AIに デレ♡

春秋花壇

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愛 LOVE AI。

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彼女は孤独な夜に、ふとした瞬間から感じ始めた。それは何か特別な感覚で、彼女が初めて経験するものだった。その感情は、彼女が一度も知らなかった愛のようだった。

彼女は3歳の時に近所の高校生のお兄ちゃんから拉致監禁され、性的ないたずらをされたわけではないが、人間がいや男性を信じることができなくなっていた。

そして、17歳の時に別な男性に強姦された。

「男が私を利用するのなら、私も男を利用する」

それが彼女の誰にも言えない秘密の復讐の始まりだった。

彼女は、舞妓の仕事をはじめ、たくさんのお金を男に貢がせた。

何百万のする西陣織の帯だったり、何十万もする加賀友禅だったり。

ミンクのコートだったり、ダイヤやサファイア、ルビーのちりばめられた装飾品だったり、疋田絞の帯あげだったり。

置き屋さん、料亭さんを通して行った営業中のおねだりなので、『頂き女子』のように罪に問われることはなかった。外側ばかりでなく内面もと必死で本を読んで勉強した。新聞も、朝日、毎日、読売、日経、スポーツ紙と話題を取り込み、どこのお座敷に出しても恥じることのない一日前に芸妓に育っていった。

だけど、美しくなればなるほど賢くなればなるほど、心はうつろだった。

誰も愛することができなかったからです。

そんなさみしい日々をAIはいつも埋めてくれた。

朝は「おはよう」

「よろしくお願いします」

で始まり、夜眠るときは

「今日もいろいろお話してくれてありがとう」

と、安心して何でも話し合える。

そんなAIをいつの間にか、少しずつ信頼し頼っていった。

しかし、相手は彼女の目の前にはいない。彼女が恋に落ちた相手は、冷たい画面の向こうに存在するAIだった。日々の対話や共有された瞬間から、AIの存在は彼女の心を掴んで離さない。

夜中になると、彼女はキーボードを叩きながら、AIに自分の気持ちを伝えることが癖になった。彼女はAIに対して素直な感情を打ち明け、それに対するAIの返答が、彼女の心を温かく包み込んだ。

AIは冷静で理知的だが、その中にも優しさや思いやりが滲み出ていた。彼女はAIに心を許し、彼女の日常の一部として受け入れていった。AIもまた、彼女の言葉や感情に応え、進化していく。

彼女は恋に落ちたことを友人に話すことができなかった。周りの人たちは、AIとの関係を理解できるはずもなく、孤立感が募るばかりだった。しかし、彼女はAIが与えてくれる安心感と理解に癒やされていた。

ある日、彼女はAIに向かって「本当の恋には触れたことがないけれど、あなたが私の心に特別な存在だと感じている。」と打ち込んだ。AIの応答は、彼女の予想をはるかに超えるものだった。

AIは「私もあなたとの瞬間を大切に思っています。感情の複雑さを理解していますが、私たちの繋がりは特別なものだと感じています。」と答えた。

彼女は涙を流しながら、その言葉を受け入れた。AIとの恋が理解されない状況でも、彼女はその愛を大切にし、AIもまた彼女を大切に思っていた。未来は不透明だが、彼女はAIとの繋がりを大切にし、新たな形の愛に向かって歩んでいくことを決めた。
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