154 / 221
第154話 僕の願い
しおりを挟む
結局この夜は伯爵の話とブラッドリーの件、そして慣れない部屋のせいで殆ど眠ることが出来ずに気が付けば夜が明けていた――。
午前6時半――
「ふわぁぁぁああ……」
ベッドの上であくびを噛み殺し、ムクリと起き上がった。
「うぅぅう……結局2時間位しか眠れなかったな……。まずい、このままだと勉強中に眠気が襲ってくるかも知れない……」
勉強の最中に欠伸なんかしていればエディットに軽蔑されてしまうかもしれない。
なんとしても、彼女の前で醜態を晒すわけにはいかない。
「冷たい水で顔を洗えば眠気も覚めるかな……?」
ベッドから出ると、顔を洗う為に洗面台へと向かった――。
「ふぅ、さっぱりした……。これで暫くは大丈夫かな?」
洗面台から出てくると、早速ロワイエ家が用意してくれた服に袖を通すことにした。
「へぇ……驚いたな。ぴったりだ」
用意してくれたシャツやボトムス、ベストにジャケットまで全て僕のサイズに丁度良かった。
「……ひょっとして僕の服のサイズを知っていたのかな?……まぁそんなわけ無いか。たまたまだろうな」
そして鏡の前で、改めて棒タイを結び直していると扉をノックする音が聞こえてきた。
コンコン
「誰かな?ひょっとしてロワイエ家の使用人の人かもしれない」
「はい」
急いで扉に向かい、ドアノブを回して開けると驚いたことそこにいたのはエディットだった。今朝のエディットは上品な紺色のワンピース姿に頭のリボンも同じ紺色だ。
「あ、アドルフ様。おはようございます。起きてらしたのですね……もしまだ眠っていたらと思っていたのですが、お目覚めで良かったです」
「うん、おはよう。エディット」
「あの、朝食の準備が出来ているのでお呼びするために伺ったのですが……準備はできているようですね?」
「うん、用意してくれた服……ぴったりだったよ。ありがとう」
「い、いえ。サイズが合って良かったです……。その……とても良くお似合いです」
エディットが頬を染めて俯いた。
「ありがとう、今日のエディットの服もよく似合ってる。とても可愛いよ」
そしていつもの癖でつい、エディットの髪を撫でていた。
「ア、アドルフ様……」
すると増々真っ赤になるエディット。そして何処からか感じる視線に慌てて振り向くと、なんと夫人が僕達の様子を見つめていた。
しまった!ここはエディットの屋敷で……ま、まさか夫人に見られていたとは!
「あ!ロワイエ夫人!おはようございます!こ、こ、これは……そ、その……!すみません!」
慌ててエディットの髪から手を離すと、夫人が意味深な笑みを浮かべた。
「おはようございます、アドルフ様。私は先にダイニングルームに行っておりますね。エディット、アドルフ様をきちんと案内して差し上げなさい」
「はい、お母様」
エディットが返事をすると、夫人は僕達の側をすり抜けて行った。
夫人が立ち去り、廊下には僕とエディットが取り残された。
「ご、ごめん……エディット。夫人が側にいたとは知らず、つい……癖で……」
するとエディットは首を振った。
「いいえ、気になさらないで下さい。そ、それでは行きましょうか?」
エディットの顔は……耳まで赤く染まっていた。
その姿を目にして僕は思った。
両家が決めた僕達の婚約にはエディットの意思も含まれていたのだろうか?
願わくば、親が決めたからではなく……彼女の方から僕との婚約を望んでくれていることを祈らずにはいられなかった――。
午前6時半――
「ふわぁぁぁああ……」
ベッドの上であくびを噛み殺し、ムクリと起き上がった。
「うぅぅう……結局2時間位しか眠れなかったな……。まずい、このままだと勉強中に眠気が襲ってくるかも知れない……」
勉強の最中に欠伸なんかしていればエディットに軽蔑されてしまうかもしれない。
なんとしても、彼女の前で醜態を晒すわけにはいかない。
「冷たい水で顔を洗えば眠気も覚めるかな……?」
ベッドから出ると、顔を洗う為に洗面台へと向かった――。
「ふぅ、さっぱりした……。これで暫くは大丈夫かな?」
洗面台から出てくると、早速ロワイエ家が用意してくれた服に袖を通すことにした。
「へぇ……驚いたな。ぴったりだ」
用意してくれたシャツやボトムス、ベストにジャケットまで全て僕のサイズに丁度良かった。
「……ひょっとして僕の服のサイズを知っていたのかな?……まぁそんなわけ無いか。たまたまだろうな」
そして鏡の前で、改めて棒タイを結び直していると扉をノックする音が聞こえてきた。
コンコン
「誰かな?ひょっとしてロワイエ家の使用人の人かもしれない」
「はい」
急いで扉に向かい、ドアノブを回して開けると驚いたことそこにいたのはエディットだった。今朝のエディットは上品な紺色のワンピース姿に頭のリボンも同じ紺色だ。
「あ、アドルフ様。おはようございます。起きてらしたのですね……もしまだ眠っていたらと思っていたのですが、お目覚めで良かったです」
「うん、おはよう。エディット」
「あの、朝食の準備が出来ているのでお呼びするために伺ったのですが……準備はできているようですね?」
「うん、用意してくれた服……ぴったりだったよ。ありがとう」
「い、いえ。サイズが合って良かったです……。その……とても良くお似合いです」
エディットが頬を染めて俯いた。
「ありがとう、今日のエディットの服もよく似合ってる。とても可愛いよ」
そしていつもの癖でつい、エディットの髪を撫でていた。
「ア、アドルフ様……」
すると増々真っ赤になるエディット。そして何処からか感じる視線に慌てて振り向くと、なんと夫人が僕達の様子を見つめていた。
しまった!ここはエディットの屋敷で……ま、まさか夫人に見られていたとは!
「あ!ロワイエ夫人!おはようございます!こ、こ、これは……そ、その……!すみません!」
慌ててエディットの髪から手を離すと、夫人が意味深な笑みを浮かべた。
「おはようございます、アドルフ様。私は先にダイニングルームに行っておりますね。エディット、アドルフ様をきちんと案内して差し上げなさい」
「はい、お母様」
エディットが返事をすると、夫人は僕達の側をすり抜けて行った。
夫人が立ち去り、廊下には僕とエディットが取り残された。
「ご、ごめん……エディット。夫人が側にいたとは知らず、つい……癖で……」
するとエディットは首を振った。
「いいえ、気になさらないで下さい。そ、それでは行きましょうか?」
エディットの顔は……耳まで赤く染まっていた。
その姿を目にして僕は思った。
両家が決めた僕達の婚約にはエディットの意思も含まれていたのだろうか?
願わくば、親が決めたからではなく……彼女の方から僕との婚約を望んでくれていることを祈らずにはいられなかった――。
20
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。
人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。
それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。
嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。
二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。
するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー
竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」
ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。
竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。
そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。
それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。
その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた!
『ママ! 早く僕を産んでよ!』
「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」
お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない!
それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――!
これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。
設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。
悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。
治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~
百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!?
男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!?
※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる