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第33話 ヒロインに褒められる悪役令息
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徐々に日は暮れ、今や夜空は赤紫色から紺色のグラデーションカラーに染まっていた。
その光景が、今夜限りのフェスティバルの為に市中のあちこちに吊るされたランタンのオレンジ色の灯りに照らされている。
それは、思わずため息が出る程に幻想的で…とても美しい光景だった。
「綺麗な夕焼け空だな‥‥…。まさしく『マジックアワー』だ」
人混みを歩きながら空を見て呟いた僕の言葉はエディットに聞こえていた。
「アドルフ様。『マジックアワー』とは何ですか?」
「あれ?エディットは知らないのかな?『マジックアワー』って言うのはね、日の出や日の入りの前後に空の色が変化する時間で、美しい空が見られる時間帯のことを言うんだよ?」
そしてエディットに促す。
「ほら、グラデーションが美しい空だと思わない?」
僕に言われて空を見つめたエディットは頷いた。
「そうですね。本当に美しい空です。何だか幻想的ですし…。ランタンの灯りも美しくて、今夜はまるで夢の世界にいるような気分です」
「夢の世界か……。うん、そうかもしれないね」
そうか……。
だからあの漫画の中でも、この『ランタンフェスティバル』の話が強調して描かれていたのか。
尤も詳しい内容は今となっては、あまり良く覚えていないけれども。
僕がこの世界に転生することが分かっていたら、もっと真剣にあの漫画を読んでいたのにな…。
題名迄覚えていないとは情けない。
「それにしてもアドルフ様は博識なのですね。驚きました」
手を繋いで歩いていたエディットが顔を上げて僕を見た。
「え?ええ?!僕が博識だって?!」
まさか学年で常に10位以内の成績をおさめるエディットに博識と言われるとは思わなかった。
「はい、そうです。先ほど私が馬車の中で出した歴史の問題も全て答えられましたよね?今だって、『マジックアワー』のことを教えてくれましたし」
エディットは笑顔で僕を見つめている。
「あ~…歴史の問題はたまたま覚えていた部分だったし…元々空を見るのは好きだから『マジックアワー』のことを知っていただけだよ」
でもこの世界のヒロインに褒められるのは悪い気がしない。
「いいえ、そんなことありません。私が出した問題は歴史の流れをきちんと理解できていなければ解けませんから。サンルームでも真剣に教科書を読んでいらっしゃいましたよね?とてもすごい集中力でした」
「そ、そうかな……?」
何故だろう?
僕はエディットを散々虐めて来た悪役令息なのに……何だか随分彼女に褒められている気がする。
しかも、美しい容姿のヒロインに尊敬の眼差し?で見つめられるものだから、照れくさくて仕方ない。
「それよりさ、エディットがランタンを預けているお店はどこかな?」
気恥ずかしい気持ちをごまかすために、僕はエディットに尋ねた。
「あ、それならあのお店ですよ。あの街路樹の正面にオレンジ色の屋根のお店が見えますよね?」
エディットの視線の先を追うと、確かにオレンジ色の屋根が見える。
「ひょっとしてあの店が『ランタン』を買った店なのかい?」
「はい、そうです。早速行ってみましょう?」
「うん、そうだね。行こう、エディット」
僕とエディットは人混みをかき分けながら、店に向かった。
互いにはぐれないように、しっかりとお互いの手を握りしめながら――。
その光景が、今夜限りのフェスティバルの為に市中のあちこちに吊るされたランタンのオレンジ色の灯りに照らされている。
それは、思わずため息が出る程に幻想的で…とても美しい光景だった。
「綺麗な夕焼け空だな‥‥…。まさしく『マジックアワー』だ」
人混みを歩きながら空を見て呟いた僕の言葉はエディットに聞こえていた。
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「あれ?エディットは知らないのかな?『マジックアワー』って言うのはね、日の出や日の入りの前後に空の色が変化する時間で、美しい空が見られる時間帯のことを言うんだよ?」
そしてエディットに促す。
「ほら、グラデーションが美しい空だと思わない?」
僕に言われて空を見つめたエディットは頷いた。
「そうですね。本当に美しい空です。何だか幻想的ですし…。ランタンの灯りも美しくて、今夜はまるで夢の世界にいるような気分です」
「夢の世界か……。うん、そうかもしれないね」
そうか……。
だからあの漫画の中でも、この『ランタンフェスティバル』の話が強調して描かれていたのか。
尤も詳しい内容は今となっては、あまり良く覚えていないけれども。
僕がこの世界に転生することが分かっていたら、もっと真剣にあの漫画を読んでいたのにな…。
題名迄覚えていないとは情けない。
「それにしてもアドルフ様は博識なのですね。驚きました」
手を繋いで歩いていたエディットが顔を上げて僕を見た。
「え?ええ?!僕が博識だって?!」
まさか学年で常に10位以内の成績をおさめるエディットに博識と言われるとは思わなかった。
「はい、そうです。先ほど私が馬車の中で出した歴史の問題も全て答えられましたよね?今だって、『マジックアワー』のことを教えてくれましたし」
エディットは笑顔で僕を見つめている。
「あ~…歴史の問題はたまたま覚えていた部分だったし…元々空を見るのは好きだから『マジックアワー』のことを知っていただけだよ」
でもこの世界のヒロインに褒められるのは悪い気がしない。
「いいえ、そんなことありません。私が出した問題は歴史の流れをきちんと理解できていなければ解けませんから。サンルームでも真剣に教科書を読んでいらっしゃいましたよね?とてもすごい集中力でした」
「そ、そうかな……?」
何故だろう?
僕はエディットを散々虐めて来た悪役令息なのに……何だか随分彼女に褒められている気がする。
しかも、美しい容姿のヒロインに尊敬の眼差し?で見つめられるものだから、照れくさくて仕方ない。
「それよりさ、エディットがランタンを預けているお店はどこかな?」
気恥ずかしい気持ちをごまかすために、僕はエディットに尋ねた。
「あ、それならあのお店ですよ。あの街路樹の正面にオレンジ色の屋根のお店が見えますよね?」
エディットの視線の先を追うと、確かにオレンジ色の屋根が見える。
「ひょっとしてあの店が『ランタン』を買った店なのかい?」
「はい、そうです。早速行ってみましょう?」
「うん、そうだね。行こう、エディット」
僕とエディットは人混みをかき分けながら、店に向かった。
互いにはぐれないように、しっかりとお互いの手を握りしめながら――。
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