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第80話 ガゼボでランチ
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エディットの手作りランチはどれもとても美味しかった。
「アドルフ様、お味はいかがですか?」
「うん、エディットは料理が上手だね。どのロールサンドもすごく美味しいよ」
甘い食べ物は苦手だけれども、このロールサンドならお世辞抜きで美味しいと言える。
「本当ですか?ありがとうございます」
嬉しそうに頬を染めるエディット。
そこでふと、気になることがあって尋ねることにした。
「大丈夫?寒く無い?」
「はい大丈夫です。ここは日差しも差し込んで暖かいですから」
「そう?それなら良かった。一応エディットの為に膝掛けを用意したけど、大丈夫そうかな?」
念の為に、教室を出る時に持ってきたカバンの中には自宅から持ってきた茶色の膝掛けが入っていた。
「お気遣い、ありがとうございます。でも本当に大丈夫ですから」
エディットの様子から無理を言っているようには見えなかった。
「それじゃ、もし寒くなったらいつでも言うんだよ?」
「はい、分かりました。ところでアドルフ様。明日は学院がお休みですよね?それで明日の予定のことなのですが……」
「あ……」
エディットの言葉に、僕は肝心なことを思い出した。
「ごめん!エディット!明日は一緒に過ごすことが出来ないんだ。実はブラッドリーと約束があって……無理なんだ。本当にごめん」
エディットに頭を下げた。
「まぁ、そうだったのですか?実は…私も明日は用事があるので、アドルフ様とお会いすることが出来ないのです」
「え?エディットも?」
それは好都合ではあったけれども、エディットの用事とは一体何だろう?
知りたいけれども、流石に尋ねるのはまずいだろうな……。
けれどエディットは僕の胸の内を察したのか、教えてくれた。
「あの、実はアリスさんと一緒にお出かけすることになったのです。来月開催される記念式典パーティーに参加する為のドレスを一緒に選んで欲しいと頼まれまして」
「え……?」
アリス……アリスだって?!
それは、サチのことじゃないか!
つまりエディットは明日サチと一緒に町へ出掛けるということなのか?
「そうなんだ。アリスさんと一緒に出掛けるんだね?」
「はい、そうです」
「そっか……彼女と……」
一体サチは何を考えているのだろう?
直接会って話を聞きたいけれども、サチと2人で会うことは出来ない。
もし仮に2人で会っているところをエディットに見られたら、また僕達の関係を誤解して悲しい思いをさせてしまうかもしれない。
「アドルフ様?どうかされましたか?」
黙り込んでしまった僕心配するかのようエディットが声を掛けてきた。
「ううん、何でも無いよ。エディットならセンスが良いから、きっと素敵なドレスを選んであげられるだろうね」
「センスが良いかはわかりませんが、アリスさんに似合うドレスを一緒に探して上げたいと思っています」
はにかんだ笑みをうかべるエディット。
その後も僕とエディットは午後の授業開始の予鈴が鳴るまでの間、2人でガゼボで話をしながら過ごし、別々に教室へと戻った。
また、放課後一緒に帰る約束をして――。
****
キーンコーンカーンコーン……
午後の授業も無事終了し、ようやく放課後になった。
「あーようやく、明日は待ちに待った休みだ」
ラモンが首をコキコキと鳴らした。
「ああ、長かったよな。でも、来月に入れば記念式典の準備が入ってくるから授業も楽になってくるからもう少しの辛抱だ」
ラモンの言葉に賛同するエミリオ。
成程、12月に入る頃には授業の回数が減ってくるのか……。
片付けをしながら悪友たちの会話に耳を傾けていると、ブラッドリーが声を掛けてきた。
「おい、アドルフ。明日の約束……忘れるなよ?」
「分かってるって。それで何時にどうすればいい?」
「それじゃ、明日10時にお前が俺の家に迎えに来てくれよ。場所は分かってるんだろう?」
「え……?」
ブラッドリーの家…?
