恋人でいる意味が分からないので幼馴染に戻ろうとしたら‥‥

矢野りと

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確かに僕はそこらの大人よりも賢い。
でも実の姉と将来の義兄上?の恋話にこの賢さを使う必要はない気がする…。

そもそも、そんなに次元の高い話ではない。

 これって、かなり次元の低すぎるレベルだよね。
 

客観的に見ればライアンは男としてかなり情けない。

でもそれは姉を愛しすぎているからだと分かっている。
彼は姉をいつだって大切にしている。それが上手く伝わっていないのは残念だが、その気持ちに偽りなんてない。

それが僕にとって、とても重要なことだ。
だって僕も心から姉上の幸せを願っているから。

だからライアンのことを認めているし、不思議と応援したくなっちゃうんだ。

 こんな不器用な義兄上でも僕は良いと思いますよ、ライアン。


「長引かせると更に拗れるだけです。だから姉上に今すぐにちゃんと自分の気持ちを伝えて下さい。
いいですか?言葉を惜むことなく、照れずにちゃんとはっきりと大きな声で言わなくては駄目ですからね。姉上はいま、自分の部屋にいると思います。頑張ってください、僕が『義兄上』と呼びたいのはライアンだけです」

「ケイレブ、ありがとう!流石は俺の義弟だな」


僕の言葉で気を取り直したライアン。
すぐさま僕の部屋から出て、姉上の部屋へと向う。


 はあ…、これでまとまってくれたら良いのだけれど。


ライアンは見ての通り姉への熱い想いを見事に拗らせている。
そのさまは執着といえるレベルに到達している。秘かに『溺愛執着系』と名付けているのは内緒だ。

でもそれは彼だけではない、姉だってかなりのものだ。

だって姉上が斜め上の思考に走るのは、決まってライアン絡みのときだけだ。
本人は自分の気持ちにまったく気づいていないけど、絶対に姉上はライアンのことを大好きだ。

いつだって彼の隣りにいる姉上は嬉しそうな表情をして輝いているのだから。
それに姉の話にはいつだって格好いいライアンが登場する。
こっちは『無自覚純情拗らせ系』だ。

どうして気づかないのか不思議だけど、恋とは人を少しお馬鹿にするものなのかもしれない。
これはあくまで二人を観察した結果から導き出した答えだ。

いくら賢いと言っても僕には経験のないことだから、もしかすると間違っているかもしれない。
そうなると、二人限定でお馬鹿という結論に至るのだが…。
まあ出来れば前者であって欲しいなと思う。


二人のことは大好きだから幸せになって欲しいと心から願っている。
ライアンが僕の助言通りにすれば、きっと上手くいくはずだ。

だって二人がお互いに好き同士という簡単なことを確認できたら、それだけで問題は解決するのだから。


照れるから彼には伝えてないけど、正式に『義兄上』と呼べる日をとても楽しみにしているのだ。

 頑張って、未来の義兄上!



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ライアンが部屋を出ていったあと、喉が渇いたので居間へと向かうケイレブ。
扉を開けると、そこには仲睦まじく会話している両親の姿があった。

「今日こそはライアンの思いが通じるといいですね~」
「あの二人だからまだまだ時間がかかるんじゃないか。義息子と呼んでくれと私達に言う前に、ケイト本人に『好きだ』って言わないとな。順番がまるっきり逆じゃないか。それじゃなかなか上手く行かないだろう、はっはっは」
「あら、それライアンに言ってあげましたの?」
「まさか、言うわけない」

どうやらライアンは僕だけではなく、両親にも根回し済みだったようだ。
この勇気があるなら、先に姉上に告白すればいいのに…。

それに父上も姉が嫁ぐのが淋しいから、ライアンにも何も言わずに見守っているようだ。
緩い感じの両親だが、やはり娘が可愛いのだろう。

「父上はやはり姉上を少しでも長く手元に置いておきたいのですね。だから嫁ぐのが早まらないように、ライアンに助言をしなかったので、」

少し感動しながらそう言っていると、父上に遮られる。

「いいや、全然違うぞ。そんなことはこれっぽっちも考えていない」
「……へっ?」

思わず変な言葉が口から出てしまう。

「ほら、あの二人拗らせまくって面白いだろう。だから少しでも長く楽しみたいなと思って、放置してるんだ。はっっははー、でもそろそろフィニッシュかなー」
「ふっふふ、そうね。そろそろかもね」
「………」


 ――本当に僕はこの人達と血が繋がっているのだろうか…。

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