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第164話 彼女なしでは
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その後、僕達3人はサチの提案で、日本で食べていた懐かしい食べ物を作る為に厨房へと移動した。
そこでお好み焼とポテトチップスを作り、懐かしい日本の話をしながら盛り上がった。
「え?!お兄ちゃん、車に乗ったの?!」
厨房で出来立てのポテトチップスを食べながら、最近エディットと2人で車に乗った話をするとサチが目を見開いた。
「うん、そうなんだよ。辻馬車乗り場を目指して歩いていたら、偶然車が停車しているのを見つけたんだ。でも車と言っても、形状はまるで馬車みたいな形をしていたけどね。しかもその車はタクシーだったんだよ。だから乗ることが出来たんだ」
「それは珍しいな……。確かつい最近、ようやく車の運用が始まったばかりだと新聞で書かれていたばかりなのに……もうタクシーとして走らせるようになったのか」
セドリックが首をひねる。
「え?そうだったの?」
知らなかった。そう言えば、エディットに追いつく為に勉強ばかりしていたから新聞にまで目を通す余裕がなかったけっけ。
「それじゃ、お兄ちゃんは本当に運が良かったのね?こんなに早く車に乗ることができたんだから」
そしてサチはポテトップスを口に入れた。
「え?でも……意外と他の国ではもっと早く車が路上を走っていたんじゃないかな?」
「どうしてそう思うんだ?」
僕の言葉にセドリックが尋ねてくる。
「どうしてって……何となく、だよ」
確かエディットが車の中で『久しぶりに乗れて嬉しいです』と話していた気がするけど……あれは僕の聞き間違いだったのだろうか?
「それにしても、やっぱりお好み焼きは美味しいな。これで青のりがあれば最高なんだけど」
「私は鰹節も欲しいです」
何とも日本人?ぽい会話をするセドリックとサチの会話を聞きながら、少しの疑問を抱きつつ、ポテトチップスに手を伸ばした――。
****
17時になり、寮生のサチとセドリックは「また遊びに来るから」と言って、帰っていった。
変な時間にお好み焼きとポテトチップスを食べてしまった僕は全くお腹がすかなかったので、今夜の食事は遠慮して1人で部屋にこもって再び読書にふけることにした。
「ふぅ……」
本を一冊読み終えてページを閉じると、いつの間にか外は真っ暗になっていた。
時計を見ると、既に時刻は20時を過ぎている。
「え?もうこんな時間なのか……」
部屋の四隅に立てられたオイルランプに明かりを灯すと、カーテンを閉めながら呟いた。
「もう3日目か……」
エディットと3日会えていない。
「せめて声だけでも聞けたらな……」
そして、思わずため息が漏れてしまった。
気づけばどうやら僕は、いつの間にかエディット無しではいられなくなってしまったのかもしれない――。
そこでお好み焼とポテトチップスを作り、懐かしい日本の話をしながら盛り上がった。
「え?!お兄ちゃん、車に乗ったの?!」
厨房で出来立てのポテトチップスを食べながら、最近エディットと2人で車に乗った話をするとサチが目を見開いた。
「うん、そうなんだよ。辻馬車乗り場を目指して歩いていたら、偶然車が停車しているのを見つけたんだ。でも車と言っても、形状はまるで馬車みたいな形をしていたけどね。しかもその車はタクシーだったんだよ。だから乗ることが出来たんだ」
「それは珍しいな……。確かつい最近、ようやく車の運用が始まったばかりだと新聞で書かれていたばかりなのに……もうタクシーとして走らせるようになったのか」
セドリックが首をひねる。
「え?そうだったの?」
知らなかった。そう言えば、エディットに追いつく為に勉強ばかりしていたから新聞にまで目を通す余裕がなかったけっけ。
「それじゃ、お兄ちゃんは本当に運が良かったのね?こんなに早く車に乗ることができたんだから」
そしてサチはポテトップスを口に入れた。
「え?でも……意外と他の国ではもっと早く車が路上を走っていたんじゃないかな?」
「どうしてそう思うんだ?」
僕の言葉にセドリックが尋ねてくる。
「どうしてって……何となく、だよ」
確かエディットが車の中で『久しぶりに乗れて嬉しいです』と話していた気がするけど……あれは僕の聞き間違いだったのだろうか?
「それにしても、やっぱりお好み焼きは美味しいな。これで青のりがあれば最高なんだけど」
「私は鰹節も欲しいです」
何とも日本人?ぽい会話をするセドリックとサチの会話を聞きながら、少しの疑問を抱きつつ、ポテトチップスに手を伸ばした――。
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17時になり、寮生のサチとセドリックは「また遊びに来るから」と言って、帰っていった。
変な時間にお好み焼きとポテトチップスを食べてしまった僕は全くお腹がすかなかったので、今夜の食事は遠慮して1人で部屋にこもって再び読書にふけることにした。
「ふぅ……」
本を一冊読み終えてページを閉じると、いつの間にか外は真っ暗になっていた。
時計を見ると、既に時刻は20時を過ぎている。
「え?もうこんな時間なのか……」
部屋の四隅に立てられたオイルランプに明かりを灯すと、カーテンを閉めながら呟いた。
「もう3日目か……」
エディットと3日会えていない。
「せめて声だけでも聞けたらな……」
そして、思わずため息が漏れてしまった。
気づけばどうやら僕は、いつの間にかエディット無しではいられなくなってしまったのかもしれない――。
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