺が気付かない闇の力に当てられて倒れるかもしれない。
でも、一緒に学校に行けたらどんな感じだろう。
明日は先にリビングに出て待ってようか。
……いや、何だそれ待ち伏せじゃん気持ち悪い。
それにどうせ向こうは社交辞令で誘ってるだけだから、俺が応じることなんて別に求めてないだろ。
1人で首を振って浮ついた考えを打ち消す。
遅刻ギリギリまでもんもんとして、学校に向かった。
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自室に1人閉じこもって意識を集中する。
空間の隅々にまで力を行き渡らせるイメージを強く持ちながら結界を張る呪文を詠唱し、念入りに壁を術で覆った。
ぴっちり空間が塞がれたのを確認して閉じていた目を開ける。
最近の朝の日課を終え、ぐるっと肩を回した。
アイツが引っ越してきた初日、ぶっ倒れた理由を聞いても分からないと答えるだけだった。
けど、その話題からしきりに話を逸らそうとする様子は少し不自然で、何かを隠しているように見えた。
だから何となく気付いた。
倒れた理由を言わないのは俺に原因があるからじゃないかって。
そう考えてみて、浴室に残っていた闇のオーラに思い至る。
光属性と闇属性は魔術としてはお互いに弱点の関係だ。
正面切って悪意のある力に触れなければ普段の生活に影響は無いが、あの部屋には俺が慣れてしまって気付かなかった闇のオーラが残っていたんだろう。それで扉を開けた瞬間アイツはそれにあてられてしまったんじゃないだろうか。
光属性にとって闇属性が弱点だと言っても、耐性の強弱は人それぞれだ。
アイツが特に闇属性への耐性が弱いんだとしたら……
今後絶対にアイツの居住空間に闇の力が入り込んだらいけない。
お、俺が、アイツを守ってやる。
自分の力はうっかり漏らさないよう気をつけるとして、問題は父さんだ。
あの野郎気まぐれに瘴気だの低級霊だの下級魔だのをバカスカ送りつけてくるから、それを見逃さないようにしないと。
室内には闇の力を惹きつける術式を重ねがけした。
これで近づいた闇のものはみんなこの部屋に溜まるから共有スペースは安全だ。
万一結界が破れた場合に備えてサイドチェストに置いた空間記録装置も作動させておいた。
こうしておけば俺が留守の時にこの部屋に何か湧いてもその動きが追えるからだ。
よしと思った所で図ったようにドアがノックされる。
「リンドラント君、おはよう。」
「……ああ。」
毎朝アイツが俺に挨拶をしてくる現実が夢みたいだ。今ちゃんと普通の声を出せてるだろうか。
「私は今から学校に行く。」
「そうか。」
「……君も行かないか?」
「……まだ行かない。ほっとけ。」
「そうか。早くにごめん。先に行くから、戸締り頼むよ。」
あっさり引き下がったヤツは部屋を後にしたらしい。
バタンと玄関の閉まる音がした。
同室になってから毎日律儀に登校時誘われるけど断っている。
アイツが部屋の前にいるときにうっかりドアなんか開けたらまた俺が気付かない闇の力に当てられて倒れるかもしれない。
でも、一緒に学校に行けたらどんな感じだろう。
明日は先にリビングに出て待ってようか。
……いや、何だそれ待ち伏せじゃん気持ち悪い。
それにどうせ向こうは社交辞令で誘ってるだけだから、俺が応じることなんて別に求めてないだろ。
1人で首を振って浮ついた考えを打ち消す。
遅刻ギリギリまでもんもんとして、学校に向かった。
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