《冷姫》に告白をした結果泣かれてしまったが、その後積極的に話しかけてる件

ひならむ

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第5話

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 今にして思えば、その頃から既に様子が変だった様に思う。

 その後も、毎日瀬川さんは僕に絡みに来てくれたのだが…その度に勇も絡んで来た。
 別に、その時は何も感じなかったが…その頻度は、明らかに変だった。まるで、僕が瀬川さんと話すのを防いでいるかのようだった。

 さらに、2週間くらい経った頃から…瀬川さんの様子も変だった。なにかにいるかのような素振りを見せていた…ような気がした。

 この時に、僕がもっと深く考えていれば…結果は変わっていたのかもしれない。最も、この事に気がついたところで、のだが。

 事態が明らかになってきたのは、僕が瀬川さんに告白をしてから三週間程が経った頃だった。







「けいs…久本君。今日も、生徒会室に来てくれるかしら」

 今日の昼休みも、やっぱり瀬川さんは僕のクラスを訪れていた。毎日来るものだから、もはや僕達の噂は学年中に広まってしまっていた。

(おい…アイツまた冷姫に呼ばれてるぜ)

(まさか付き合ってるんじゃ…)

(まさか。だって啓介だぜ?)

 おい。〈あの〉とはなんだ…否定できないのが辛いな…。

「…どうしたの?早く行くわよ」

「…わかりました」

 はぁ…。このままじゃ、瀬川さんが僕と付き合っていると勘違いされてしまう。それは、流石に瀬川さんが可哀想なのでなんとしても阻止しなければ。



「…どう?美味しい?」

「うん。とても美味い」

 こうして、毎日結奈は弁当を作ってくれるのだが…ホント、なんでなんだろう?…まぁ美味しいから嬉しいんだけどさ。
 そういえば、いつのまにか結奈って呼ぶのに抵抗が無くなってきたな…慣れって恐ろしいな。

は、二人で帰りましょ?」

「まぁ、いいけどさ。どうせ、勇も一緒だろうし」

 僕がそう言うと、何故か結奈は少し機嫌が悪くなった。

「……が…のに…」

「ん?なんて言った?」

 声が小さくて聞き取れなかった。

「…別に。なんでもない」

 そう言って、顔を背けてしまった。さらに機嫌が悪くなってしまった…女って難しいのな。


 その後も、話をしながら弁当を食べて昼休みは終わった。午後の授業は殆ど寝て過ごし…いつのまにか下校の時間になっていた。

「じゃあ、下で待ってるわね」

「了解です」

 もう、この光景もクラスのメンバーにとっては日常となってしまったのか反応が少し薄くなって来た。

(はぁ…またかよ)

(これで付き合ってないとか…ありえねー)

(うらやましぃぃぃいぃぃぃぃいっぃぃ)

 …最後のヤツは気にしない方がいいな、うん。さて、僕も帰るか。

「勇ーー帰る…あれ?」

 勇の席を見てみると、そこに勇はいなかった。

「あれ…?もう帰ったのか?」

 おかしいな…いつもはあんなに絡んでくるのに。…まぁ、急用でもあったのだろうか。

「まぁ、そんなこともあるだろ」

 特に気にすることもなく、僕は下駄箱に向かった。




「あれ?今日は勇君はいないのですね」

「うん。今日は急用でもあったんじゃないかな」

 そう伝えると、何故か少し嬉しそうにしていた。…そんなに勇が嫌なのかな?

