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第1話
しおりを挟むピピピ…という目覚ましの音が聞こえた気がして、意識が覚醒してくる。
「んっ…もう朝か…」
大きく伸びをして、時間を見てみると…時刻は既に遅刻ギリギリの時間だった。ってか、もう間に合わん。
「んー…まぁ、気分がいいわけでもないし…二時限目から行くとするか…」
昨日は、自分が起こしてしまった出来事をずっと懺悔していた。断られた訳でもなく、罵声を浴びせられた訳でもない…ただ、泣かれてしまった。
まぁ、僕なんかに告白されることが死ぬほど嫌だったんだろう…。それにしても泣かれるほどとは、僕は余程ダメな人間なんだろうな…結構傷ついたよ…。
「取り敢えず、朝ごはんだな」
ここで悔やんでいると再び負のスパイラルに陥りそうなので、取り敢えず朝ごはんを食べることにした。
「おい、どうしたんだ?サボりか?」
丁度、四時限目が終わったタイミングで教室に入る。もはや、二時限目は愚か四時限目までサボってしまったよ。正直、学校に向かうことすらめんどくさかった。
窓側の一番後ろにある座席に座ると、前の席の勇が声を掛けてくる。
一応心配はしてくれてるみたいだが…僕が1時限目をサボったのはお前のせいなんだけれどもね。
「まぁな…ちょい寝坊したから」
「へぇ~啓介が寝坊なんて珍しいな」
確かに、高校の間は勿論…中学の時も寝坊したことはなかったかもしれない。…つまり、それだけ昨日の出来事は僕に影響を与えているんだろう。
「それで…昨日は告白したんだよな?」
「あぁ…まぁね」
正直、一番触れてほしくない話題だった。まぁ、気になるのも無理は無いが。
それにしても…僕の今日の態度で察せないものかね?珍しく寝坊したうえに、顔色もあまり優れていないと思うのだが。
「そっか、まぁ結果は弁当食いながら聞くぜ」
「おう…」
ま、なんか食べながらの方が気が紛れるだろ。そう思いリュックを開けて弁当を探すが…無いな。そういや、弁当なんて用意していなかった。
「やっべー弁当忘れたわ」
「おいおい…なら、食堂行くか?」
「そうする…ん?」
ま、食堂でもいいと思ったのだが…財布もない。ホント、僕はどうしちゃったのだろうか…。
「財布も忘れた…」
「おいおいホント大丈夫か?なら、俺が金を…」
勇がここまで言った所で、話したこともないクラスの女子が僕の元へ来て…話しかけてきた。
「ね、ねぇ啓介君…」
「ん?どしたんだ?」
やっべぇ。女子とまともに喋ったのなんていつ以来だ?恐らく、二年生の時にちょっと話した位か?久々すぎて緊張するな…。
「えっと…啓介君を呼んでいる人がいるのだけれど…」
「僕を?」
僕の事を呼ぶやつなんて勇以外いない筈なんだがな…。ホント、自分で言ってて悲しくなるよ。勇以外の友人が誰一人いないだなんて…。
ひとまず、僕なんかを呼ぶ摩訶不思議な人物を見ようとドアを見てみる…ん??
「お、おい。啓介…アレって…」
「せ、瀬川さん!?」
そう、学校一の美少女であり…昨日僕が泣かせた張本人が立っていた。
ま、まさかな…。だけど、他にドア付近に立っている人はいない。「僕?」という意味を込めて自分のことを指で差してみると…彼女はコク、と頷いた。
まさか、僕に昨日言い損ねた罵声を浴びせにでも来たのだろうか…。取り敢えず、立たせたままの訳にはいかないので小走りでドアに向かう。
…やっべぇ、クラス全員に注目されてるよ。みんな、戸惑っているっていうか…驚きすぎて身動き出来ていないみたいだ。
「ぼ、僕になんか用…?」
まぁ、僕にトドメを刺しにきたとしか思えないのだけれど。まぁ、それを受けるのも僕の役目だろう…。
「キミ、生徒会室まで来てくれないかしら?」
「生徒会室…?いいけど…」
僕の返事を聞いて、踵を返して生徒会室へと向かう彼女。取り敢えず、ついて行くことにした。
なんだ…?ここじゃあ言えないレベルの事を言うつもりなのか?いや、もしかしたら僕になにか運ばせるのかも…ってそれなら僕である必要がない。
つまり、トドメを刺しに来ただけみたいだな。
「入って」
《冷姫》に、生徒会室に招きいれられる。初めて入ったが…整頓されていてとてもキレイな部屋だ。彼女自身が片付けをしているのかな?
「座って…」
彼女が、テーブルを挟んだ向かい側の席を指差しながらそう言うので…ひとまず座る。
「失礼します…」
もう、自然と敬語になってしまう位空気が重い。やだなぁ…ホント何言われるんだろう。
「アナタ、弁当は?学食なの?」
「え…?」
なぜ、このタイミングで弁当の事を聞かれるんだ?もしかして、昼休みが終わるまで帰さないつもりだからここで飯を食いながら罵るつもりだったのだろうか?
「ええと…今日は弁当を忘れてしまって、しかもお金も忘れてしまいました。なので後で勇にお金を借りようかと…」
なんか、言ってて情けなくなるな。生徒会長の前で、友人に金を借りようと思っていたことを暴露しなければならないとは…。ホント、僕は駄目人間だな。
「そ。なら、コレを食べなさい」
そう言って、彼女は二つ持っていた赤と紺の包みのうち、紺色の包みを僕の前に置いた。
…なんだこれ?と思って開けてみると…
「弁当…?」
その包みの中身は、外から見て解る通り弁当箱だった…。
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