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2.幸せからの転落
翌朝いや、翌日の昼過ぎに目覚めると二日酔いで頭は重かったが、昨日の式の余韻が残っているので気分は良かった。
寝室にはもうロナの姿は当然なく一人で起きて昨日の片づけをしてくれているのだろうと思うと流石に申し訳ない気持ちになり適当に身支度を整えてから急ぎ足で台所に顔を出した。
すると昨日は豪華な料理の準備やらであんなに散らかっていた台所はいつものように綺麗に片付いており、ならば中庭の片づけをと思いそちらに顔を出したがそこも全て片付け終わった後だった。
昨日ここで結婚式が行われていた跡はどこにもなく、全て元通りになっていた。
あれだけの片付けをロナ一人でなんか出来っこない。
そうなると妹のマリーとミールが結婚式の翌日なのに早起きして手伝ってくれたのだろう。
自分だけ寝坊してしまい申し訳ないなと思っていると、昨日は我が家にある小さな離れに泊まった新婚夫婦が今起きたという顔でこちらに歩いてきた。
「おはよう、ザイ…」
「ふぁ…、兄さん、おはよう」
二人ともまだ半分眠っているように挨拶をしてくる。どう見ても朝早く起きて片づけをしていたとは思えない。
「ああ、二人ともおはよう。昨日はすべて順調に終わって良かったな」
「うん、有り難う。これもここを使わせてくれたザイ兄さんのお陰だわ。皆からも素晴らしい式だったって喜んで貰えたし、私も両親の思い出が溢れている我が家で出来て本当に嬉しかった。一生の思い出になったわ。
ザイ兄さん、本当に有り難うございました。
それに片付けまで全てやってくれたのね、大変だったでしょう。ごめんね寝坊しちゃって」
嬉しそうな顔でお礼を言ってくれる妹を見ると、大変だったがやってあげて良かったと心から思う。
「いや、俺もさっき起きたばかりなんだ。きっとこれはロナがやってくれたんじゃないかな…」
妹夫婦が手伝っていないと分かると、ロナにばかりやらせてしまって申し訳ないと言う気持ちが沸いてくる。昨日は忙しくロナとは話せていないし顔を満足に合わせる事も出来なかった。
式で忙しかったとはいえ愛する妻との時間も持つべきだった反省する。そして今日から始まるロナとの新しい生活を考えると自然と頬が緩んでくる。
早くロナの顔が見たくて居間に行くがそこにも妻の姿はなかった。
えっ、ここにもいないのか…。
部屋の中にはロナがいた気配すらもない。
「あれー、義姉さんご飯の準備もしていないの。もうっ、私の新婚初日なのに…、普通お祝いの膳とか用意してくれてもいいんじゃないのかなー。まったく気が利かないんだから!」
マリーの言い様に少し腹が立つ。あれほど一生懸命準備をし後片付けまでやって貰ったのに先に出てくる言葉が文句だとは呆れてしまう。いくら実の姉のように慕っていて常日頃から気安い態度で接していると言ってもこれは酷い。
今までは俺の妹だったから多少の我が儘は許していたが、結婚したのだからそれでは駄目だ。
俺が眉を顰めていると夫ととなったミールが『その言い方は…』とマリーを注意し始めた。
その様子を見て兄である俺は口を出すのは控えたが、ロナに会ったらちゃんと礼を言わせようと思っていた。
『ロナ、どこにいるんだ?おはよう、すまない寝坊して…』
そう言いながら広くない我が家を探したがロナの姿はどこにもなかった。
こんなことは初めてだった、ロナはどこかに出掛ける時は前もって伝えてくれる。それが出来ない場合は書き置きを残してくれるが‥‥、今日はそれも見当たらない。
いつもと違う妻の行動に胸騒ぎを覚えるが、妹は『まったく義姉さんは勝手ね。義妹の結婚を祝う気はないのかしら』とブツブツと文句を言いながら昨日の余りものを食卓に並べ始める。
おい、ロナのことよりも食べ物が先なのかっ!
流石に勝手すぎる妹を怒鳴りつけようとしたその時にミールが俺の肩に手を置き話し掛けて来た。
「ザイ、きっと近所の人達にもロアンナは片付けを手伝って貰ったんじゃないかな。それでその人達とどこかで話し込んでいるんだよ。女性の井戸端会議は長いからな」
彼もこの状況を大して心配していないようだ。
それもそうだろう、ロナは20歳の人妻で常日頃からしっかりしていると評判な女性だ。我が家に同僚として遊びに来ていたミールもそのことはよく知っている。
だから俺も『そうだな、きっと誰かと話しが盛り上がっているんだな』と思いロナを探しに出掛けるのを止め帰ってくるのを待つことにした。
‥‥俺はまたも判断を誤った。
ロナは結局いくら待っても帰ってこなかった。
最初は事件に巻き込まれたのかもと思った。
ロナが家を出て行く理由なんて一つもない。俺と彼女の間に問題はなかった、自他ともに認める仲睦まじい夫婦だったからだ。
だが部屋を調べてるとロナの身の回りの物がなくなっており旅行鞄もなかったことから、彼女が自主的に出て行ってしまったことが分かった。
なぜなんだ‥‥ロナ。
どうして何も言わずに出て行ってしまった?
