193 / 221
第193話 新しい世界での目覚め
しおりを挟む
麻酔用の点滴を受けながらストレッチャーで手術室へ運ばれる私に両親が声を掛けてきた。
「架純ちゃん、頑張るのよ」
「父さんも母さんも手術の無事を祈ってるからな」
「うん……お父さん、お母さん……行ってきます……」
麻酔が徐々に効いてきて、ぼんやりした頭で私は両親に言葉を掛け……そのまま手術室へ入っていった。
お父さん、お母さん。元気な心臓になって戻ってくるから……。
けれど、これが両親との最後のお別れになるとはこのときの私は思いもしていなかった――。
****
「う~ん……」
目が覚めた時、私の目に最初に飛び込んできたのは見たこともないほどに高い天井に立派なシャンデリアが天井から吊り下げられている光景だった。
「ダ~ブゥ~」
(え?何?ここは?)
「バブ?ダァァァ?」
(嘘!私の声が!)
普通に話をしているつもりなのに、私の口からはまるで赤ちゃんのような喃語しか出てこない。
(な、何で?どうして私話せないの?)
慌てて起き上がろうとしても、何故か身体が少しも言うことを聞かない。必死で手足をバタバタ動かし、自分の手が偶然視界に飛び込んできた。
(そ、そんな!ど、どうして!)
私の手はまるで赤ちゃんのように小さな手に変わっている。
(い、一体私に何が起こったの……?)
何だかとても悲しくなり、次第に私の目から涙が溢れてくる。
そして……。
「ほぎゃああああああんっ!!」
私の口から出てきた泣き声は……完全に赤ちゃんの泣き声だった。
すると、誰かがこちらへ向かってパタパタと駆けつけてくる足音が聞こえてきた。
(え?だ、誰?)
思わず身構えた途端、突然真上から私を覗き込んできた女性。
その女性は青い瞳に金色の髪のとてもきれいな人だった。
(え……誰……?)
女性は私を見るとニッコリ微笑み、声を掛けてきた。
「まぁ、目が覚めたのね?私の可愛いエディット」
「ばぶぅ?」
(エディット?)
女性はベッドの中の私に腕を伸ばし、軽々と胸に抱き寄せた。
「よしよし……何か怖い夢でも見たのかしら?」
背中をトントンしながら優しい声で語りかけてくる女性。
その瞬間、私は全てを理解した。
そうだ……私はこの人を知っている。
この人は私の今のお母さん……。
私は、手術の最中に死んでしまい……この世界に生まれ変わったんだ。
エディット・ロワイエ伯爵令嬢として――。
****
生まれ変わったことを知った後の私の順応は早かった。
元々前世の記憶もあったことから周囲から頭が良くて、とても大人びた子供と言われていた。
この世界の私は日本人だった頃の私と違い、健康な身体だった。走っても息切れもしないし、具合が悪くなって寝込むこともない。
優しい両親と親切な使用人の人たちに囲まれた、裕福で何不自由無い生活。
けれど、それでも時々日本人として生きていた頃のことを思い出すと悲しい気持ちになってくる。
お父さん、お母さん……死んでしまってごめんなさい。
氷室先輩……突然いなくなってごめんなさい。
特に先輩のことでは後悔しない日は無かった。最後にきちんとお別れ位告げたかったのに。
先輩、もう一度……貴方に会いたいです。優しい笑顔で名前を呼んでもらいたい。
その大きな手で頭を撫でてもらいたい……。
そして氷室先輩への思いが強すぎたお陰か……私に奇跡が起こることになる――。
「架純ちゃん、頑張るのよ」
「父さんも母さんも手術の無事を祈ってるからな」
「うん……お父さん、お母さん……行ってきます……」
麻酔が徐々に効いてきて、ぼんやりした頭で私は両親に言葉を掛け……そのまま手術室へ入っていった。
お父さん、お母さん。元気な心臓になって戻ってくるから……。
けれど、これが両親との最後のお別れになるとはこのときの私は思いもしていなかった――。
****
「う~ん……」
目が覚めた時、私の目に最初に飛び込んできたのは見たこともないほどに高い天井に立派なシャンデリアが天井から吊り下げられている光景だった。
「ダ~ブゥ~」
(え?何?ここは?)
「バブ?ダァァァ?」
(嘘!私の声が!)
普通に話をしているつもりなのに、私の口からはまるで赤ちゃんのような喃語しか出てこない。
(な、何で?どうして私話せないの?)
慌てて起き上がろうとしても、何故か身体が少しも言うことを聞かない。必死で手足をバタバタ動かし、自分の手が偶然視界に飛び込んできた。
(そ、そんな!ど、どうして!)
私の手はまるで赤ちゃんのように小さな手に変わっている。
(い、一体私に何が起こったの……?)
何だかとても悲しくなり、次第に私の目から涙が溢れてくる。
そして……。
「ほぎゃああああああんっ!!」
私の口から出てきた泣き声は……完全に赤ちゃんの泣き声だった。
すると、誰かがこちらへ向かってパタパタと駆けつけてくる足音が聞こえてきた。
(え?だ、誰?)
思わず身構えた途端、突然真上から私を覗き込んできた女性。
その女性は青い瞳に金色の髪のとてもきれいな人だった。
(え……誰……?)
女性は私を見るとニッコリ微笑み、声を掛けてきた。
「まぁ、目が覚めたのね?私の可愛いエディット」
「ばぶぅ?」
(エディット?)
女性はベッドの中の私に腕を伸ばし、軽々と胸に抱き寄せた。
「よしよし……何か怖い夢でも見たのかしら?」
背中をトントンしながら優しい声で語りかけてくる女性。
その瞬間、私は全てを理解した。
そうだ……私はこの人を知っている。
この人は私の今のお母さん……。
私は、手術の最中に死んでしまい……この世界に生まれ変わったんだ。
エディット・ロワイエ伯爵令嬢として――。
****
生まれ変わったことを知った後の私の順応は早かった。
元々前世の記憶もあったことから周囲から頭が良くて、とても大人びた子供と言われていた。
この世界の私は日本人だった頃の私と違い、健康な身体だった。走っても息切れもしないし、具合が悪くなって寝込むこともない。
優しい両親と親切な使用人の人たちに囲まれた、裕福で何不自由無い生活。
けれど、それでも時々日本人として生きていた頃のことを思い出すと悲しい気持ちになってくる。
お父さん、お母さん……死んでしまってごめんなさい。
氷室先輩……突然いなくなってごめんなさい。
特に先輩のことでは後悔しない日は無かった。最後にきちんとお別れ位告げたかったのに。
先輩、もう一度……貴方に会いたいです。優しい笑顔で名前を呼んでもらいたい。
その大きな手で頭を撫でてもらいたい……。
そして氷室先輩への思いが強すぎたお陰か……私に奇跡が起こることになる――。
30
あなたにおすすめの小説
子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!
屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。
そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。
そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。
ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。
突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。
リクハルド様に似ても似つかない子供。
そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」
ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。
竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。
そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。
それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。
その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた!
『ママ! 早く僕を産んでよ!』
「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」
お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない!
それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――!
これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。
設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。
悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。
治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~
百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!?
男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!?
※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる