20 / 221
第20話 ごまかす悪役令息
しおりを挟む
「あっという間に終わったな。てっきり乱闘騒ぎにでもなると思ったが」
突然背後からブラッドリーが声を掛けて来た。
「ブラッドリー…どうせついてきたなら、何で今頃現れるんだよ」
全く、ちゃっかりしている。
「いやぁ?ここはヒーローらしくお前ひとりに任せておいた方がいいんじゃないかなと思っただけさ。でも本当に乱闘騒ぎになりそうになったら加勢しようと思っていたんだぜ?」
何処まで本心で話しているのか。ブラッドリーはニヤニヤと腕組みしている。
「あの…ひょっとしてアドルフ様はブラッドリー様とご一緒だったのですか?」
エディットが僕たちの顔を交互に見ながら尋ねて来た。
「う、うん‥‥まぁ…ね‥‥」
曖昧に返事をするものの、内心焦っていた。
しまった。
昨日エディットには今日は試験勉強をすると話していたのに、ブラッドリーと一緒に町に来ていたと思われてしまう。
「ああ、以前から約束していたからな。今日は2人で記念式典に参加する為のスーツ選びに行こうって」
ブラッドリーが余計なことを言う…というか、妙にニヤニヤしながら説明するところを見ると、明らかに嫌がらせの為に言ってるとしか思えない。
これではまたエディットの中で僕の評価が下がってしまう。
また一歩、追放への道がちかづいてしまうじゃないか
「‥‥」
僕は恐る恐るエディットの様子をうかがった。
「そうだったのですね。お2人は本当に仲が宜しいのですね?」
しかしエディットは僕の見る限り、左程気にした様子は無かった。
よし、それなら……。
「う、うん。そうなんだ‥‥。以前からブラッドリーと約束していたらしいんだけど、ほら。馬に蹴られたショックで色々記憶が混濁しているものだから約束のこと忘れていたんだよ」
弁明するも、これでは何だか言い訳しているみたいだ。
すると何を考えているのかブラッドリーがとんでもないことをエディットに尋ねて来た。
「まぁ、そんなことはどうでもいいさ。それより、エディット。どうだった?ピンチの時に駆けつけたアドルフ。何だかヒーローみたいに見えなかったか?」
「ええ、そうですね。ブラッドリー様の仰る通り、ヒーローみたいでした」
素直に返事をするエディットは流石はヒロインだ。
けれども僕はヒーローなどでは無い。
「それは違うよ。僕はヒーローなんかじゃないよ。本当のヒーローは…‥」
そこではたと気付い、僕は口を閉じた。
まずい、あやうく余計なことを口走りそうになってしまった。
今から真の相手をネタ晴らししてしまえば、いざ出会った時にエディットが意識して自然に振舞えないかもしれないじゃないか。
そうなると物語の展開が変わってしまうかもしれない。
「うん?アドルフ。今何か言いかけなかったか?」
ブラッドリーが尋ねて来た。
「いや、何でも無いよ」
頼むからこれ以上突っ込まないでくれ。
「でも今本当のヒーローはって……」
「それよりもさっ!エディット」
僕はブラッドリーを無視すると、エディットに向き直った。
「は、はい」
「1人で買い物に来ていたんだろう?買い物は終わったのかい?」
「はい、買い物なら終わりました」
「なら一緒に帰ろう?屋敷まで送るよ。また変なのに声を掛けられたりしたら危ないからね」
「え…でもそれではブラッドリー様に…悪いのではありませんか?」
エディットはブラッドリーを見た。
「あ~。俺のことは気にしなくていいから。それじゃ、アドルフ。ちゃんと婚約者殿を送り届けてやれよ?」
ブラッドリーは笑顔で答えると、「それじゃあな」と言って立ち去って行った。
「それじゃ僕たちも行こうか?エディットは何でここまで来たんだい?」
「実は…辻馬車に乗って町まで来たのです」
「辻馬車か…僕も実はブラッドリーに乗せて貰ってここまで来たんだよね。それじゃ一緒に辻馬車に乗って帰ろうか?」
「はい、よろしくお願いします」
エディットは僕に笑顔を見せた。
その時になって、僕は気づいた。
今のエディットは僕を怖がらないで会話をしているということに――。
突然背後からブラッドリーが声を掛けて来た。
「ブラッドリー…どうせついてきたなら、何で今頃現れるんだよ」
全く、ちゃっかりしている。
「いやぁ?ここはヒーローらしくお前ひとりに任せておいた方がいいんじゃないかなと思っただけさ。でも本当に乱闘騒ぎになりそうになったら加勢しようと思っていたんだぜ?」
何処まで本心で話しているのか。ブラッドリーはニヤニヤと腕組みしている。
「あの…ひょっとしてアドルフ様はブラッドリー様とご一緒だったのですか?」
エディットが僕たちの顔を交互に見ながら尋ねて来た。
「う、うん‥‥まぁ…ね‥‥」
曖昧に返事をするものの、内心焦っていた。
しまった。
昨日エディットには今日は試験勉強をすると話していたのに、ブラッドリーと一緒に町に来ていたと思われてしまう。
「ああ、以前から約束していたからな。今日は2人で記念式典に参加する為のスーツ選びに行こうって」
ブラッドリーが余計なことを言う…というか、妙にニヤニヤしながら説明するところを見ると、明らかに嫌がらせの為に言ってるとしか思えない。
これではまたエディットの中で僕の評価が下がってしまう。
また一歩、追放への道がちかづいてしまうじゃないか
「‥‥」
僕は恐る恐るエディットの様子をうかがった。
「そうだったのですね。お2人は本当に仲が宜しいのですね?」
しかしエディットは僕の見る限り、左程気にした様子は無かった。
よし、それなら……。
「う、うん。そうなんだ‥‥。以前からブラッドリーと約束していたらしいんだけど、ほら。馬に蹴られたショックで色々記憶が混濁しているものだから約束のこと忘れていたんだよ」
弁明するも、これでは何だか言い訳しているみたいだ。
すると何を考えているのかブラッドリーがとんでもないことをエディットに尋ねて来た。