ロナ、ロナ‥‥、どこにいるんだ…。
俺は訳が分からなかった。だってあの日までは本当にロナは普通だったんだ…。結婚式の準備もしてくれていた。
忙しくて話し…は出来なかったけど、碌に顔も合わせる暇もなかったけど…。
でもそれは仕方がなかったんだ、色々と準備が忙しくて…結婚式なんだから…。
彼女が出て行く理由なんてない‥‥はずだ。
兎に角彼女を探し出す手掛かりが欲しくて、騎士団の仕事を急遽休んで彼女の行方の手掛かりを探して回ることにした。
寝室にはもうロナの姿は当然なく一人で起きて昨日の片づけをしてくれているのだろうと思うと流石に申し訳ない気持ちになり適当に身支度を整えてから急ぎ足で台所に顔を出した。
すると昨日は豪華な料理の準備やらであんなに散らかっていた台所はいつものように綺麗に片付いており、ならば中庭の片づけをと思いそちらに顔を出したがそこも全て片付け終わった後だった。
昨日ここで結婚式が行われていた跡はどこにもなく、全て元通りになっていた。
あれだけの片付けをロナ一人でなんか出来っこない。
そうなると妹のマリーとミールが結婚式の翌日なのに早起きして手伝ってくれたのだろう。
自分だけ寝坊してしまい申し訳ないなと思っていると、昨日は我が家にある小さな離れに泊まった新婚夫婦が今起きたという顔でこちらに歩いてきた。
「おはよう、ザイ…」
「ふぁ…、兄さん、おはよう」
二人ともまだ半分眠っているように挨拶をしてくる。どう見ても朝早く起きて片づけをしていたとは思えない。
「ああ、二人ともおはよう。昨日はすべて順調に終わって良かったな」
「うん、有り難う。これもここを使わせてくれたザイ兄さんのお陰だわ。皆からも素晴らしい式だったって喜んで貰えたし、私も両親の思い出が溢れている我が家で出来て本当に嬉しかった。一生の思い出になったわ。
ザイ兄さん、本当に有り難うございました。
それに片付けまで全てやってくれたのね、大変だったでしょう。ごめんね寝坊しちゃって」
嬉しそうな顔でお礼を言ってくれる妹を見ると、大変だったがやってあげて良かったと心から思う。
「いや、俺もさっき起きたばかりなんだ。きっとこれはロナがやってくれたんじゃないかな…」
妹夫婦が手伝っていないと分かると、ロナにばかりやらせてしまって申し訳ないと言う気持ちが沸いてくる。昨日は忙しくロナとは話せていないし顔を満足に合わせる事も出来なかった。
式で忙しかったとはいえ愛する妻との時間も持つべきだった反省する。そして今日から始まるロナとの新しい生活を考えると自然と頬が緩んでくる。
早くロナの顔が見たくて居間に行くがそこにも妻の姿はなかった。
えっ、ここにもいないのか…。
部屋の中にはロナがいた気配すらもない。
「あれー、義姉さんご飯の準備もしていないの。もうっ、私の新婚初日なのに…、普通お祝いの膳とか用意してくれてもいいんじゃないのかなー。まったく気が利かないんだから!」
マリーの言い様に少し腹が立つ。あれほど一生懸命準備をし後片付けまでやって貰ったのに先に出てくる言葉が文句だとは呆れてしまう。いくら実の姉のように慕っていて常日頃から気安い態度で接していると言ってもこれは酷い。
今までは俺の妹だったから多少の我が儘は許していたが、結婚したのだからそれでは駄目だ。
俺が眉を顰めていると夫ととなったミールが『その言い方は…』とマリーを注意し始めた。
その様子を見て兄である俺は口を出すのは控えたが、ロナに会ったらちゃんと礼を言わせようと思っていた。
『ロナ、どこにいるんだ?おはよう、すまない寝坊して…』
そう言いながら広くない我が家を探したがロナの姿はどこにもなかった。
こんなことは初めてだった、ロナはどこかに出掛ける時は前もって伝えてくれる。それが出来ない場合は書き置きを残してくれるが‥‥、今日はそれも見当たらない。
いつもと違う妻の行動に胸騒ぎを覚えるが、妹は『まったく義姉さんは勝手ね。義妹の結婚を祝う気はないのかしら』とブツブツと文句を言いながら昨日の余りものを食卓に並べ始める。
おい、ロナのことよりも食べ物が先なのかっ!
流石に勝手すぎる妹を怒鳴りつけようとしたその時にミールが俺の肩に手を置き話し掛けて来た。
「ザイ、きっと近所の人達にもロアンナは片付けを手伝って貰ったんじゃないかな。それでその人達とどこかで話し込んでいるんだよ。女性の井戸端会議は長いからな」
彼もこの状況を大して心配していないようだ。
それもそうだろう、ロナは20歳の人妻で常日頃からしっかりしていると評判な女性だ。我が家に同僚として遊びに来ていたミールもそのことはよく知っている。
だから俺も『そうだな、きっと誰かと話しが盛り上がっているんだな』と思いロナを探しに出掛けるのを止め帰ってくるのを待つことにした。
‥‥俺はまたも判断を誤った。
ロナは結局いくら待っても帰ってこなかった。
最初は事件に巻き込まれたのかもと思った。
ロナが家を出て行く理由なんて一つもない。俺と彼女の間に問題はなかった、自他ともに認める仲睦まじい夫婦だったからだ。
だが部屋を調べてるとロナの身の回りの物がなくなっており旅行鞄もなかったことから、彼女が自主的に出て行ってしまったことが分かった。
なぜなんだ‥‥ロナ。
どうして何も言わずに出て行ってしまった?
ロナ、ロナ‥‥、どこにいるんだ…。
俺は訳が分からなかった。だってあの日までは本当にロナは普通だったんだ…。結婚式の準備もしてくれていた。
忙しくて話し…は出来なかったけど、碌に顔も合わせる暇もなかったけど…。
でもそれは仕方がなかったんだ、色々と準備が忙しくて…結婚式なんだから…。
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