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第8話 待ち望んでいた瞬間
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「リディア様、これからどうされるおつもりですか?」
フレデリックが尋ねてきた。
「そうね…とりあえず、使用人たち全員をホールに集めてくれる?ジルベールがこの屋敷の金庫から財産をすべて奪って愛人と逃げたことを報告するから。見た所愛人の荷物も消えているから2人で財産を持ち逃げしたのは確実のはずですものね」
「報告するのは良いですが…それからどうするのです?」
セイラが尋ねてきた。
「そうね…2人には話しておくわ…」
そして私はフレデリックとセイラにこれから全使用人の前で発表することを事前に報告した―。
****
午前11時―
クレメンス家の全使用人、合計40名が一斉に集められた。私を前にした使用人たちは全員不満そうな顔つきでざわついている。…彼らが私をジルベールの妻と認めていない証拠であろう。私の隣に立つフレデリックが声を張り上げた。
「皆!静粛に!クレメンス当主の奥方様から重大発表をされます!」
「重大発表…?」
「離婚の話じゃないの?」
「ああ、それなら少しも重大じゃないぞ?」
「皆首を長くして待っていたからな…」
彼らの私を嘲笑する声が聞こえてくる。全く…私もとことん馬鹿にされたものだ。
「いい加減にするんだっ!奥様の前でそのような口を叩くのではないっ!」
流石にフレデリックは我慢の限界がきたのか温厚な彼が声を荒らげた。その剣幕に驚いたのか、使用人たちは一斉に水を打ったように静まり返る。
「…ようやく静かになったわね」
静まり返った使用人たちを見渡すと私は言った。
「これから皆さんに重大発表をします。その上で今後の身の振り方を個人で考えて頂きます」
私の言葉に再び使用人たちはざわめくが、話の続きが気になるのかすぐに静まり返った。再び静まり返った彼らの前で私は再び口を開いた。
「今朝、クレメンス家の当主であるジルベールが愛人と共に逃亡しました。この屋敷の金庫から全財産を奪って」
私は敢えて、『愛人』『逃亡』『奪う』と言う言葉を用いて発表した。
「な、何ですってっ?!」
第一声を上げたのは最前列に並んでいる使用人の若者だった。彼はジルベール専属の若いフットマンであり、名前は確か…。
「静かにしなさい!トムッ!奥様の話はまだ終わっていないのですよっ!」
フレデリックが一喝する。そうだ、確か彼はトムと言う名前だった。
「…ッ!」
その迫力に押されたのか、トムは口を閉ざした。そのお陰もあってか、他の使用人たちは誰一人言葉を発することは無かった。
「ジルベールはこの屋敷の財産を奪っていったという事がどういう事かお分かりになりますか?食費も馬車や荷台を引く馬たちの世話代、その他の支払い関係…経費が全て支払えなくなってしまったということです」
その時…厨房の白い作業衣を着た男性がフレデリックの様子を伺いながら手を上げてきた。
「あの…質問、いいですか…」
「話の途中ですが…良いでしょう。何の質問ですか?」
「は、はい。我々の給料も支払えなくなるって事ですか?」
良い質問だ…。
これこそ私が待ち望んでいた質問であり、全員が聞きたかったことであろう。
「いいえ、それは大丈夫です。あなた達の給料は全額保証されています」
笑みを浮かべて答える。すると途端に再び使用人たちがざわめく。しかし明らかに先程のざわめきとは違う。若干戸惑いが入ったざわめきであった。
「あの…何故、私達の給料は保証されているのですか…?」
今度は中年のメイドが質問してきた。
「簡単な事です。給料の出処が違うからです。あなた達の給料は私がこの屋敷に嫁いできた時の持参金を株で運用し、そのお金から支払いを続けていたからです」
『!!!』
私の言葉に一斉に使用人達の間に衝撃が走るのを私は目の当たりにした。
そう、これこそが私の待ち望んでいた瞬間である―。
フレデリックが尋ねてきた。
「そうね…とりあえず、使用人たち全員をホールに集めてくれる?ジルベールがこの屋敷の金庫から財産をすべて奪って愛人と逃げたことを報告するから。見た所愛人の荷物も消えているから2人で財産を持ち逃げしたのは確実のはずですものね」
「報告するのは良いですが…それからどうするのです?」
セイラが尋ねてきた。
「そうね…2人には話しておくわ…」
そして私はフレデリックとセイラにこれから全使用人の前で発表することを事前に報告した―。
****
午前11時―
クレメンス家の全使用人、合計40名が一斉に集められた。私を前にした使用人たちは全員不満そうな顔つきでざわついている。…彼らが私をジルベールの妻と認めていない証拠であろう。私の隣に立つフレデリックが声を張り上げた。
「皆!静粛に!クレメンス当主の奥方様から重大発表をされます!」
「重大発表…?」
「離婚の話じゃないの?」
「ああ、それなら少しも重大じゃないぞ?」
「皆首を長くして待っていたからな…」
彼らの私を嘲笑する声が聞こえてくる。全く…私もとことん馬鹿にされたものだ。
「いい加減にするんだっ!奥様の前でそのような口を叩くのではないっ!」
流石にフレデリックは我慢の限界がきたのか温厚な彼が声を荒らげた。その剣幕に驚いたのか、使用人たちは一斉に水を打ったように静まり返る。
「…ようやく静かになったわね」
静まり返った使用人たちを見渡すと私は言った。
「これから皆さんに重大発表をします。その上で今後の身の振り方を個人で考えて頂きます」
私の言葉に再び使用人たちはざわめくが、話の続きが気になるのかすぐに静まり返った。再び静まり返った彼らの前で私は再び口を開いた。
「今朝、クレメンス家の当主であるジルベールが愛人と共に逃亡しました。この屋敷の金庫から全財産を奪って」
私は敢えて、『愛人』『逃亡』『奪う』と言う言葉を用いて発表した。
「な、何ですってっ?!」
第一声を上げたのは最前列に並んでいる使用人の若者だった。彼はジルベール専属の若いフットマンであり、名前は確か…。
「静かにしなさい!トムッ!奥様の話はまだ終わっていないのですよっ!」
フレデリックが一喝する。そうだ、確か彼はトムと言う名前だった。
「…ッ!」
その迫力に押されたのか、トムは口を閉ざした。そのお陰もあってか、他の使用人たちは誰一人言葉を発することは無かった。
「ジルベールはこの屋敷の財産を奪っていったという事がどういう事かお分かりになりますか?食費も馬車や荷台を引く馬たちの世話代、その他の支払い関係…経費が全て支払えなくなってしまったということです」
その時…厨房の白い作業衣を着た男性がフレデリックの様子を伺いながら手を上げてきた。
「あの…質問、いいですか…」
「話の途中ですが…良いでしょう。何の質問ですか?」
「は、はい。我々の給料も支払えなくなるって事ですか?」
良い質問だ…。
これこそ私が待ち望んでいた質問であり、全員が聞きたかったことであろう。
「いいえ、それは大丈夫です。あなた達の給料は全額保証されています」
笑みを浮かべて答える。すると途端に再び使用人たちがざわめく。しかし明らかに先程のざわめきとは違う。若干戸惑いが入ったざわめきであった。
「あの…何故、私達の給料は保証されているのですか…?」
今度は中年のメイドが質問してきた。
「簡単な事です。給料の出処が違うからです。あなた達の給料は私がこの屋敷に嫁いできた時の持参金を株で運用し、そのお金から支払いを続けていたからです」
『!!!』
私の言葉に一斉に使用人達の間に衝撃が走るのを私は目の当たりにした。
そう、これこそが私の待ち望んでいた瞬間である―。
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