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今、俺はケイトの前で正座をさせられている。足が痺れているけど、そんなことは勿論言える雰囲気ではない。
ケイトと思いが通じ合った嬉しさから、『ケティがモテないようにするのが、大変だったんだぞ。アッハッハ』とつい調子に乗って話してしまったせいだ。
「ねえライ、いったい何をやってくれたのかしら?
正直に話してね……。じゃないと放牧するわよ」
「えっ、放牧って…?」
「お好きに逃げてくださいって意味よ。つまり結婚はなしということになるわね。それでいいの、ライ?」
「……っ!!」
ニッコリと笑いながらケイトはそう言う。
そんなケイトも可愛いけれど、今は纏っている雰囲気が怖くて仕方がない。
俺はブンブンと首を横に振り、ケイトの言葉を拒絶する。絶対に結婚したい、ケイトがいない人生なんて考えたくない。
「では話してちょうだいねっ?」
そう言いながらケイトはジリジリと迫ってくる。
俺は壁際まで追い詰められ、逃げ場を失った。つまり正座しながら壁ドン状態だ。一度はしてみたい憧れのシチュエーションに、思わず理性が飛びそうになるが、必死で抑える。
今はそれどころじゃない。
くそっ…残念だ……。
目の前のケイトは本気だ、誤魔化されないだろう。
もう俺には話すしか道は残されていない。
どうか見捨てないでくれと心のなかで叫びながら話し出す。
「あっ、えっと…大したことはやってない」
「……もっと詳しく聞きたいな♪」
間髪入れずケイトは、笑顔で言葉を返してくる。
可愛い、でもその笑顔が凄く……怖い。
「そ、そうだな。詳しく話さなきゃ伝わらないよな、はっはは…。ケイトに告白しようとした身の程知らずな奴は念入りに潰したかな。それと『可愛い』って変な目で見る奴は、ちょっとだけ潰したかな。ほら、俺って騎士だろ、あれは訓練でしたと片付けていたから全然問題はない。俺とケティの将来に悪影響は出ないようにしっかり後処理したから大丈夫だ、犯罪にはなっていない。ぎりぎりセーフだ、安心してくれ」
「問題はね…そこではないわよ、ライ。
私はね…、全然モテなくて真剣に悩んでいたのよー!!」
……すまん、ケティ。
心のなかで謝るが、また生まれ変わったとしても俺は同じことをやるだろう。
それからコンコンとお説教が続いた。
足の感覚は完全に消失し辛かったが、ケイトの口からは『嫌い』とか『別れる』って言葉は出てこなかったから、なんとか耐えられた。
そして最後には『本当にライって困った人ね、でも……大好き』とケイトが言って、お説教は終了となった。
本当に良かった、全部言わなくて…。
俺の可愛い天使は人気がある、だから本当は表沙汰には出来ないこともちょっとだけやっていた。
だがそれだけは内緒だ、だって嫌われたくはない。
あれと、あれと………あれは非常にまずいな…。
だから墓場まで持っていこうと秘かに誓う。
俺はケイトと一緒にケイレブの部屋を訪ねる。
やはり未来の義弟にはお礼を兼ねて最初に報告をしておきたい。
トントンと扉を叩いてから、ケイトと俺はケイレブの部屋に入る。
俺が口を開く前にケイレブのほうから話しだした。
「上手くいって良かったですね」
「ああこの通りだ。ありがとうな、ケイレブ」
俺とケイレブの会話に首を傾げて『どういう意味?』と聞いてくる。別に内緒にする必要もないので、俺はケイレブから助言を貰ったことを話す。
「そうだったのね。ケイレブ、ありがとう」
「いいえ、姉上と義兄上のお役に立てて良かったです」
「義兄上?なんだか呼び馴れている気がするのは気のせいかしら…」
「「………」」」
気まずい空気になる。
『ちょっとライ、いいかしら?』とまたもやケイトがニッコリと笑う。
そして俺はケイレブにずっと前から『義兄上』と呼ばせていたこと、そして義両親に『義息子』と呼んでくれとお願いしていたことをすべて話すことになった。
俺の告白を聞き、ケイトは無言になる。
