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第20話 私の改革、そして…
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「ありがとう、セイラ。すぐに部屋に入れてあげてくれる?」
私はニッコリ笑みを浮かべながらセイラに言う。
「はい、分かりました。どうぞ、お入り下さい」
セイラは扉の影に隠れている人物に声を掛けた。
「え…?連れてきたって…一体誰を…?えぇっ?!」
次の瞬間、洗濯女の顔色が変わる。
「失礼致します」
部屋入ってきたのは人の良さそうな中年男性だった。
「あ、あんたは…!」
洗濯女はブルブル震えながら中年男性を見た。他の女性たちも驚いた様子で男性を見ている。
「初めまして。貴方がこの女に委託されてクレメンス家の洗濯を全て請け負っていたクリーニング屋さんね?」
「はい、そうです。奥様、お初にお目にかかります」
男性は深々と頭を下げる。
「な、何で…あんたがここにいるのよ…」
洗濯女は震えながら男を見ている。
「それは私がセイラに頼んで見つけ出してもらったからよ」
「え…?」
女は目を見開いて私を見た。するとセイラが言った。
「昨夜リディア様からクリーニング代が異様にお金がかかっているということを聞かされて、朝から見はっていたのよ。そしたら大きな荷馬車がやってきて、洗濯物の受け渡しをやっている現場を目撃したのよ。そしてあんたが立ち去った後にこの男性に問い詰めたら、ずっと以前からこの屋敷のクリーニングを請け負っていたっていうじゃない。しかも格安で…余ったお金をあんたは着服していたのよ。ここにいる彼女たちが証言してくれたわ」
「な、何ですって…!あんたたちっ!私を裏切ったのねっ?!」
女は烈火の如く彼女たちを怒鳴りつけた。
「ご、ごめんなさい!」
「だって…もうこれ以上嘘はつけないもの…」
「何よっ!いつも威張ってばかりじゃない!」
「もう言いなりになんかならないんだから!」
「あ、あんた達…っ!!」
すると―
「いい加減にしろっ!奥様の前だぞっ!」
フレデリックが一喝し、その場が一気に静まった。そして私はゆっくり4人の洗濯女たちを見渡すと言った。
「洗濯作業がどれほど辛いか良くわかったわ。最近、世間ではハンドルを回せば洗濯をしてくれる洗濯機というのが出回っているらしいのよ。それを導入しようと思っているの。そうすれば大分洗濯も楽になるでしょう?導入には少し時間がかかるかもしれないから、それまでの間は今まで通り貴方のところで洗濯物は委託することにしましょう」
クリーニング店主を見ると言った。
「ありがとうございます!奥様!」
そして、次に私は生意気な洗濯女に言った。
「貴女はクビよ、今すぐ出て行きなさい。勿論紹介状も退職金もなしよ
「そ、そんな…っ!い、嫌ですっ!ここを出ても行くあてなんか無いんですよっ!心を入れ替えますから、置いて下さいっ!」
今頃になって洗濯女は懇願してきた。
「悪いけど、貴女みたいな人間は改革の邪魔なのよ。今から荷物をまとめて即刻出ていって頂戴。もし出ていかないなら…横領罪で警察に訴えるわよ?」
「ええ、それがよろしいかと思います」
「私も同感です」
「わ、分かりました!で、出ていきますから…どうか警察にだけは訴えないで下さい!」
それだけ言うと女はバタバタと重い足音を立てながら部屋から走り去って行った。それを見届けた私は小刻みに震えている彼女達に尋ねた。
「さて…あなた達は誠意を込めてこの屋敷の為に…尽くして働いてくれるかしら?」
「はい!勿論です」
「あの女を追い出してくれて感謝します」
「この屋敷のために…頑張って働きます」
「これからもずっと働かせて下さい!」
彼女達は口々に言った。
「なら、これで決まりね」
そして次に私はクリーニング店主に言った。
「それではもう少しの間、取引させていただきますね。今後ともどうぞ宜しくお願いします」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします!」
クリーニング店主は嬉しそうに返事をした―。
****
全員が執務室から去り、部屋の中は私とフレデリックだけになった。
「奥様、また反抗的な使用人をクビにすることが出来ましたね」
「ええ、そうね。改革するにはやはり反抗的な態度を取る人間がいてはうまくいかないもの。でもこの調子で、予算の見直しをしていけば…不要な人間の人員整理もできそうだわ」
「ええ、そうですね」
フレデリックが同意する。
****
そしてその後も予算の見直しを続け…予算を横領していた使用人達を次々と暴き出していった。
やがて、地道な改革が徐々に層をなしたのだろう。
