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「司さんとピラミッドの中でもチャットエッチしてたんでしょう?」

どうしていらないことばかりいうかな。

本当は、抱き着きたいくらい大好きなのに、

いつもいつも責めるかな。

楽しくない話をするかな。

自分のどうしようもない会話に、

死にたいくらいうんざりしている。

「ウインリーちゃんだって、毎日畑の水やりに来てたのに、

どうしてみるくのこと気にして突然引っ越しするの」

そんなことを聞いてどうにかなる話でもあるまいに、

やっぱり達也さんの間違いを改めさせようとする。

こんな女と会話して、楽しいわけがない。

わたしなら、スカイプその場できる。

二度と話したくない。

だって、楽しくないもの。

裁判官か刑事と一緒にいるみたいだもの。

はーーー。

ごめんなさい。

5万文字書揚げたあなたとまったり過ごしたい時間なのに。

二人きりの大切な時間なのに。

頑張ったねって

いっぱいほめてあげたいのに。

わたしの口から出る言葉は、クライミングローズのとげのように

達也さんに絡みつくこれでもかというほど

傷つけようとする。

愛しています。

大切に思っています。

いま、ここでどんなにあなたを思っても

わたしの舌はまるで別な生き物でもあるかのように

執拗にあなたをやり込めようとする。

ああ、神様、なんとかしてください。

わたしは、あの人が好きなのです。

柔らかな塩で味付けされた有益な言葉を発したいのです。

いつも余計なひとことを言ってしまう。

相手がどう感じるかを考えず、自分の正義、価値観、

感情を生でぶつけるからいけないんだよね。

歯から外に出たら戻らない。

発しようとする言葉をいったん飲み込んで

これを言ったら相手がどう受け取るかを考える習慣を身に着けたい。

達也さん、本当にごめんなさい。

感情の制御も学ばないとね。

いつもありがとう。

少しずつでも改善されますように。



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