春秋花壇

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純白

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純白

雪が降りしきる冬の朝、少女は目を覚ました。窓の外は一面の銀世界。太陽の光が雪に反射して、眩しいほど白く輝いている。

少女は部屋を出ると、静寂に包まれた庭へと足を運んだ。雪を踏みしめる音だけが聞こえる。息を吐くと、白い霧が空中に立ち上る。

少女は目を閉じて、雪の冷たさを肌で感じた。純白の世界は、まるで何もかもが洗い流されたような清々しさを感じさせる。

少女は雪だるまを作ることにした。雪玉を転がしながら、子供の頃の無邪気な気持ちを思い出した。

雪だるまが完成すると、少女は雪だるまに帽子とマフラーを巻いてあげた。そして、雪だるまの鼻にニンジンを挿した。

雪だるまは、少女の笑顔を見つめているようだった。

少女は雪だるまの前で、しばらくの間雪と戯れた。

雪の結晶は、一つ一つが美しい模様をしていた。少女は雪の結晶を手に取って、じっと見つめた。

雪の結晶は、少女の体温で溶けていく。

少女は雪の結晶が溶けていく様子を、どこか寂しそうに見つめた。

しかし、少女はすぐに気持ちを切り替えた。

雪はまた降り積もるだろう。そして、また雪だるまを作ることができる。

少女は雪だるまに別れを告げ、家へと戻った。

家の中では、暖炉の火が燃えていた。

少女は暖炉の火の前で、温かいココアを飲んだ。

窓の外では、雪が降り続けている。

少女は雪景色を眺めながら、純白の世界に思いを馳せた。

純白の世界は、少女に希望を与えてくれる。

雪が溶け、春が訪れる。そして、また新しい世界が始まる。

少女は、純白の世界に未来を託した。
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