クレメンス家の財政は徐々に上向きになっていき、そして気付けばジルベールが愛人と共に姿をくらましてから、1年が経過しようとしていた―。
私はニッコリ笑みを浮かべながらセイラに言う。
「はい、分かりました。どうぞ、お入り下さい」
セイラは扉の影に隠れている人物に声を掛けた。
「え…?連れてきたって…一体誰を…?えぇっ?!」
次の瞬間、洗濯女の顔色が変わる。
「失礼致します」
部屋入ってきたのは人の良さそうな中年男性だった。
「あ、あんたは…!」
洗濯女はブルブル震えながら中年男性を見た。他の女性たちも驚いた様子で男性を見ている。
「初めまして。貴方がこの女に委託されてクレメンス家の洗濯を全て請け負っていたクリーニング屋さんね?」
「はい、そうです。奥様、お初にお目にかかります」
男性は深々と頭を下げる。
「な、何で…あんたがここにいるのよ…」
洗濯女は震えながら男を見ている。
「それは私がセイラに頼んで見つけ出してもらったからよ」
「え…?」
女は目を見開いて私を見た。するとセイラが言った。
「昨夜リディア様からクリーニング代が異様にお金がかかっているということを聞かされて、朝から見はっていたのよ。そしたら大きな荷馬車がやってきて、洗濯物の受け渡しをやっている現場を目撃したのよ。そしてあんたが立ち去った後にこの男性に問い詰めたら、ずっと以前からこの屋敷のクリーニングを請け負っていたっていうじゃない。しかも格安で…余ったお金をあんたは着服していたのよ。ここにいる彼女たちが証言してくれたわ」
「な、何ですって…!あんたたちっ!私を裏切ったのねっ?!」
女は烈火の如く彼女たちを怒鳴りつけた。
「ご、ごめんなさい!」
「だって…もうこれ以上嘘はつけないもの…」
「何よっ!いつも威張ってばかりじゃない!」
「もう言いなりになんかならないんだから!」
「あ、あんた達…っ!!」
すると―
「いい加減にしろっ!奥様の前だぞっ!」
フレデリックが一喝し、その場が一気に静まった。そして私はゆっくり4人の洗濯女たちを見渡すと言った。
「洗濯作業がどれほど辛いか良くわかったわ。最近、世間ではハンドルを回せば洗濯をしてくれる洗濯機というのが出回っているらしいのよ。それを導入しようと思っているの。そうすれば大分洗濯も楽になるでしょう?導入には少し時間がかかるかもしれないから、それまでの間は今まで通り貴方のところで洗濯物は委託することにしましょう」
クリーニング店主を見ると言った。
「ありがとうございます!奥様!」
そして、次に私は生意気な洗濯女に言った。
「貴女はクビよ、今すぐ出て行きなさい。勿論紹介状も退職金もなしよ
「そ、そんな…っ!い、嫌ですっ!ここを出ても行くあてなんか無いんですよっ!心を入れ替えますから、置いて下さいっ!」
今頃になって洗濯女は懇願してきた。
「悪いけど、貴女みたいな人間は改革の邪魔なのよ。今から荷物をまとめて即刻出ていって頂戴。もし出ていかないなら…横領罪で警察に訴えるわよ?」
「ええ、それがよろしいかと思います」
「私も同感です」
「わ、分かりました!で、出ていきますから…どうか警察にだけは訴えないで下さい!」
それだけ言うと女はバタバタと重い足音を立てながら部屋から走り去って行った。それを見届けた私は小刻みに震えている彼女達に尋ねた。
「さて…あなた達は誠意を込めてこの屋敷の為に…尽くして働いてくれるかしら?」
「はい!勿論です」
「あの女を追い出してくれて感謝します」
「この屋敷のために…頑張って働きます」
「これからもずっと働かせて下さい!」
彼女達は口々に言った。
「なら、これで決まりね」
そして次に私はクリーニング店主に言った。
「それではもう少しの間、取引させていただきますね。今後ともどうぞ宜しくお願いします」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします!」
クリーニング店主は嬉しそうに返事をした―。
****
全員が執務室から去り、部屋の中は私とフレデリックだけになった。
「奥様、また反抗的な使用人をクビにすることが出来ましたね」
「ええ、そうね。改革するにはやはり反抗的な態度を取る人間がいてはうまくいかないもの。でもこの調子で、予算の見直しをしていけば…不要な人間の人員整理もできそうだわ」
「ええ、そうですね」
フレデリックが同意する。
****
そしてその後も予算の見直しを続け…予算を横領していた使用人達を次々と暴き出していった。
やがて、地道な改革が徐々に層をなしたのだろう。
クレメンス家の財政は徐々に上向きになっていき、そして気付けばジルベールが愛人と共に姿をくらましてから、1年が経過しようとしていた―。
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