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第116話 悪役令息の決意 1
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この日はエディットの馬車も帰っていた。
僕がいつ目を覚ますか分からないので、御者に帰って貰ったらしい。そこで僕たちは辻馬車に乗って、屋敷へ向かっていた。
「エディット、今日は僕が君の屋敷迄送るよ」
向かい側に座るエディットに声を掛けた。
「え?で、ですが私とアドルフ様の家とでは距離が……」
エディットの言葉を遮るように僕は首を振る。
「いいんだ。今日は……僕がエディットを見送りたいんだよ」
「アドルフ様……ありがとうございます」
ポツリと小さな声で僕にお礼を述べるエディット。
外はすっかり日が落ち、空はオレンジ色から紫色の夜空に変わりつつあった。
僕達が今乗っている馬車はいつものエディットの馬車ではなく、辻馬車だ。
やはり夜にもなる時間にエディットを1人、辻馬車に乗せて帰らせるわけにはいかなかったからだ。
「エディット……昨日は……本当にごめん……」
拳を握りしめ、再度僕はエディットに頭を下げた。
「アドルフ様……」
「あんな風に君を泣かすつもりは無かったんだ。僕はてっきりエディットはブラッドリーと一緒にいた方が……いいかと思って……。だけど……」
「‥‥…」
エディットは黙って僕の話を聞いている。まるで、話の続きを促すかのように。
「まさか、エディットがあんなに悲しむとは思わなかったんだ。何しろ馬に蹴られて記憶を失う前の僕は相当酷い人間だったみたいだから……」
「アドルフ様……だけど、私は知っていましたよ?」
「え?」
エディットの意外な言葉に目を見張った。
「本当は、アドルフ様が誰よりも優しい方だと言う事が。今だってそうです。だからある日、突然態度が変わってしまった時……周りの人達は驚いていましたけど、私はずっと信じていました。だってどんなに酷い態度を取っている時でも、アドルフ様はいつも私に申し訳なさそうな顔をしていましたから」
エディットは愛らしい笑みを浮かべながら僕に語りかけてくる。
「エディット……」
やっぱり、アドルフはわざとエディットに冷たい態度を取って演技をしていたんだ。彼女に嫌われる為に……。
アドルフが何故そんな態度を取ったのか、今なら分かる。それはブラッドリーの為だったんだ。
恐らく6年前に、わざわざ演技をしてでもアドルフはエディットに嫌われようとしなければならない何かがあったに違いない。
だけど、馬に蹴られたショックで、それまでの記憶を僕は無くしてしまった。
演技をしなければならない理由を忘れてしまったから以前と同じ性格に戻ってしまっただけなのかもしれない。
「アドルフ様?どうされましたか?」
エディットが首を傾げてこちらを見る。
「ううん……何でも無いよ」
そしてエディットの手に触れると、握りしめた。
「ア、アドルフ様……」
真っ赤になって僕を見つめるエディットは初めて会った時の彼女を思い出させる。
「ありがとう、僕をずっと信じてくれて」
「は、はい……」
真っ赤になって頷くエディットを見つめながら思った。
ブラッドリーに会って、きちんと話し合いをしなければ――と。
僕がいつ目を覚ますか分からないので、御者に帰って貰ったらしい。そこで僕たちは辻馬車に乗って、屋敷へ向かっていた。
「エディット、今日は僕が君の屋敷迄送るよ」
向かい側に座るエディットに声を掛けた。
「え?で、ですが私とアドルフ様の家とでは距離が……」
エディットの言葉を遮るように僕は首を振る。
「いいんだ。今日は……僕がエディットを見送りたいんだよ」
「アドルフ様……ありがとうございます」
ポツリと小さな声で僕にお礼を述べるエディット。
外はすっかり日が落ち、空はオレンジ色から紫色の夜空に変わりつつあった。
僕達が今乗っている馬車はいつものエディットの馬車ではなく、辻馬車だ。
やはり夜にもなる時間にエディットを1人、辻馬車に乗せて帰らせるわけにはいかなかったからだ。
「エディット……昨日は……本当にごめん……」
拳を握りしめ、再度僕はエディットに頭を下げた。
「アドルフ様……」
「あんな風に君を泣かすつもりは無かったんだ。僕はてっきりエディットはブラッドリーと一緒にいた方が……いいかと思って……。だけど……」
「‥‥…」
エディットは黙って僕の話を聞いている。まるで、話の続きを促すかのように。
「まさか、エディットがあんなに悲しむとは思わなかったんだ。何しろ馬に蹴られて記憶を失う前の僕は相当酷い人間だったみたいだから……」
「アドルフ様……だけど、私は知っていましたよ?」
「え?」
エディットの意外な言葉に目を見張った。
「本当は、アドルフ様が誰よりも優しい方だと言う事が。今だってそうです。だからある日、突然態度が変わってしまった時……周りの人達は驚いていましたけど、私はずっと信じていました。だってどんなに酷い態度を取っている時でも、アドルフ様はいつも私に申し訳なさそうな顔をしていましたから」
エディットは愛らしい笑みを浮かべながら僕に語りかけてくる。
「エディット……」
やっぱり、アドルフはわざとエディットに冷たい態度を取って演技をしていたんだ。彼女に嫌われる為に……。
アドルフが何故そんな態度を取ったのか、今なら分かる。それはブラッドリーの為だったんだ。
恐らく6年前に、わざわざ演技をしてでもアドルフはエディットに嫌われようとしなければならない何かがあったに違いない。
だけど、馬に蹴られたショックで、それまでの記憶を僕は無くしてしまった。
演技をしなければならない理由を忘れてしまったから以前と同じ性格に戻ってしまっただけなのかもしれない。
「アドルフ様?どうされましたか?」
エディットが首を傾げてこちらを見る。
「ううん……何でも無いよ」
そしてエディットの手に触れると、握りしめた。
「ア、アドルフ様……」
真っ赤になって僕を見つめるエディットは初めて会った時の彼女を思い出させる。
「ありがとう、僕をずっと信じてくれて」
「は、はい……」
真っ赤になって頷くエディットを見つめながら思った。
ブラッドリーに会って、きちんと話し合いをしなければ――と。
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