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2 湊の場合 8
あの失恋から4年が経っていた。
俺は高校卒業後、地方の大学に進学して一人暮らしをしていた。そして夏休みに入る直前の7月――
バイトも終わり、ワンルームマンションに戻ってきた俺は一人でビールを飲んでいると、突然スマホが鳴り響いた。それは中学時代からの友人、田中からだった。
「もしもし」
『あ、佐々木か?元気にしてたか?』
「当たり前だろ?突然電話なんてどうしたんだよ?」
『いや、もうすぐ夏休みだろう?だからまたこっちに帰省してくるのかと思ってさ』
「ああ。まぁ、一応戻るつもりだ。就職先だってこっちに決めてるからな」
『そうか、ならまた会おうぜ。中島も戻ってくるらしいから』
「へぇ。それは楽しみだな」
田中は地元に残ったけれども、俺と中島は地方の大学に進学している。
『ところでさ……お前、知ってるか?氷室さんのこと』
突然田中が彼女の話を出してきた。
「氷室さん……彼女がどうかしたのか?」
彼女は可愛そうな境遇だった。俺が彼女と出会ったときには、既に父親は病死していた。更に彼女が高校生になったときには母親が病死し……兄との二人暮らし担ってしまったという話は人づてに聞いていた。
まさか、また何かあったのだろうか?
『そうか……やっぱり知るはず無いよな。俺だって人づてに聞いたんだから。実は、つい最近、お兄さんが亡くなったらしいぞ』
「え!?な、何だってっ!?」
あのお兄さんが?
「だ、だけど何で!まだ25歳だったはずだろう!?病気だったのか!?」
『いや、俺もよく知らないけど……過労死だったいみたいだぞ?』
「過労死だって?」
一体どれだけブラック企業にいたのだろう?いや、問題はそこじゃない。ということは今、氷室さんは天涯孤独の身になってしまったということだ。
『おい?佐々木?どうした?話聞いてるのか?』
受話器越しから田中の声が聞こえてくる。
「聞いてるよ……少し……って言うか、かなり驚いているけどな」
今氷室さんはどうしているのだろう?様子を見に行きたい。馬鹿みたいな話だが、俺は未だに初恋を引きずっていた。
だからだろう。どんなに他の女と付き合ってみても長続きしないのは……。
『まぁ、驚くのも無理はないよな~。それで、こっちに戻ってきたらさ……』
田中の話は続いているけれども、半分も頭の中に入ってこなかった。
彼女の様子を見に行きたい。もし孤独を抱えて生きているなら側にいて支えてあげたい。
けれど、悲しいことに今の俺には既に彼女は遠い存在になっていた。何しろ一度だって家に行ったこともないのに、訪ねることも出来なかった。
『おい、佐々木。聞いているのか?』
「あ、ああ。聞いてるよ。中島も帰省したら三人でビヤホールに行くって話だろう?」
『そうだよ。それじゃそろそろ切るぞ。今から彼女の家に行くからさ』
「なんだよ?ノロケか?じゃあな」
通話を切ると、ため息を付いた。
「こんなことなら……去年の同窓会に行ってれば良かったな」
昨年、同窓会が行われたけれども俺は参加しなかった。なぜなら当時氷室さんは同じ高校に進学した男と交際しているという噂を耳にしていたからだ。
「会いに行ける立場じゃないからな。俺は……」
その後――
夏休みに帰省した俺は当然氷室さんに会うこともなく、実家で一夏を過ごし……再び元の場所へと戻ってきた。
臆病だった俺は氷室さんを気にかけながらも、会いにいくことは無かった。
そして就職をしたその年、初めて参加した同窓会で氷室さんが突然死したことを知らされた――
俺は高校卒業後、地方の大学に進学して一人暮らしをしていた。そして夏休みに入る直前の7月――
バイトも終わり、ワンルームマンションに戻ってきた俺は一人でビールを飲んでいると、突然スマホが鳴り響いた。それは中学時代からの友人、田中からだった。
「もしもし」
『あ、佐々木か?元気にしてたか?』
「当たり前だろ?突然電話なんてどうしたんだよ?」
『いや、もうすぐ夏休みだろう?だからまたこっちに帰省してくるのかと思ってさ』
「ああ。まぁ、一応戻るつもりだ。就職先だってこっちに決めてるからな」
『そうか、ならまた会おうぜ。中島も戻ってくるらしいから』
「へぇ。それは楽しみだな」
田中は地元に残ったけれども、俺と中島は地方の大学に進学している。
『ところでさ……お前、知ってるか?氷室さんのこと』
突然田中が彼女の話を出してきた。
「氷室さん……彼女がどうかしたのか?」
彼女は可愛そうな境遇だった。俺が彼女と出会ったときには、既に父親は病死していた。更に彼女が高校生になったときには母親が病死し……兄との二人暮らし担ってしまったという話は人づてに聞いていた。
まさか、また何かあったのだろうか?
『そうか……やっぱり知るはず無いよな。俺だって人づてに聞いたんだから。実は、つい最近、お兄さんが亡くなったらしいぞ』
「え!?な、何だってっ!?」
あのお兄さんが?
「だ、だけど何で!まだ25歳だったはずだろう!?病気だったのか!?」
『いや、俺もよく知らないけど……過労死だったいみたいだぞ?』
「過労死だって?」
一体どれだけブラック企業にいたのだろう?いや、問題はそこじゃない。ということは今、氷室さんは天涯孤独の身になってしまったということだ。
『おい?佐々木?どうした?話聞いてるのか?』
受話器越しから田中の声が聞こえてくる。
「聞いてるよ……少し……って言うか、かなり驚いているけどな」
今氷室さんはどうしているのだろう?様子を見に行きたい。馬鹿みたいな話だが、俺は未だに初恋を引きずっていた。
だからだろう。どんなに他の女と付き合ってみても長続きしないのは……。
『まぁ、驚くのも無理はないよな~。それで、こっちに戻ってきたらさ……』
田中の話は続いているけれども、半分も頭の中に入ってこなかった。
彼女の様子を見に行きたい。もし孤独を抱えて生きているなら側にいて支えてあげたい。
けれど、悲しいことに今の俺には既に彼女は遠い存在になっていた。何しろ一度だって家に行ったこともないのに、訪ねることも出来なかった。
『おい、佐々木。聞いているのか?』
「あ、ああ。聞いてるよ。中島も帰省したら三人でビヤホールに行くって話だろう?」
『そうだよ。それじゃそろそろ切るぞ。今から彼女の家に行くからさ』
「なんだよ?ノロケか?じゃあな」
通話を切ると、ため息を付いた。
「こんなことなら……去年の同窓会に行ってれば良かったな」
昨年、同窓会が行われたけれども俺は参加しなかった。なぜなら当時氷室さんは同じ高校に進学した男と交際しているという噂を耳にしていたからだ。
「会いに行ける立場じゃないからな。俺は……」
その後――
夏休みに帰省した俺は当然氷室さんに会うこともなく、実家で一夏を過ごし……再び元の場所へと戻ってきた。
臆病だった俺は氷室さんを気にかけながらも、会いにいくことは無かった。
そして就職をしたその年、初めて参加した同窓会で氷室さんが突然死したことを知らされた――
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