「そういえば、今日の単語テストどうだった?」

「んー…まぁ意外と出来たかな」

「そっか。私は…」


 学校での事や、テレビの事…とにかく、いろんなことを話した。結奈と話しながら帰るのは中々楽しかったのだが……ずっと、気になっていることがあった。

「結奈。次の角を曲がって」

 小声で、結奈にそう伝える。

「えっ?でもそっちは家の方向じゃ…」

「いいからいいから」

 そう言って、多少強引に曲がる。

「ね、ねぇ。一体どうしたの?」

「……」

「ねぇってば」

「……」

 これは…やっぱり…

「結奈、次を左に曲がって」

「えっ!?どうし…」

 また、強引に曲がる。…結果はやっぱり同じ。

「ホントにどうしちゃったの??」

 もう、これは確定だろう。しょうがない、結奈に伝えないと。

「いい?落ち着いて聞いて?」

 そう言って、彼女の耳に顔を近づける。

「う、うん…」

「僕たち、結構前から後を付けられてる」

「……えっ!?」

 僕の言葉を聞いて、結奈はとても驚いている。それは、当然だろう。唐突にこんな事言われたら誰だって驚くに決まってる。

「振り向かないで」

 結奈が、振り向こうとするのを言葉で制する。今振り向いてしまうと、襲われてしまうかもしれない。

「で、でも…一体いつから…」

「僕たちが学校を出て少し経った頃かな」

 最初は、フードを被ってる人が後ろを歩いてるな…程度にしか認識していなかった。でも、その後もずっとソイツは後ろにいて、こんな何十分も同じなのはおかしいと思い始めた。
 それで、さっきあえて曲がる必要もない角を二回曲がってみた。結果は、やっぱり後ろにいた…それで、確信した。

 後は、どちらを付けているのかだが…僕は身に覚えがない。

「ねぇ。なにか、ストーカーされる心当たり…ある」

「……」

 僕がそう尋ねると、結奈は黙ってうつむいてしまった。この反応は…。

「心当たりが、あるんだね…?」

「……」

 結奈は、小さく頷いた。…やっぱり結奈の方だったか。
 …どうするかな。まだ、結奈の家までは少し距離があるし…交番は近くにない。でもこのままじゃ危ない。それなら…

「よし。付いて来て」

「えっ!?ちょっとま……」

 彼女の言葉を聞き終える前に、僕は彼女の手を掴んで早歩きで歩き始める。幸いにも、ここは僕のホームタウンだ。地図は、頭の中に入ってる。

(この角を曲がって、次はあそこで…そこからは走ろう)

「あっ…ちょッ…」

 彼女の手を引いて、迷わずに進む。


「ハァッハァッ…巻いたか…?」

 角をそぉっと覗いてみる…よかった。巻けたみたいだ。

「どう…?」

「大丈夫。もういないよ」

 結奈が、不安げに僕を見ている。結奈も、だいぶ疲れてしまっているようだ。

「でも、これからどうするの?また見つかっちゃったら…」

「それは大丈夫。ひとまず、家に隠れよう」

 そう言って、すぐ横の家を指さす。

「えっ?じゃあここが啓介君の家なの⁉︎」

「うん、そうだけど…」

 結奈がめちゃくちゃ驚いている。…あれ?そーいえばまだ家は教えてなかったっけか?まぁ、いいや。







 取り敢えず、結奈を家に招き入れて…リビングのソファーに座って貰った。

「ちょっと待ってて」

 お茶を出すために立ち上がり、カーテンを締めながら台所へ向かう。
 実際、危ない状況だった。あのまま気づかなかったらどうなっていた事か…そう思うと、恐怖を感じる。
 でも、怖いのは結奈も一緒のはず。なら、せめて僕は明るく振る舞わないと…。


「大丈夫?これ飲んで落ち着きな?」

「う、うん。ありがとう…」

 結奈が落ち着くまで待つ。本来なら、警察にまず連絡すべきなのだろうが……どうやら訳ありのようだし、話を聞いてからでも遅くはないだろう。
 少なくとも、この家の中にいる間は僕が守れるだろう。

「ありがとね。守ってくれて…」

「大丈夫。…さっきの人とは…どんな関係なの?」

 聞く必要は無かったかもしれない。でも、やっぱり気になってしまった。

「…最初に始まったのは、もう随分と昔の事なの…」

 ポツリポツリと、少しずつ結奈は自身の過去を話始めた–––。







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