「まぁ、そんなことはどうでもいいさ。それより、エディット。どうだった?ピンチの時に駆けつけたアドルフ。何だかヒーローみたいに見えなかったか?」
「ええ、そうですね。ブラッドリー様の仰る通り、ヒーローみたいでした」
素直に返事をするエディットは流石はヒロインだ。
けれども僕はヒーローなどでは無い。
「それは違うよ。僕はヒーローなんかじゃないよ。本当のヒーローは…‥」
そこではたと気付い、僕は口を閉じた。
まずい、あやうく余計なことを口走りそうになってしまった。
今から真の相手をネタ晴らししてしまえば、いざ出会った時にエディットが意識して自然に振舞えないかもしれないじゃないか。
そうなると物語の展開が変わってしまうかもしれない。
「うん?アドルフ。今何か言いかけなかったか?」
ブラッドリーが尋ねて来た。
「いや、何でも無いよ」
頼むからこれ以上突っ込まないでくれ。
「でも今本当のヒーローはって……」
「それよりもさっ!エディット」
僕はブラッドリーを無視すると、エディットに向き直った。
「は、はい」
「1人で買い物に来ていたんだろう?買い物は終わったのかい?」
「はい、買い物なら終わりました」
「なら一緒に帰ろう?屋敷まで送るよ。また変なのに声を掛けられたりしたら危ないからね」
「え…でもそれではブラッドリー様に…悪いのではありませんか?」
エディットはブラッドリーを見た。
「あ~。俺のことは気にしなくていいから。それじゃ、アドルフ。ちゃんと婚約者殿を送り届けてやれよ?」
ブラッドリーは笑顔で答えると、「それじゃあな」と言って立ち去って行った。
「それじゃ僕たちも行こうか?エディットは何でここまで来たんだい?」
「実は…辻馬車に乗って町まで来たのです」
「辻馬車か…僕も実はブラッドリーに乗せて貰ってここまで来たんだよね。それじゃ一緒に辻馬車に乗って帰ろうか?」
「はい、よろしくお願いします」
エディットは僕に笑顔を見せた。
その時になって、僕は気づいた。
今のエディットは僕を怖がらないで会話をしているということに――。
21
あなたにおすすめの小説
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」
ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。
竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。
そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。
それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。
その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた!
『ママ! 早く僕を産んでよ!』
「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」
お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない!
それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――!
これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。
設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。
悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!
くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。
ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。
マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ!
悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。
少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!!
ほんの少しシリアスもある!かもです。
気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。
月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)
枯れ専モブ令嬢のはずが…どうしてこうなった!
宵森みなと
恋愛
気づけば異世界。しかもモブ美少女な伯爵令嬢に転生していたわたくし。
静かに余生——いえ、学園生活を送る予定でしたのに、魔法暴発事件で隠していた全属性持ちがバレてしまい、なぜか王子に目をつけられ、魔法師団から訓練指導、さらには騎士団長にも出会ってしまうという急展開。
……団長様方、どうしてそんなに推せるお顔をしていらっしゃるのですか?
枯れ専なわたくしの理性がもちません——と思いつつ、学園生活を謳歌しつつ魔法の訓練や騎士団での治療の手助けと
忙しい日々。残念ながらお子様には興味がありませんとヒロイン(自称)の取り巻きへの塩対応に、怒らせると意外に強烈パンチの言葉を話すモブ令嬢(自称)
これは、恋と使命のはざまで悩む“ちんまり美少女令嬢”が、騎士団と王都を巻き込みながら心を育てていく、
――枯れ専ヒロインのほんわか異世界成長ラブファンタジーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる