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3 ブラッドリー・モーガン 4
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エディットと婚約をしたいと両親に訴えた2日後――
この日は日曜日で両親と一緒に朝食を食べていた。
そして……。
「えっ⁉ な、何だって!」
ガチャンッ‼
両親の話に俺は思わず握りしめていたフォークをテーブルの上に叩きつけた。
「落ち着きなさい、ブラッドリー」
「ええ、そうよ。今は食事中なのよ」
父と母が困り顔で注意してきた。
「これが落ち着いていられるか! どうしてエディットとの婚約が断られるんだよ! うちの方がロワイエ家よりも格上だから、普通は喜んで受け入れてもらえるはずじゃないか!」
婚約を決めるのは家同士、ましてや俺の家の方が伝統も長いし各上だ。そうなると普通に考えれば断られるはず等ない。貴族同士の婚約なんて所詮、親同士が決めるものであって本人の意思なんか尊重されるはずが無いだろう。
……と、俺は思っていた。
それなのに、断ってくるだって?
「仕方ないのだよ。ロワイエ家にブラッドリーとの婚約の申し出をしたところ、既にエディット嬢はアドルフ君と婚約していたのだよ」
「婚約者がいるなら、こちらだって引き下がるしか無いでしょう?」
両親の話に凍り付いた。
「な、何だって……? エディットとアドルフが婚約……? 嘘だ!」
気付けば俺は叫んでいた。
「嘘なものか。伯爵は、はっきり言っていたぞ。考えて見ればエディット嬢とアドルフ君の両親は親友同士だったからな。二人が産まれた時から婚約を決めていたのかもしれない」
「嘘だ……そんな話、信じるものか……」
ショックよりも怒りの感情の方が上回っていた。
畜生、ロワイエ伯爵め。さてはエディットに意見を求めたな? 絶対そうに決まっている。エディットはアドルフのことを好きだから……俺を拒んだんだ。既に誰かと婚約が決まっていることにしてしまえば断れるからな。
「貴方にはまた別の婚約者を考えてあげるから、大丈夫よ」
母は俺がどれだけエディットのことが好きか分かっていない。
ガタンッ‼
わざと音を立てて椅子から立ち上がった。
「ブラッドリー。食事中だ、席に座りなさい」
「ええ。お行儀が悪いわよ」
けれど、俺は返事をせずにダイニングルームを出て行った。両親が背後で何やら叫んでいるが知ったことか。
「畜生……! エディットめ……! どうして俺を拒絶するんだよ……!」
怒りに任せながら廊下を走り、自分の部屋に閉じこもると内鍵を掛けた。
役立たずの両親とは今日はもう顔を合わせるものか。
「きっと、ロワイエ家とヴァレンシュタイン家の間で口裏を合わせに決まっている……。もしエディットとの婚約が決まっていれば、アドルフが絶対に俺に話すはずだからな。それに、もしかすると婚約の話を断るかもしれない」
何しろ、奴は馬鹿がつく程お人よしだ。俺がエディットのことを好きなのは、恐らく気付いているだろう。きっと俺に遠慮して婚約の話を断るに決まっている。
「どうする?明日から……」
明日から自分がどういう行動を取れば良いか考えた。恐らくエディットは俺に後ろめたい気持ちを感じていることだろう。
よし、鎌を掛ける為に明日はいつも通りに振舞ってやろう。そして二人の出方を伺ってやるのだ。
エディット、逃がさないぞ。俺はまだお前を諦めるつもりはないからな――
この日は日曜日で両親と一緒に朝食を食べていた。
そして……。
「えっ⁉ な、何だって!」
ガチャンッ‼
両親の話に俺は思わず握りしめていたフォークをテーブルの上に叩きつけた。
「落ち着きなさい、ブラッドリー」
「ええ、そうよ。今は食事中なのよ」
父と母が困り顔で注意してきた。
「これが落ち着いていられるか! どうしてエディットとの婚約が断られるんだよ! うちの方がロワイエ家よりも格上だから、普通は喜んで受け入れてもらえるはずじゃないか!」
婚約を決めるのは家同士、ましてや俺の家の方が伝統も長いし各上だ。そうなると普通に考えれば断られるはず等ない。貴族同士の婚約なんて所詮、親同士が決めるものであって本人の意思なんか尊重されるはずが無いだろう。
……と、俺は思っていた。
それなのに、断ってくるだって?
「仕方ないのだよ。ロワイエ家にブラッドリーとの婚約の申し出をしたところ、既にエディット嬢はアドルフ君と婚約していたのだよ」
「婚約者がいるなら、こちらだって引き下がるしか無いでしょう?」
両親の話に凍り付いた。
「な、何だって……? エディットとアドルフが婚約……? 嘘だ!」
気付けば俺は叫んでいた。
「嘘なものか。伯爵は、はっきり言っていたぞ。考えて見ればエディット嬢とアドルフ君の両親は親友同士だったからな。二人が産まれた時から婚約を決めていたのかもしれない」
「嘘だ……そんな話、信じるものか……」
ショックよりも怒りの感情の方が上回っていた。
畜生、ロワイエ伯爵め。さてはエディットに意見を求めたな? 絶対そうに決まっている。エディットはアドルフのことを好きだから……俺を拒んだんだ。既に誰かと婚約が決まっていることにしてしまえば断れるからな。
「貴方にはまた別の婚約者を考えてあげるから、大丈夫よ」
母は俺がどれだけエディットのことが好きか分かっていない。
ガタンッ‼
わざと音を立てて椅子から立ち上がった。
「ブラッドリー。食事中だ、席に座りなさい」
「ええ。お行儀が悪いわよ」
けれど、俺は返事をせずにダイニングルームを出て行った。両親が背後で何やら叫んでいるが知ったことか。
「畜生……! エディットめ……! どうして俺を拒絶するんだよ……!」
怒りに任せながら廊下を走り、自分の部屋に閉じこもると内鍵を掛けた。
役立たずの両親とは今日はもう顔を合わせるものか。
「きっと、ロワイエ家とヴァレンシュタイン家の間で口裏を合わせに決まっている……。もしエディットとの婚約が決まっていれば、アドルフが絶対に俺に話すはずだからな。それに、もしかすると婚約の話を断るかもしれない」
何しろ、奴は馬鹿がつく程お人よしだ。俺がエディットのことを好きなのは、恐らく気付いているだろう。きっと俺に遠慮して婚約の話を断るに決まっている。
「どうする?明日から……」
明日から自分がどういう行動を取れば良いか考えた。恐らくエディットは俺に後ろめたい気持ちを感じていることだろう。
よし、鎌を掛ける為に明日はいつも通りに振舞ってやろう。そして二人の出方を伺ってやるのだ。
エディット、逃がさないぞ。俺はまだお前を諦めるつもりはないからな――
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