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29.ネリーの罠①
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後宮の庭園は向日葵が綺麗に咲き乱れ、夏らしい元気な雰囲気を醸し出している。
以前三人の側妃達と正妃がお茶会をした東屋で、今日はネリー妃と正妃シルビアの二人だけのお茶会が行われている。今回はネリー妃の方からのお茶会のお誘いだった、『たった一人の後宮は淋しいので是非お喋りに来てください』と。これは罠だと分かっていたが、敢えて誘いを受けのだ。ガロンも陰から護衛し準備万端でお茶会に臨んでいる。
「今日は来てくださり有り難うございます。最近の後宮は淋しくて堪りませんわ」
「確かにネリー様お一人では淋しいでしょうね。今日は楽しくお喋りしましょう」
「はい。そういえばお恥ずかしい話ですが、個人的な悩みを相談したいので周りの者達を下がらせていただけませんか?シルビア様にだけ聞いて欲しいのです」
時間が惜しいのか、それとも何か焦っているのか。早速、ネリーは仕掛けてこようとする。
シルビアは陰で護衛しているガロンに『声を掛けるまで動くな』とこっそり合図を送る。
「まあ、それなら侍女や護衛騎士達は下がらせましょう。みんなここは後宮だから安全だわ、暫く下がっていなさい」
シルビアの命を受け、後宮の侍女達・シルビアの侍女サーサ・護衛騎士ダイは声が届かない場所まで素早く離れて行った。
「これでいいかしら、ネリー様お話をどうぞ」
「フフフ、では遠慮なく。シルビア様にお願いがありますの、このお菓子を食べてくださいな」
ネリーはテーブルの上に置いてあるマカロンのうちの一つをシルビアに差し出す。そのマカロンは一つだけ新緑色をした珍しいものだった。
「なぜ私にこれを?」
「私の幸せの為です。お食べになって」
「嫌だと言ったら、どうするのかしら?」
「どうもしませんわ。お茶会は終了となりシルビア様は元気なお姿のまま帰るだけです。あ、そうそう、人族のドーマという女は何処かで死ぬかもしれませんね♪」
いきなりネリーは関係のない人物の名前を出してきた。実は『ドーマ』はシルビアの乳母で、シルビアがニギ国にいた頃の数少ない味方であり、無事生き延びる事が出来たのもドーマの支えがあってこそだった。ネリーはその事を調べ上げ、ドーマを人質にしシルビアに死を迫っている。
「ドーマに害をなすことは許しません!ネリー妃、私を毒殺して無事で済むと思っているのですか、逃げられませんよ」
「大丈夫です、この毒は検出されません。シルビア様が死んだら、マカロンの新緑色の成分であるアルザー草のアレルギー中毒死となる予定です。ニギ国の王妃が幼少の頃からのアレルギーを証言してくれる約束になっていますの」
「王妃の駒となって破滅しますよ。人生を捨てるの?」
「うるさい!うるさい!さっさと食べなさい、ドーマを殺すわよ!」
「分かったわ、今から食べるから、ドーマは絶対に開放しなさい」
ドーマを見捨てるという選択肢はない、実母亡き後、母のように自分を慈しんでれた存在なのだ。幼き頃より毒殺にもさらされ、毒の耐性も普通よりはある。生き残る可能性に懸ける決心をした。
シルビアは微笑みながら、新緑色のマカロンを手に取り口に入れる。甘い香りと異常に甘すぎる味が口の中いっぱいに広がるのを感じながら椅子から崩れ落ちていく。
「キャー、シルビア様が。誰か早く早く!」
ネリーの慌てた叫び声と嬉しさを隠しきれていない口元を見ながら、シルビアはゆっくりと目を閉じていった…。
以前三人の側妃達と正妃がお茶会をした東屋で、今日はネリー妃と正妃シルビアの二人だけのお茶会が行われている。今回はネリー妃の方からのお茶会のお誘いだった、『たった一人の後宮は淋しいので是非お喋りに来てください』と。これは罠だと分かっていたが、敢えて誘いを受けのだ。ガロンも陰から護衛し準備万端でお茶会に臨んでいる。
「今日は来てくださり有り難うございます。最近の後宮は淋しくて堪りませんわ」
「確かにネリー様お一人では淋しいでしょうね。今日は楽しくお喋りしましょう」
「はい。そういえばお恥ずかしい話ですが、個人的な悩みを相談したいので周りの者達を下がらせていただけませんか?シルビア様にだけ聞いて欲しいのです」
時間が惜しいのか、それとも何か焦っているのか。早速、ネリーは仕掛けてこようとする。
シルビアは陰で護衛しているガロンに『声を掛けるまで動くな』とこっそり合図を送る。
「まあ、それなら侍女や護衛騎士達は下がらせましょう。みんなここは後宮だから安全だわ、暫く下がっていなさい」
シルビアの命を受け、後宮の侍女達・シルビアの侍女サーサ・護衛騎士ダイは声が届かない場所まで素早く離れて行った。
「これでいいかしら、ネリー様お話をどうぞ」
「フフフ、では遠慮なく。シルビア様にお願いがありますの、このお菓子を食べてくださいな」
ネリーはテーブルの上に置いてあるマカロンのうちの一つをシルビアに差し出す。そのマカロンは一つだけ新緑色をした珍しいものだった。
「なぜ私にこれを?」
「私の幸せの為です。お食べになって」
「嫌だと言ったら、どうするのかしら?」
「どうもしませんわ。お茶会は終了となりシルビア様は元気なお姿のまま帰るだけです。あ、そうそう、人族のドーマという女は何処かで死ぬかもしれませんね♪」
いきなりネリーは関係のない人物の名前を出してきた。実は『ドーマ』はシルビアの乳母で、シルビアがニギ国にいた頃の数少ない味方であり、無事生き延びる事が出来たのもドーマの支えがあってこそだった。ネリーはその事を調べ上げ、ドーマを人質にしシルビアに死を迫っている。
「ドーマに害をなすことは許しません!ネリー妃、私を毒殺して無事で済むと思っているのですか、逃げられませんよ」
「大丈夫です、この毒は検出されません。シルビア様が死んだら、マカロンの新緑色の成分であるアルザー草のアレルギー中毒死となる予定です。ニギ国の王妃が幼少の頃からのアレルギーを証言してくれる約束になっていますの」
「王妃の駒となって破滅しますよ。人生を捨てるの?」
「うるさい!うるさい!さっさと食べなさい、ドーマを殺すわよ!」
「分かったわ、今から食べるから、ドーマは絶対に開放しなさい」
ドーマを見捨てるという選択肢はない、実母亡き後、母のように自分を慈しんでれた存在なのだ。幼き頃より毒殺にもさらされ、毒の耐性も普通よりはある。生き残る可能性に懸ける決心をした。
シルビアは微笑みながら、新緑色のマカロンを手に取り口に入れる。甘い香りと異常に甘すぎる味が口の中いっぱいに広がるのを感じながら椅子から崩れ落ちていく。
「キャー、シルビア様が。誰か早く早く!」
ネリーの慌てた叫び声と嬉しさを隠しきれていない口元を見ながら、シルビアはゆっくりと目を閉じていった…。
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