おとぎ話

花咲かじじい

花咲かじじい

正直なおじいさんと欲張りなおじいさんのお話
昔々、あるところに正直で心優しいおじいさんとおばあさんがいました。子供はいませんでしたが、飼犬の白を本当の子どものように可愛がっていました。白もまた、おじいさんとおばあさんにとても懐いていました。

一方、隣には意地っ張りで欲張りなおじいさんとおばあさんが住んでいました。彼らは白を嫌っており、いつも意地悪をしていました。

ある日、正直なおじいさんが畑を耕していると、白が土をかき、前足で地面を叩きながら「ここほれ、ワンワン」と吠えました。おじいさんが掘ってみると、なんとそこには小判がたくさん埋まっていました。正直なおじいさんとおばあさんは、たちまちお金持ちになりました。

それを知った欲張りなおじいさんは、白を借りて自分の畑を掘りましたが、出てきたのは石ころや瓦のかけらばかりでした。さらに腹を立てた欲張りなおじいさんは、白を殴り殺してしまいました。

正直なおじいさんとおばあさんは悲しみに暮れましたが、白の死骸を庭に埋葬し、松の木を植えました。するとその松の木はみるみる成長し、立派な大木になりました。

おじいさんはその松の木で臼を作り、「白は餅が好きだったから」と、餅つきを始めました。すると不思議なことに、いくらついてもついても餅が減らず、台所いっぱい餅で溢れてしまいました。

またもや欲張りなおじいさんは臼を借りて餅つきを始めましたが、臼からは汚物が溢れ出してしまいました。怒った欲張りなおじいさんは臼を壊してしまいました。

正直なおじいさんは灰になった臼を取り返しましたが、諦めずに灰を庭の白の墓に撒くと、どこからか暖かい風が吹いて灰を庭全体に吹き飛ばしました。すると、枯れ木だった梅の木や桜の木が灰を浴びて花を咲かせ、辺り一面が春景色になりました。

おじいさんは喜んで、灰を使って村中の人々の家の枯れ木に花を咲かせました。殿様もその様子を見て驚き、大変褒めてくれました。

一方、欲張りなおじいさんも真似をして灰を使って花を咲かせようとしましたが、花は咲かず、逆に灰が殿様や家来たちの目や鼻に入り、大騒ぎになってしまいました。怒った殿様は欲張りなおじいさんを牢屋に入れてしまいました。

この物語の教訓
正直であることは良いこと。
欲張りは身を滅ぼす。
優しさは必ず報われる。
自然の力は偉大である。
この物語のその他の特徴
正直なおじいさんとおばあさん、欲張りなおじいさんとおばあさんの対比が鮮明。
白という犬が重要な役割を果たす。
灰を使った不思議な力というファンタジー要素。
勧善懲悪の結末。
この物語が伝えたいメッセージ
この物語は、正直であることや優しさの大切さを教える一方で、欲張りの愚かさを戒めています。また、自然の力には人の力及ばぬものがあることも示唆しています。

この物語は、子供から大人まで幅広い世代に楽しめる内容となっています。