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エピソード5 演じきれない私
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「あの~・・お願いしたいことがあるのだけど・・。」
マイクロバスの荷物置き場に荷物を積み終わった付き人さんに私は恐る恐る声をかけた。
「お願い?俺に?」
付き人さんは怪訝そうに私を見下ろす。うわ~・・・こうやって改めて見るとなんて背の高い人なんだろう・・・。
「あの、貴方の隣に座ってあげましょうか?」
なるべく悪役令嬢っぽく付き人さんにお願いする。
「はあ?別に座ってもらわなくてもけっこうだが?」
しかし付き人さんは私をチラリと一瞥するだけで、バスに乗り込もうとする。
「あ、待ってっ!」
咄嗟に付き人さんの来ているTシャツの上に羽織っていたYシャツの裾を握り締めた。
「何だよ・・?」
機嫌悪そうな付き人さん。
「だ、だって・・・バスの中の人たちを見て頂戴・・・よ。」
俯き加減に言うと、男性は溜息をついてバスを見上げると、そこには先ほど私をナンパ?してきた男性たちがニコニコ笑顔で手を振ったり、私に向かって手招きしているのだ。
「ああ・・・・彼らの隣に座りたくないから、俺に隣に座って欲しいって言うのか?」
「そ、そう!そういう事よっ!」
パッと付き人さんのTシャツから手を離すと私はコクコク頷いた。しかし、付き人さんは意地悪そうな笑みを浮かべた。
「男にナンパして欲しくてそんな恰好でこの島にやってきたんだろう?まったく・・貴族のお嬢様がそんな恰好してくるんだものな?自業自得だろう?せいぜい彼らに可愛がって貰えばいいじゃないか?」
「う!す・好きでそんな恰好していると思ってるんですか?!」
あまりの意地悪な物言いに、思わず素が出てしまった。
「今だって恥ずかしくってたまらないんですよ?こんな格好。だけど、これは仕方なしに着てるんですからね?友達に頼まれたから・・・。本当は一分一秒だってすぐに着替えたい位なんですからっ!」
一気にまくし立て、私は失態を犯してしまった事に気が付いた。
「・・・おい、友達に頼まれたからこんな格好してるのか?一体誰だ?その友達って言うのは。ここの参加者なのか?」
付き人さんが急に真顔で尋ねてきた。
「あっ、えっと・・・そ、それは・・。」
思わず口ごもる。
「そうか・・答えられないって事はこのサマースクールの参加者なんだな?」
「・・・。」
「黙ってるって事は図星だ?」
黙ってうなずくと、付き人さんは溜息をついた。そして自分の着ていたYシャツを脱ぐと渡してきた。
「?あの、これは?」
「それを羽織ってるだけでも少しは身体を隠せるだろう?」
付き人さんが言う。
「ありがとうございますっ!」
おお!そういう事かっ!いそいそと着ると、そのシャツはとても大きかった。半そでの袖は肘下まで届くし、裾は私のセクシー?な太ももまでばっちり隠してくれる。
「これなら、完璧に隠せます!ありがとう!・・・ございます・・・。」
すると付き人さんはプッと笑った。ん?何がおかしいのだろう?
「・・・ちっさ。」
小声で言うが、ばっちり私の耳には聞こえてきた。ええ、そう。私は小さい女です。身長は153㎝しかないから、よく小学生くらいに見間違えられるけど・・・それでもプロポーションだけは完璧なんだからね?
・・とは口に出さなかった。
「よし、それじゃ乗るぞ。」
付き人さんは私の右手を握り締めると、バスの入口へと向かった。・・・その手はとても大きい手だった。
付き人さんとバスに乗り込むと、例の王子様は一番後ろの座席にすわり、後ろ一列の席は王子様を中心に横一列女性たちで埋め尽くされていた。そして、後部座席すぐ前の座席にも女性たちが座り、王子様の方に注意を向けている。
バスの前の座席に座っているのは面白くなさそうな顔をしている男性たちだ。
そして私をナンパしてきた男たちが付き人さんと乗ってきた私に目を向けた。
「ああ、君を待ってたんだよ。さ、俺達と一緒に座ろうよ。」
サングラス男が私の左手を握り締めてきた。
ヒイッ!
