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第129話 2人の友人
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一通り話を聞いた後、予鈴が鳴り響いてすぐに担任の先生が教室に現れた。
てっきり僕かブラッドリーの件について何か話をしてくるだろうと構えていたけれども、先生は特に触れることは無かった。
そして今日の古代文字の試験は昼休み終了後の5時限目であることを知らされた。
「ふぅ~……古代文字の試験は5限目か。助かったぜ」
ホームルームが終わり、先生が教室を出るとラモンがため息をついた。
「全くだ。無駄な悪あがきかもしれないが、勉強しておくか。赤点だけは取りたくないからな」
驚いたことにエミリオが古代文字の教科書を取り出し、ぱらぱらとめくり始める。
「そうだな、俺もやっておくか。やらないよりはやった方がマシだもんな」
ラモン迄教科書を取り出した。
「え?ど、どうしたんだい。2人とも。いつもならそんなに真面目に試験を受けないじゃないか」
つい、思ったことを口にしてしまった。すると教科書を読んでいたエミリオが顔を上げた。
「アドルフ、お前知らなかったのか?」
「え?何のこと?」
すると脇からラモンが口を挟んできた。
「あのな、今回は試験で1科目でも赤点になったら記念式典パーティーに参加資格無くなるんだぞ?」
「え!そうだったの?!」
「ああ、だから見て見ろよ。他のクラスメイト達を」
エミリオが顎をしゃくって促した。
すると、確かにいつもやる気なさそうなクラスメイト達が必死の形相で勉強している姿があった。
「ほ、本当だ……」
すると背後から、何故か耳元でラモンが囁くように言う。
「どうだ?分かったか?皆互いのパートナーの為に必死になって勉強しているんだよ。ちなみに勉強を放棄しているのはパーティーに出ることも、相手を見つけるのも諦めた連中だ」
「な、成程……」
「お前は当然エディットと参加するつもりなんだろう?」
エミリオが声を掛けて来た。
「うん。当然ね」
「そうか、だったら試験頑張れよな。やっぱりブラッドリーよりもお前の方がお似合いだよ」
「ああ、俺もそう思うぜ。もうお前を何処かへ連れまわそうとはしないから、婚約者の傍にいてやれよ」
ラモンが僕の方にポンと手を置く。
やっぱり彼らはブラッドリーから何か話を聞いていたのかもしれない。
「ありがとう、エミリオ、ラモン。よし、それじゃ僕も試験勉強するよ」
こうして僕たちは1時限目が始まるまで、古代文字の勉強に励んだ。
****
キーンコーンカーンコーン
4限目の授業が終わりのチャイムが鳴った。
エディットを待たせない為に急いで机の上を片付けると僕は2人に声を掛けた。
「それじゃ僕は……」
最後まで言い終わらないうちに、ラモンがニヤリと笑った。
「エディットと昼休み過ごすんだろう」
「ほら、俺達に構わず行けよ」
シッシとエミリオが手で追い払う。
「うん。行くよ」
早くエディットに会って、ブラッドリーのことを伝えなければ。
鞄を持つと、急いでエディットの教室へ向かった――。
てっきり僕かブラッドリーの件について何か話をしてくるだろうと構えていたけれども、先生は特に触れることは無かった。
そして今日の古代文字の試験は昼休み終了後の5時限目であることを知らされた。
「ふぅ~……古代文字の試験は5限目か。助かったぜ」
ホームルームが終わり、先生が教室を出るとラモンがため息をついた。
「全くだ。無駄な悪あがきかもしれないが、勉強しておくか。赤点だけは取りたくないからな」
驚いたことにエミリオが古代文字の教科書を取り出し、ぱらぱらとめくり始める。
「そうだな、俺もやっておくか。やらないよりはやった方がマシだもんな」
ラモン迄教科書を取り出した。
「え?ど、どうしたんだい。2人とも。いつもならそんなに真面目に試験を受けないじゃないか」
つい、思ったことを口にしてしまった。すると教科書を読んでいたエミリオが顔を上げた。
「アドルフ、お前知らなかったのか?」
「え?何のこと?」
すると脇からラモンが口を挟んできた。
「あのな、今回は試験で1科目でも赤点になったら記念式典パーティーに参加資格無くなるんだぞ?」
「え!そうだったの?!」
「ああ、だから見て見ろよ。他のクラスメイト達を」
エミリオが顎をしゃくって促した。
すると、確かにいつもやる気なさそうなクラスメイト達が必死の形相で勉強している姿があった。
「ほ、本当だ……」
すると背後から、何故か耳元でラモンが囁くように言う。
「どうだ?分かったか?皆互いのパートナーの為に必死になって勉強しているんだよ。ちなみに勉強を放棄しているのはパーティーに出ることも、相手を見つけるのも諦めた連中だ」
「な、成程……」
「お前は当然エディットと参加するつもりなんだろう?」
エミリオが声を掛けて来た。
「うん。当然ね」
「そうか、だったら試験頑張れよな。やっぱりブラッドリーよりもお前の方がお似合いだよ」
「ああ、俺もそう思うぜ。もうお前を何処かへ連れまわそうとはしないから、婚約者の傍にいてやれよ」
ラモンが僕の方にポンと手を置く。
やっぱり彼らはブラッドリーから何か話を聞いていたのかもしれない。
「ありがとう、エミリオ、ラモン。よし、それじゃ僕も試験勉強するよ」
こうして僕たちは1時限目が始まるまで、古代文字の勉強に励んだ。
****
キーンコーンカーンコーン
4限目の授業が終わりのチャイムが鳴った。
エディットを待たせない為に急いで机の上を片付けると僕は2人に声を掛けた。
「それじゃ僕は……」
最後まで言い終わらないうちに、ラモンがニヤリと笑った。
「エディットと昼休み過ごすんだろう」
「ほら、俺達に構わず行けよ」
シッシとエミリオが手で追い払う。
「うん。行くよ」
早くエディットに会って、ブラッドリーのことを伝えなければ。
鞄を持つと、急いでエディットの教室へ向かった――。
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