《冷姫》に告白をした結果泣かれてしまったが、その後積極的に話しかけてる件

ひならむ

文字の大きさ
3 / 11

第2話

しおりを挟む

「弁当…?」

 思わず、そう呟く。何度見ても、それは弁当以外の何物でもなかった。…弁当!?食えって言ったよな?そうか、遂に罵るどころか毒を盛って殺してしまうつもりなんだな。

「えっと…死んで欲しいくらい嫌だったってことでいいのかな?」

「何を言っているの?…早く食べて頂戴」

 どんどん彼女が不機嫌になってゆく。これは、もう大人しく死ぬしかないだろう。

「…いただきます」

 せめて、ラーメン屋で超特大盛りを完食したかった…。覚悟を決めて、卵焼き(毒入り)を口に運ぶ。味は…

「…うまい」

 なんだこれ!?死ぬどころかめちゃくちゃ上手いんだけど!?まるで、高級ホテルの朝ごはんみたいだ。…ま、食べたことなんてないんだけどな!

「そう。ならよかったわ」

 なんか、瀬川さんが心なしか嬉しそうに見えるのような…。きっと、気のせいだな。そんなはずはないだろう。

「それで、なんで瀬川さんは僕に弁当を?」

 毒が盛られていないとなると…何故瀬川さんが僕に弁当を渡してきたのかわからない。しかも、の弁当を、だ。

「……って…んで」

「え?」

 やっべ。考え事をしてたら聞き損ねちゃったや。いや、瀬川さんの声が小さかったのもあるだろうが。

「だから、って呼んで…と言っているのよ。…それと、敬語もやめて頂戴」

「は…え…?」

 結奈…ってのは、彼女の名前だ。瀬川結奈せがわゆな、それが彼女のフルネームなのだが…。解らん。マジで、彼女が何を考えているのかさっぱり解らん。
 何故、昨日振った相手に名前呼びさせようと思うのか。おかしくね?いや、それなら弁当の方がもっとおかしいのだが。

「ダメ…かな?」

 僕が黙っている事が否定の意思だと思ったのか、彼女が不安げにそう聞いてくる。いや、待て!?涙目…だと!?

「あー…分かったよ。ゆ、結奈」

「っ!!ありがとう…それでいいのよ」

 なぜ涙目だし。そんな事されたら断れるわけないじゃん。いや、それよりも…少し口調がおかしくなかったか?

「あの…口調が」

「別に敬語を使う必要なんてないわ。それで、口調が何か?」

「いえ…いや、なんでもない」

 そんな不機嫌そうに返されたらこれ以上なにもいえんがな。まぁ、聞かれたくないことの1つや2つ誰でも持ってるしな。

「それでね、啓介君にお話があるの」

 それを聞いて思いっきり蒸せた。

「大丈夫?」

「ゲホゲホッ…け、啓介君ってなに?」

 おい、啓介君ってなんだ啓介君って。いつ名前で呼ばれる仲になったというのだ。そりゃあ、まぁあの《冷姫》に名前呼びされるなんてめちゃくちゃ嬉しいが…人前で呼ばれたら多分殺されるな。主に男子共に。

「えっ!いや…べ、別に私が誰を名前で呼ぼうが勝手でしょ!!」

「いや、別にいいけどさ…人前では呼ばないでくれよな?」

「当たり前でしょ?」

 何が当たり前なんだか…。人前で呼ばれたら僕は確実に表舞台から姿を消すだろーな。
 それよりも、今日は一体何が起きてるというんだ?なんで、振られた相手に名前呼びされたり弁当貰ったりしてんだ?

「それでね、貴方にお話があるの」

 急に真面目になりそう言ってくる瀬川…結奈。なんだ?ここに来て処刑宣告か?

「私ね、貴方の事が……」

 そこで、急に放送が入る。

「3年A組久本啓介。職員室まで来なさい。繰り返します。3年ーー」

 職員室…!?僕、なんかやらかしたっけ!?

「ちょっとごめん!行ってくる!!」

「あ、ちょっとーー」

 彼女の言葉を聞き終える前に、取り敢えず職員室にダッシュした。

 


 結論から言えば、僕はただ勇の自爆に巻き込まれただけだった。僕が教室を出た後、勇はクラスの数人でスマホを使っていたらしい。うちの学校は、学校内でのスマホ使用は禁止なので、それが先生にバレてまず怒られる。そこで、先生が他に使用していた者がいないか問い詰めた所、何故か勇が俺の名を出したという訳だ。

「いやー、すまないね。俺がスマホ没収されるならお前も一緒に、と思ってな」

「そうか、取り敢えず〇ね」

 全く。なんでコイツの自爆に巻き込まれなきゃならんのだ。別に、俺は使ってないのにな。説明したところで先生には信じてもらえなかったし…。

「そういや、《冷姫》と何を話して来たんだ?」

「勇のせいで、話は途中だったんだけどね…」

 まぁ、最後まで話せたとしても勇に話せるような内容ではなかったんだけどな。
 …そういえば、結奈は最後なんか言いかけてたよな?

(私、貴方の事が…)

 って言ってたよな。この続きは一体何だったのだろうか。まぁ、想像するには貴方の事が嫌い、とか。もう話しかけないで、とかそーいうことな気がする。いや、それだと弁当とか名前呼びの意味が解らないな…。
 これも全部勇のせいなので、取り敢えず勇になんか奢ってもらうとするか。

 この時、僕はこれ以上はなにも起きない。そう思っていた…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...