「…怒ったか?」
「怒ってないわ。ちょっと呆れているだけ」
「でも俺のこと好きだよな?変わらずに愛しているよな…?」
ケイトの言葉に安心しつつも、もっと安心できる言葉が欲しいと縋るように尋ねてしまう。
「ふふ、ちょっと変わったかな。
もっと愛しくなったわ、ライ」
「ケティ、俺のほうがもっともっと愛しく思っているからなっ!」
甘い雰囲気が漂うなか、ケイトを力いっぱい抱きしめていると後ろから声が掛かった。
「二人とも僕の部屋から出ていってください」
腕を組んでこちらに冷たい眼差しを向けてくるケイレブ。その表情に、俺とケイトは固まって動けなくなる。
真の恐怖とはなにかを、俺達は義弟から学んだ…。
そして俺とケイトは、一ヶ月後に無事結婚式を挙げることになった。
貴族の結婚にしては、婚約から結婚まで有りえないほどの速さだったが、驚かれることはなかった。
全ては数年前から準備していたからだ。
ケイトのことを知り尽くしている俺が用意した式に、ケイトも喜んでくれている。
周りから祝福の言葉に囲まれ俺とケイトが微笑んでいると、どこからか『うわぁ、可愛い。こっそり愛人にしようかな』と呟く声が聞こえた。
ちらりと隣りにいるケイトを見るが、その表情は笑顔のままだ。
どうやら周りが賑やかなので、ケイトにはその不埒な声が聞こえていなかったらしい。
ホッとしながら、俺は横目で呟いた奴を確認する。
知らない顔だったが、その身なりから貴族なのは間違いない。
騎士ではないな、文官だろうか。
俺の友人には、王宮で働く文官も数人いる。なかにはかなり出世している奴もいるので、そいつに頼めばすぐに誰だか分かるだろう。
身元が判明したら、その先はもう決まっている。身の程知らずの馬鹿の運命は一つだけだ。
――はっはは、また一つ秘密が増えそうだ。
(完)
********************
これにて完結です。
最後まで読んでいただき、本当に有り難うございました٩(๑´3`๑)۶
完結はしますが、おまけの話を投稿する予定です。
そちらも読んで頂けたら幸いですヽ(=´▽`=)ノ
ケイトと思いが通じ合った嬉しさから、『ケティがモテないようにするのが、大変だったんだぞ。アッハッハ』とつい調子に乗って話してしまったせいだ。
「ねえライ、いったい何をやってくれたのかしら?
正直に話してね……。じゃないと放牧するわよ」
「えっ、放牧って…?」
「お好きに逃げてくださいって意味よ。つまり結婚はなしということになるわね。それでいいの、ライ?」
「……っ!!」
ニッコリと笑いながらケイトはそう言う。
そんなケイトも可愛いけれど、今は纏っている雰囲気が怖くて仕方がない。
俺はブンブンと首を横に振り、ケイトの言葉を拒絶する。絶対に結婚したい、ケイトがいない人生なんて考えたくない。
「では話してちょうだいねっ?」
そう言いながらケイトはジリジリと迫ってくる。
俺は壁際まで追い詰められ、逃げ場を失った。つまり正座しながら壁ドン状態だ。一度はしてみたい憧れのシチュエーションに、思わず理性が飛びそうになるが、必死で抑える。
今はそれどころじゃない。
くそっ…残念だ……。
目の前のケイトは本気だ、誤魔化されないだろう。
もう俺には話すしか道は残されていない。
どうか見捨てないでくれと心のなかで叫びながら話し出す。
「あっ、えっと…大したことはやってない」
「……もっと詳しく聞きたいな♪」
間髪入れずケイトは、笑顔で言葉を返してくる。
可愛い、でもその笑顔が凄く……怖い。
「そ、そうだな。詳しく話さなきゃ伝わらないよな、はっはは…。ケイトに告白しようとした身の程知らずな奴は念入りに潰したかな。それと『可愛い』って変な目で見る奴は、ちょっとだけ潰したかな。ほら、俺って騎士だろ、あれは訓練でしたと片付けていたから全然問題はない。俺とケティの将来に悪影響は出ないようにしっかり後処理したから大丈夫だ、犯罪にはなっていない。ぎりぎりセーフだ、安心してくれ」
「問題はね…そこではないわよ、ライ。
