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4-2 犬になった私
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「ワンワン!ワンワンワンワワーン!!」
(やった!ついに人間になれたわー!!)
心からの叫びと同時に自分の口から犬の鳴き声が飛び出てきた。
「ワン?」
(え?)
「ワワワワン?ワンワン?」
(犬の声?嘘よね?)
「ワォーン!!」
(そんなー!!)
何と、次に私が変身したのは犬だったのだ。
「そんな!絶対今度こそ人間に戻れたと思ったのに……まさか犬になってしまうなんて!」
しかも自分の体を改めて見ると、何だか子猫のときに比べて随分身体が大きく見える。
その証拠に自分の前足の太いこと!
そして、何気なく壁に掛けてある姿見が目に入り……。
「ヒャアアアッ!!な、なんてビッグサイズなの!!」
鏡に写った私の姿は白いフワッフワッの毛の大型犬だった。
「こ、この姿は……恐らく、グレート・ピレニーズだわ!だけど、ハンパじゃない大きさね……下手したら大人より大きいんじゃいないかしら……」
その時……。
「う……。ミ、ミルク……?」
クロードのうめき声が聞こえた。そうだ!クロード!
思わず声を出しそうになり、慌てて言葉を飲み込む。もし、ここでワンワン吠えようものなら他の人達に驚かれてしまう。
するとちょうどそこへバタバタと部屋の中にジャックを先頭に3人のフットマンが飛び込んできた。
「うわあああ!な、何だ!あの巨大な犬は!!」
ジャックが叫ぶ。
しまった!隠れる前に見つかってしまった。
「ワンワンワンワン!ワンワンワン!」
(私は怪しい犬じゃないわ!信じて!)
「な、何だよ……この犬……俺たちを威嚇しているのか?」
「このままじゃクロード様に近づけないぞ……」
「一体何処から湧いてでてきたんだよ」
フットマンたちは朗らかに怯えた様子で私を見ている。
「ワンワン!ワンワンワンワワワン!」
(ちょっと!人を虫のように言わないでよ!)
「うわ!ほ、吠えまくってるぞ……!」
「どうすればいいんだよ……!」
「クロード様……!」
ジャックは青ざめている。
「ま、まさかミルクはあの犬に食べられたんじゃ……!」
何いっ?!食べられた?冗談じゃないっ!こうなったら……。
私は床に倒れているクロードの襟首を咥えた。
「ヒイッ!クロード様が!!」
1人のフットマンが叫ぶが、知ったことではない。私はクロードの首が閉まらないように気をつけながら彼を引きずるようにしてフットマン達の元へ向かった。
彼らは驚きの為か、恐怖の為かは定かでは無いが固まったままその場から動けないでいる。
私はクロードを彼らのすぐ側まで連れてくると、咥えていた襟首を離した。
「ワン!ワンワンワンワン!」
(さぁ!早くクロードを診てあげて!)
「何だか、俺たちにクロード様を託しているように見えないか?」
「あ、ああ。そうだな……」
「……」
何故か、ジャックだけは私をじっと見下ろしている。
「ワン?」
(何?)
「お前……ひょっとして……」
ジャックが何か言いかける。もしかして私がミルクだと気づいたのだろうか?
ええ、そうよ!今はこんな大型犬になったけど、私はミルクよ!
目をキラキラさせながら私はちぎれんばかりに尻尾を振った。しかし、期待とは裏腹な台詞がジャックから飛び出す。
「迷い犬か?!そうなんだな?誰かに飼われていたんだろう?」
ガクッ!
あまりにも見当違いのことを言うジャック。そこへフットマンたちが声を掛けてきた。
「おい、どうしたんだよ。ジャック。早くクロード様を運ばないと」
「だが俺たちだけじゃ無理だな。車椅子でも持ってくるか?」
え?クロードを運べない?
その言葉に私の耳はピクリと動いた――。
(やった!ついに人間になれたわー!!)
心からの叫びと同時に自分の口から犬の鳴き声が飛び出てきた。
「ワン?」
(え?)
「ワワワワン?ワンワン?」
(犬の声?嘘よね?)
「ワォーン!!」
(そんなー!!)
何と、次に私が変身したのは犬だったのだ。
「そんな!絶対今度こそ人間に戻れたと思ったのに……まさか犬になってしまうなんて!」
しかも自分の体を改めて見ると、何だか子猫のときに比べて随分身体が大きく見える。
その証拠に自分の前足の太いこと!
そして、何気なく壁に掛けてある姿見が目に入り……。
「ヒャアアアッ!!な、なんてビッグサイズなの!!」
鏡に写った私の姿は白いフワッフワッの毛の大型犬だった。
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その時……。
「う……。ミ、ミルク……?」
クロードのうめき声が聞こえた。そうだ!クロード!
思わず声を出しそうになり、慌てて言葉を飲み込む。もし、ここでワンワン吠えようものなら他の人達に驚かれてしまう。
するとちょうどそこへバタバタと部屋の中にジャックを先頭に3人のフットマンが飛び込んできた。
「うわあああ!な、何だ!あの巨大な犬は!!」
ジャックが叫ぶ。
しまった!隠れる前に見つかってしまった。
「ワンワンワンワン!ワンワンワン!」
(私は怪しい犬じゃないわ!信じて!)
「な、何だよ……この犬……俺たちを威嚇しているのか?」
「このままじゃクロード様に近づけないぞ……」
「一体何処から湧いてでてきたんだよ」
フットマンたちは朗らかに怯えた様子で私を見ている。
「ワンワン!ワンワンワンワワワン!」
(ちょっと!人を虫のように言わないでよ!)
「うわ!ほ、吠えまくってるぞ……!」
「どうすればいいんだよ……!」
「クロード様……!」
ジャックは青ざめている。
「ま、まさかミルクはあの犬に食べられたんじゃ……!」
何いっ?!食べられた?冗談じゃないっ!こうなったら……。
私は床に倒れているクロードの襟首を咥えた。
「ヒイッ!クロード様が!!」
1人のフットマンが叫ぶが、知ったことではない。私はクロードの首が閉まらないように気をつけながら彼を引きずるようにしてフットマン達の元へ向かった。
彼らは驚きの為か、恐怖の為かは定かでは無いが固まったままその場から動けないでいる。
私はクロードを彼らのすぐ側まで連れてくると、咥えていた襟首を離した。
「ワン!ワンワンワンワン!」
(さぁ!早くクロードを診てあげて!)
「何だか、俺たちにクロード様を託しているように見えないか?」
「あ、ああ。そうだな……」
「……」
何故か、ジャックだけは私をじっと見下ろしている。
「ワン?」
(何?)
「お前……ひょっとして……」
ジャックが何か言いかける。もしかして私がミルクだと気づいたのだろうか?
ええ、そうよ!今はこんな大型犬になったけど、私はミルクよ!
目をキラキラさせながら私はちぎれんばかりに尻尾を振った。しかし、期待とは裏腹な台詞がジャックから飛び出す。
「迷い犬か?!そうなんだな?誰かに飼われていたんだろう?」
ガクッ!
あまりにも見当違いのことを言うジャック。そこへフットマンたちが声を掛けてきた。
「おい、どうしたんだよ。ジャック。早くクロード様を運ばないと」
「だが俺たちだけじゃ無理だな。車椅子でも持ってくるか?」
え?クロードを運べない?
その言葉に私の耳はピクリと動いた――。
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