いくら思い出そうとしても、無理だった。
「何だよ、やっぱりまだ思い出せないのかよ」
ため息をつくブラッドリー。
「うん、ごめん……」
謝る僕にブラッドリーが肩をすくめた。
「仕方ない奴だな……。しようがない、また明日は俺がお前の家に行くよ」
「うん、そうしてくれると助かるな」
すると僕達の会話を聞いていたラモンとエミリオが話に混ざってきた。
「お前、いつになったら記憶喪失が戻るんだよ?」
「全くだ。まるで今のお前は別人みたいだ」
「え?」
別人……その言葉にドキリとする。
「いや、それはないだろう。何しろ、アドルフは……」
「おーい、ブラッドリー。お前日直だろう?先生が呼んでるぞ!」
ブラッドリーがそこまで言いかけた時、突然別の学生が声を掛けてきた。
「あ!まずい!そうだった!それじゃアドルフ!明日10時に迎えに行くからな!」
ブラッドリーは慌てて教室を出て行った。
「ほら、お前も早く行ったほうが良いぞ」
「婚約者が待ってるんだろう?」
ラモンとエミリオが僕に声を掛けてくる。
「う、うん。それじゃ帰るよ、また来週」
「ああ」
「またな」
そしてカバンを持つと、急ぎ足でエディットといつもの待ち合わせ場所へ向かった。
ブラッドリーは一体何を言おうとしていたのだろうと少しの疑問を抱えながら――。
「アドルフ様、お味はいかがですか?」
「うん、エディットは料理が上手だね。どのロールサンドもすごく美味しいよ」
甘い食べ物は苦手だけれども、このロールサンドならお世辞抜きで美味しいと言える。
「本当ですか?ありがとうございます」
嬉しそうに頬を染めるエディット。
そこでふと、気になることがあって尋ねることにした。
「大丈夫?寒く無い?」
「はい大丈夫です。ここは日差しも差し込んで暖かいですから」
「そう?それなら良かった。一応エディットの為に膝掛けを用意したけど、大丈夫そうかな?」
念の為に、教室を出る時に持ってきたカバンの中には自宅から持ってきた茶色の膝掛けが入っていた。
「お気遣い、ありがとうございます。でも本当に大丈夫ですから」
エディットの様子から無理を言っているようには見えなかった。
「それじゃ、もし寒くなったらいつでも言うんだよ?」
「はい、分かりました。ところでアドルフ様。明日は学院がお休みですよね?それで明日の予定のことなのですが……」
「あ……」
エディットの言葉に、僕は肝心なことを思い出した。
「ごめん!エディット!明日は一緒に過ごすことが出来ないんだ。実はブラッドリーと約束があって……無理なんだ。本当にごめん」
エディットに頭を下げた。
「まぁ、そうだったのですか?実は…私も明日は用事があるので、アドルフ様とお会いすることが出来ないのです」
「え?エディットも?」
それは好都合ではあったけれども、エディットの用事とは一体何だろう?
知りたいけれども、流石に尋ねるのはまずいだろうな……。
けれどエディットは僕の胸の内を察したのか、教えてくれた。
「あの、実はアリスさんと一緒にお出かけすることになったのです。来月開催される記念式典パーティーに参加する為のドレスを一緒に選んで欲しいと頼まれまして」
「え……?」
アリス……アリスだって?!
それは、サチのことじゃないか!
つまりエディットは明日サチと一緒に町へ出掛けるということなのか?
「そうなんだ。アリスさんと一緒に出掛けるんだね?」
「はい、そうです」
「そっか……彼女と……」
一体サチは何を考えているのだろう?
直接会って話を聞きたいけれども、サチと2人で会うことは出来ない。
もし仮に2人で会っているところをエディットに見られたら、また僕達の関係を誤解して悲しい思いをさせてしまうかもしれない。
「アドルフ様?どうかされましたか?」
黙り込んでしまった僕心配するかのようエディットが声を掛けてきた。
「ううん、何でも無いよ。エディットならセンスが良いから、きっと素敵なドレスを選んであげられるだろうね」
「センスが良いかはわかりませんが、アリスさんに似合うドレスを一緒に探して上げたいと思っています」
はにかんだ笑みをうかべるエディット。
その後も僕とエディットは午後の授業開始の予鈴が鳴るまでの間、2人でガゼボで話をしながら過ごし、別々に教室へと戻った。
また、放課後一緒に帰る約束をして――。
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キーンコーンカーンコーン……
午後の授業も無事終了し、ようやく放課後になった。
「あーようやく、明日は待ちに待った休みだ」
ラモンが首をコキコキと鳴らした。
「ああ、長かったよな。でも、来月に入れば記念式典の準備が入ってくるから授業も楽になってくるからもう少しの辛抱だ」
ラモンの言葉に賛同するエミリオ。
成程、12月に入る頃には授業の回数が減ってくるのか……。
片付けをしながら悪友たちの会話に耳を傾けていると、ブラッドリーが声を掛けてきた。
「おい、アドルフ。明日の約束……忘れるなよ?」
「分かってるって。それで何時にどうすればいい?」
「それじゃ、明日10時にお前が俺の家に迎えに来てくれよ。場所は分かってるんだろう?」
「え……?」
ブラッドリーの家…?
いくら思い出そうとしても、無理だった。
「何だよ、やっぱりまだ思い出せないのかよ」
ため息をつくブラッドリー。
「うん、ごめん……」
謝る僕にブラッドリーが肩をすくめた。
「仕方ない奴だな……。しようがない、また明日は俺がお前の家に行くよ」
「うん、そうしてくれると助かるな」
すると僕達の会話を聞いていたラモンとエミリオが話に混ざってきた。
「お前、いつになったら記憶喪失が戻るんだよ?」
「全くだ。まるで今のお前は別人みたいだ」
「え?」
別人……その言葉にドキリとする。
「いや、それはないだろう。何しろ、アドルフは……」
「おーい、ブラッドリー。お前日直だろう?先生が呼んでるぞ!」
ブラッドリーがそこまで言いかけた時、突然別の学生が声を掛けてきた。
「あ!まずい!そうだった!それじゃアドルフ!明日10時に迎えに行くからな!」
ブラッドリーは慌てて教室を出て行った。
「ほら、お前も早く行ったほうが良いぞ」
「婚約者が待ってるんだろう?」
ラモンとエミリオが僕に声を掛けてくる。
「う、うん。それじゃ帰るよ、また来週」
「ああ」
「またな」
そしてカバンを持つと、急ぎ足でエディットといつもの待ち合わせ場所へ向かった。
ブラッドリーは一体何を言おうとしていたのだろうと少しの疑問を抱えながら――。
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