すると付き人さんが彼に言う。
「悪いな。彼女は俺と約束したんだ。」
言うなり肩に腕を回して自分の身体に引き寄せた。その時・・付き人さんからミントのような香りがフワッと私の鼻腔をくすぐった。
「ええ~・・・つっまんねえの・・・。」
黒髪男性は途端に機嫌が悪くなるし、巻き毛男は舌打している。
ヤバイヤバイ・・本当にこの様子だと私は彼らにさっそく目をつけられてしまったらしい・・。思わず手が震えると・・・付き人さんの私の手を握り締める力が強まった。
「あの席に座るか。」
付き人さんは真ん中の席を見ると言った。実はこのバスの車内・・・前座席と後部座席にくっきり二分されていたのだ。
「ええ、そうね。」
わざと高飛車女?っぽく彼らの前で振る舞い、私は付き人さんと中央座席に座ると、早速声を掛けた。
「どうもありがとうございます。」
「・・話を聞かせて貰うからな・・?」
付き人さんはじっと私の目を見つめると尋ねてきた―。
マイクロバスの荷物置き場に荷物を積み終わった付き人さんに私は恐る恐る声をかけた。
「お願い?俺に?」
付き人さんは怪訝そうに私を見下ろす。うわ~・・・こうやって改めて見るとなんて背の高い人なんだろう・・・。
「あの、貴方の隣に座ってあげましょうか?」
なるべく悪役令嬢っぽく付き人さんにお願いする。
「はあ?別に座ってもらわなくてもけっこうだが?」
しかし付き人さんは私をチラリと一瞥するだけで、バスに乗り込もうとする。
「あ、待ってっ!」
咄嗟に付き人さんの来ているTシャツの上に羽織っていたYシャツの裾を握り締めた。
「何だよ・・?」
機嫌悪そうな付き人さん。
「だ、だって・・・バスの中の人たちを見て頂戴・・・よ。」
俯き加減に言うと、男性は溜息をついてバスを見上げると、そこには先ほど私をナンパ?してきた男性たちがニコニコ笑顔で手を振ったり、私に向かって手招きしているのだ。
「ああ・・・・彼らの隣に座りたくないから、俺に隣に座って欲しいって言うのか?」
「そ、そう!そういう事よっ!」
パッと付き人さんのTシャツから手を離すと私はコクコク頷いた。しかし、付き人さんは意地悪そうな笑みを浮かべた。
「男にナンパして欲しくてそんな恰好でこの島にやってきたんだろう?まったく・・貴族のお嬢様がそんな恰好してくるんだものな?自業自得だろう?せいぜい彼らに可愛がって貰えばいいじゃないか?」
「う!す・好きでそんな恰好していると思ってるんですか?!」
あまりの意地悪な物言いに、思わず素が出てしまった。
「今だって恥ずかしくってたまらないんですよ?こんな格好。だけど、これは仕方なしに着てるんですからね?友達に頼まれたから・・・。本当は一分一秒だってすぐに着替えたい位なんですからっ!」
一気にまくし立て、私は失態を犯してしまった事に気が付いた。
「・・・おい、友達に頼まれたからこんな格好してるのか?一体誰だ?その友達って言うのは。ここの参加者なのか?」
付き人さんが急に真顔で尋ねてきた。
「あっ、えっと・・・そ、それは・・。」
思わず口ごもる。
「そうか・・答えられないって事はこのサマースクールの参加者なんだな?」
「・・・。」
「黙ってるって事は図星だ?」
黙ってうなずくと、付き人さんは溜息をついた。そして自分の着ていたYシャツを脱ぐと渡してきた。
「?あの、これは?」
「それを羽織ってるだけでも少しは身体を隠せるだろう?」
付き人さんが言う。
「ありがとうございますっ!」
おお!そういう事かっ!いそいそと着ると、そのシャツはとても大きかった。半そでの袖は肘下まで届くし、裾は私のセクシー?な太ももまでばっちり隠してくれる。
「これなら、完璧に隠せます!ありがとう!・・・ございます・・・。」
すると付き人さんはプッと笑った。ん?何がおかしいのだろう?
「・・・ちっさ。」
小声で言うが、ばっちり私の耳には聞こえてきた。ええ、そう。私は小さい女です。身長は153㎝しかないから、よく小学生くらいに見間違えられるけど・・・それでもプロポーションだけは完璧なんだからね?
・・とは口に出さなかった。
「よし、それじゃ乗るぞ。」
付き人さんは私の右手を握り締めると、バスの入口へと向かった。・・・その手はとても大きい手だった。
付き人さんとバスに乗り込むと、例の王子様は一番後ろの座席にすわり、後ろ一列の席は王子様を中心に横一列女性たちで埋め尽くされていた。そして、後部座席すぐ前の座席にも女性たちが座り、王子様の方に注意を向けている。
バスの前の座席に座っているのは面白くなさそうな顔をしている男性たちだ。
そして私をナンパしてきた男たちが付き人さんと乗ってきた私に目を向けた。
「ああ、君を待ってたんだよ。さ、俺達と一緒に座ろうよ。」
サングラス男が私の左手を握り締めてきた。
ヒイッ!
すると付き人さんが彼に言う。
「悪いな。彼女は俺と約束したんだ。」
言うなり肩に腕を回して自分の身体に引き寄せた。その時・・付き人さんからミントのような香りがフワッと私の鼻腔をくすぐった。
「ええ~・・・つっまんねえの・・・。」
黒髪男性は途端に機嫌が悪くなるし、巻き毛男は舌打している。
ヤバイヤバイ・・本当にこの様子だと私は彼らにさっそく目をつけられてしまったらしい・・。思わず手が震えると・・・付き人さんの私の手を握り締める力が強まった。
「あの席に座るか。」
付き人さんは真ん中の席を見ると言った。実はこのバスの車内・・・前座席と後部座席にくっきり二分されていたのだ。
「ええ、そうね。」
わざと高飛車女?っぽく彼らの前で振る舞い、私は付き人さんと中央座席に座ると、早速声を掛けた。
「どうもありがとうございます。」
「・・話を聞かせて貰うからな・・?」
付き人さんはじっと私の目を見つめると尋ねてきた―。
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