私はね…、全然モテなくて真剣に悩んでいたのよー!!」
……すまん、ケティ。
心のなかで謝るが、また生まれ変わったとしても俺は同じことをやるだろう。
それからコンコンとお説教が続いた。
足の感覚は完全に消失し辛かったが、ケイトの口からは『嫌い』とか『別れる』って言葉は出てこなかったから、なんとか耐えられた。
そして最後には『本当にライって困った人ね、でも……大好き』とケイトが言って、お説教は終了となった。
本当に良かった、全部言わなくて…。
俺の可愛い天使は人気がある、だから本当は表沙汰には出来ないこともちょっとだけやっていた。
だがそれだけは内緒だ、だって嫌われたくはない。
あれと、あれと………あれは非常にまずいな…。
だから墓場まで持っていこうと秘かに誓う。
俺はケイトと一緒にケイレブの部屋を訪ねる。
やはり未来の義弟にはお礼を兼ねて最初に報告をしておきたい。
トントンと扉を叩いてから、ケイトと俺はケイレブの部屋に入る。
俺が口を開く前にケイレブのほうから話しだした。
「上手くいって良かったですね」
「ああこの通りだ。ありがとうな、ケイレブ」
俺とケイレブの会話に首を傾げて『どういう意味?』と聞いてくる。別に内緒にする必要もないので、俺はケイレブから助言を貰ったことを話す。
「そうだったのね。ケイレブ、ありがとう」
「いいえ、姉上と義兄上のお役に立てて良かったです」
「義兄上?なんだか呼び馴れている気がするのは気のせいかしら…」
「「………」」」
気まずい空気になる。
『ちょっとライ、いいかしら?』とまたもやケイトがニッコリと笑う。
そして俺はケイレブにずっと前から『義兄上』と呼ばせていたこと、そして義両親に『義息子』と呼んでくれとお願いしていたことをすべて話すことになった。
俺の告白を聞き、ケイトは無言になる。
「…怒ったか?」
「怒ってないわ。ちょっと呆れているだけ」
「でも俺のこと好きだよな?変わらずに愛しているよな…?」
ケイトの言葉に安心しつつも、もっと安心できる言葉が欲しいと縋るように尋ねてしまう。
「ふふ、ちょっと変わったかな。
もっと愛しくなったわ、ライ」
「ケティ、俺のほうがもっともっと愛しく思っているからなっ!」
甘い雰囲気が漂うなか、ケイトを力いっぱい抱きしめていると後ろから声が掛かった。
「二人とも僕の部屋から出ていってください」
腕を組んでこちらに冷たい眼差しを向けてくるケイレブ。その表情に、俺とケイトは固まって動けなくなる。
真の恐怖とはなにかを、俺達は義弟から学んだ…。
そして俺とケイトは、一ヶ月後に無事結婚式を挙げることになった。
貴族の結婚にしては、婚約から結婚まで有りえないほどの速さだったが、驚かれることはなかった。
全ては数年前から準備していたからだ。
ケイトのことを知り尽くしている俺が用意した式に、ケイトも喜んでくれている。
周りから祝福の言葉に囲まれ俺とケイトが微笑んでいると、どこからか『うわぁ、可愛い。こっそり愛人にしようかな』と呟く声が聞こえた。
ちらりと隣りにいるケイトを見るが、その表情は笑顔のままだ。
どうやら周りが賑やかなので、ケイトにはその不埒な声が聞こえていなかったらしい。
ホッとしながら、俺は横目で呟いた奴を確認する。
知らない顔だったが、その身なりから貴族なのは間違いない。
騎士ではないな、文官だろうか。
俺の友人には、王宮で働く文官も数人いる。なかにはかなり出世している奴もいるので、そいつに頼めばすぐに誰だか分かるだろう。
身元が判明したら、その先はもう決まっている。身の程知らずの馬鹿の運命は一つだけだ。
――はっはは、また一つ秘密が増えそうだ。
(完)
********************
これにて完結です。
最後まで読んでいただき、本当に有り難うございました٩(๑´3`๑)۶
完結はしますが、おまけの話を投稿する予定です。
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