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第15話 贅沢な義父母
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午後4時―
私達を乗せた馬車は港町『ヴヌート』に到着した。
「初めて来たけど素敵な場所ね~」
海岸線沿いの道を馬車はゆく。『ブヌート』の港町は坂道が多く、上に登れば登るほど高級住宅地や別荘が立ち並んでいる。そしてジルベールの義父母が住んでいる別荘は坂の上にある高台に建っていた。
「ここが義父母が住んでいる別荘なのね…」
馬車から降りた私は目の前の建物を見上げた。
白塗りの門壁に囲まれた大きな敷地。門の奥には樹木が植えられ、まるで小さなお城のようなレンガ造りの屋敷が建っている。
「大旦那様と大奥様はこの別荘でシェフと2人のフットマン、2人のメイド7人で暮らしているそうです。」
「まぁ!それは贅沢な暮らしね。私だったらシェフ、フットマン、メイドの1人ずつでも贅沢だと感じるわ」
「奥様、では早速中へ入りましょう」
「ええ。そうね」
フレデリックに促され、返事をした。
「あの…奥様…」
すると御者のヤコブが声を掛けてきた。
「あら、どうしたの?」
声を掛けられるまでヤコブの存在をすっかり忘れていた。
「俺はどうしたらいいですか?」
「そうね…一緒に入ったらどう?」
「はい!もう喉がカラカラだったんですよ~お茶の一杯でも頂きたいですしね」
「それでは3人で参りましょう」
フレデリックの言葉に私は頷き、3人で屋敷へ向かった―。
****
「ではこちらでお待ち下さい」
私達3人はフットマンによって応接室に通された。
「すぐに大旦那様と大奥様に伝えて参ります」
最初、扉を開けて対応にあたったフットマンは私達の姿を見て、かなり驚いていた。しかしジルベールの事で早急に知らせたいことがあり、ここまで馬車を走らせてきたことを伝えるとすぐに中へ招き入れてくれたのである。
「ええ、宜しくね」
「承知致しました」
私の言葉にフットマンは頷くと、すぐに応接室を出ていった。
フットマンが部屋を去ると部屋の中を見渡した。…この港町の景色だろうか…。壁一面に大きな絵画が飾られている。
「素敵な絵ね…きっと相当高いのでしょうね」
「あそこに飾ってある壺もかなり高級そうですよ」
フレデリックは部屋の角に置いてある、大人の腰の高さほどまである立派な壺を見ると言った。
「それだけじゃありません。このソファやテーブルも高級感漂っていますね」
ヤコブも言う。
「そうよね…」
全く…クレメンス家の領民達の中には貧しい村で暮らす人々がいると言うのに、肝心の領主達はこんなに贅沢な暮らしをしているなんて…。これはしっかりこちらの言い分を伝えないと…。
****
カチコチカチコチ…
「「「…」」」
あれから30分近い時間が経過している。肝心の義父母は未だに姿を見せないし、私達をこの部屋に案内したフットマンすら姿を現さない。それどころかお茶の1杯すら出てこない。
「一体いつまで待たせるのかしら…今日中にクレメンス家へ戻るつもりだったのに…」
私の言葉にヤコブが驚く。
「えっ?!ここに泊めてもらうつもりでは無かったのですか?!」
「何を言っているの?そんなはずないでしょう?仕事は山積みなのよ?早く片付けなければならない書類もあるっていうのに…大体着替えも何も持ってきていないじゃないの」
「ええ、確かにそうですが…しかしそれではお疲れになるのではありませんか?」
フレデリックが口を開いたその時―。
「やぁ。待たせたね」
「お待たせしたわね」
扉がカチャリと開かれ、ジルベールの義父母が応接室の中に現れた―。
私達を乗せた馬車は港町『ヴヌート』に到着した。
「初めて来たけど素敵な場所ね~」
海岸線沿いの道を馬車はゆく。『ブヌート』の港町は坂道が多く、上に登れば登るほど高級住宅地や別荘が立ち並んでいる。そしてジルベールの義父母が住んでいる別荘は坂の上にある高台に建っていた。
「ここが義父母が住んでいる別荘なのね…」
馬車から降りた私は目の前の建物を見上げた。
白塗りの門壁に囲まれた大きな敷地。門の奥には樹木が植えられ、まるで小さなお城のようなレンガ造りの屋敷が建っている。
「大旦那様と大奥様はこの別荘でシェフと2人のフットマン、2人のメイド7人で暮らしているそうです。」
「まぁ!それは贅沢な暮らしね。私だったらシェフ、フットマン、メイドの1人ずつでも贅沢だと感じるわ」
「奥様、では早速中へ入りましょう」
「ええ。そうね」
フレデリックに促され、返事をした。
「あの…奥様…」
すると御者のヤコブが声を掛けてきた。
「あら、どうしたの?」
声を掛けられるまでヤコブの存在をすっかり忘れていた。
「俺はどうしたらいいですか?」
「そうね…一緒に入ったらどう?」
「はい!もう喉がカラカラだったんですよ~お茶の一杯でも頂きたいですしね」
「それでは3人で参りましょう」
フレデリックの言葉に私は頷き、3人で屋敷へ向かった―。
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「ではこちらでお待ち下さい」
私達3人はフットマンによって応接室に通された。
「すぐに大旦那様と大奥様に伝えて参ります」
最初、扉を開けて対応にあたったフットマンは私達の姿を見て、かなり驚いていた。しかしジルベールの事で早急に知らせたいことがあり、ここまで馬車を走らせてきたことを伝えるとすぐに中へ招き入れてくれたのである。
「ええ、宜しくね」
「承知致しました」
私の言葉にフットマンは頷くと、すぐに応接室を出ていった。
フットマンが部屋を去ると部屋の中を見渡した。…この港町の景色だろうか…。壁一面に大きな絵画が飾られている。
「素敵な絵ね…きっと相当高いのでしょうね」
「あそこに飾ってある壺もかなり高級そうですよ」
フレデリックは部屋の角に置いてある、大人の腰の高さほどまである立派な壺を見ると言った。
「それだけじゃありません。このソファやテーブルも高級感漂っていますね」
ヤコブも言う。
「そうよね…」
全く…クレメンス家の領民達の中には貧しい村で暮らす人々がいると言うのに、肝心の領主達はこんなに贅沢な暮らしをしているなんて…。これはしっかりこちらの言い分を伝えないと…。
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カチコチカチコチ…
「「「…」」」
あれから30分近い時間が経過している。肝心の義父母は未だに姿を見せないし、私達をこの部屋に案内したフットマンすら姿を現さない。それどころかお茶の1杯すら出てこない。
「一体いつまで待たせるのかしら…今日中にクレメンス家へ戻るつもりだったのに…」
私の言葉にヤコブが驚く。
「えっ?!ここに泊めてもらうつもりでは無かったのですか?!」
「何を言っているの?そんなはずないでしょう?仕事は山積みなのよ?早く片付けなければならない書類もあるっていうのに…大体着替えも何も持ってきていないじゃないの」
「ええ、確かにそうですが…しかしそれではお疲れになるのではありませんか?」
フレデリックが口を開いたその時―。
「やぁ。待たせたね」
「お待たせしたわね」
扉がカチャリと開かれ、ジルベールの義父母が応接室の中に現れた―。
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