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第25話 愚かな男で助かった
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私が呆れている側からジルベールのカジノ話はまだ続く。
「それでとうとう僕達は一文無しになってしまったんだ。当然ホテルに泊まることも出来ないし、それどころか気付いたら借金まで負っていたんだよ。そしてカジノを経営しているオーナーというのに捕まって借金の返済を求められたんだ」
「ふ~ん…そう…」
話を聞きながら私は嫌な予感がしてきた。まさか…ジルベール…クレメンス家の屋敷や領地を借金の担保にしていないだろうか?
「僕とイザベラはオーナーの前に引きずり出されて、借金を返すように言われたんだけど…生憎僕達にはもう何一つ財産が残っていなかったんだ。借金の肩代わりをしてくれる人物のあても無かったし、担保にする物も思い浮かばなかったし…」
「は?」
今…ジルベールは何と言った?
「ねぇ、貴方はカジノのオーナーに借金の肩代わりをする人物や担保にする物を差し出すように言われたのよね?」
「ああ、そうだよ。だけど僕とイザベラはそんな当てが全く無かったからね…何もありませんって答えたんだ」
「それってつまり私やクレメンス家の財産を担保にしなかったってわけね?」
ひょっとして…クレメンス家を犠牲にしない為に…?少しは見込み?があるのだろうか?
しかし…。
「あ、そうかっ!その手があったのか…!すっかり忘れていたよ。君とクレメンス家を利用すれば良かったのか…そうと分かれば、あんなに惨めな奴隷のような生活をしないで済んだのか…」
「は…?」
ひょっとして…ジルベールが私を借金の肩代わりに指名しなかったのも、クレメンス家を担保にしなかったのも単に思いつかなかったからだったのか?
その言葉に私は怒りを覚えた。しかし、当のジルベールは私の怒りに気づくこと無く、自分がいかに東の大陸で苦労していたかを語っている。
「結局僕達はお金を払えない代わりに、身体を使って借金を返すことになったのさ。無償で朝早くから深夜まで働かされてようやく解放されたんだけど、僕達の所持金はゼロ。このままでは生活出来ないから、戻ってくることにしたんだよ。だけど本当に大変だった…。だって僕達は全くお金を持っていなかったんだから。働いてお金を稼ぎながら…1年たってようやくここへ戻ってくることが出来たんだ…」
「あら…そうなの?でもまだ1年経過していないわよ。明日で丁度1年よ」
言いながら、私は心の中で舌打ちした。全く…どうしてよりにもよって今日、戻ってきたのだろう。せめて明日だったら…何もかもうまくいっていたのに。
思わず頭を抱えて自分の運命を呪いかけた時…不意にジルベールが言った。
「そう言えば、この屋敷にいる使用人達…全員僕の知らない使用人たちばかりだったよ。一体どういうことなのかな?」
「え?」
その言葉に顔を上げた。今、ここにいる使用人たちは…全員ジルベールの事を知らない…?つまり、ジルベールが本来の領主である事を知る者は、私とフレデリック、そしてセイラの3人だけ。そして領民達もジルベールの顔を知る者は1人もいない。
けれど知らないのも無理はない。何故ならジルベールは領民達を蔑ろにして、領地の視察にすら一度も行った事がないのだから。
そしてジルベールの両親は…愚かな息子に完全に愛想をつかし、領地経営を成功させた私の腕を買い、今ではすっかり信用されている。
そう、今や私の周りは味方しかいないということになる。
それなら…事をうまく運べるかもしれない。
フフフ…ジルベールが愚かな男で本当に助かった。
私は心のなかでほくそ笑んだ―。
「それでとうとう僕達は一文無しになってしまったんだ。当然ホテルに泊まることも出来ないし、それどころか気付いたら借金まで負っていたんだよ。そしてカジノを経営しているオーナーというのに捕まって借金の返済を求められたんだ」
「ふ~ん…そう…」
話を聞きながら私は嫌な予感がしてきた。まさか…ジルベール…クレメンス家の屋敷や領地を借金の担保にしていないだろうか?
「僕とイザベラはオーナーの前に引きずり出されて、借金を返すように言われたんだけど…生憎僕達にはもう何一つ財産が残っていなかったんだ。借金の肩代わりをしてくれる人物のあても無かったし、担保にする物も思い浮かばなかったし…」
「は?」
今…ジルベールは何と言った?
「ねぇ、貴方はカジノのオーナーに借金の肩代わりをする人物や担保にする物を差し出すように言われたのよね?」
「ああ、そうだよ。だけど僕とイザベラはそんな当てが全く無かったからね…何もありませんって答えたんだ」
「それってつまり私やクレメンス家の財産を担保にしなかったってわけね?」
ひょっとして…クレメンス家を犠牲にしない為に…?少しは見込み?があるのだろうか?
しかし…。
「あ、そうかっ!その手があったのか…!すっかり忘れていたよ。君とクレメンス家を利用すれば良かったのか…そうと分かれば、あんなに惨めな奴隷のような生活をしないで済んだのか…」
「は…?」
ひょっとして…ジルベールが私を借金の肩代わりに指名しなかったのも、クレメンス家を担保にしなかったのも単に思いつかなかったからだったのか?
その言葉に私は怒りを覚えた。しかし、当のジルベールは私の怒りに気づくこと無く、自分がいかに東の大陸で苦労していたかを語っている。
「結局僕達はお金を払えない代わりに、身体を使って借金を返すことになったのさ。無償で朝早くから深夜まで働かされてようやく解放されたんだけど、僕達の所持金はゼロ。このままでは生活出来ないから、戻ってくることにしたんだよ。だけど本当に大変だった…。だって僕達は全くお金を持っていなかったんだから。働いてお金を稼ぎながら…1年たってようやくここへ戻ってくることが出来たんだ…」
「あら…そうなの?でもまだ1年経過していないわよ。明日で丁度1年よ」
言いながら、私は心の中で舌打ちした。全く…どうしてよりにもよって今日、戻ってきたのだろう。せめて明日だったら…何もかもうまくいっていたのに。
思わず頭を抱えて自分の運命を呪いかけた時…不意にジルベールが言った。
「そう言えば、この屋敷にいる使用人達…全員僕の知らない使用人たちばかりだったよ。一体どういうことなのかな?」
「え?」
その言葉に顔を上げた。今、ここにいる使用人たちは…全員ジルベールの事を知らない…?つまり、ジルベールが本来の領主である事を知る者は、私とフレデリック、そしてセイラの3人だけ。そして領民達もジルベールの顔を知る者は1人もいない。
けれど知らないのも無理はない。何故ならジルベールは領民達を蔑ろにして、領地の視察にすら一度も行った事がないのだから。
そしてジルベールの両親は…愚かな息子に完全に愛想をつかし、領地経営を成功させた私の腕を買い、今ではすっかり信用されている。
そう、今や私の周りは味方しかいないということになる。
それなら…事をうまく運べるかもしれない。
フフフ…ジルベールが愚かな男で本当に助かった。
私は心のなかでほくそ笑んだ―。
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