呪いをかけられた小国の姫は従者と共に旅に出る

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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1-6 救う方法

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体調を再び崩してしまったエレーヌはベッドに臥せっていた。

「ジーク……あの子は? レイリアはどんな様子だったの?」

見舞いに訪れたジークベルトに尋ねる。

「……嘘をついても仕方がない。正直に話すよ。レイリアはあの魔術師との戦いで闇を吸収して、身体を乗っ取られたようだ」

ジークベルトは悲痛な顔になる。

「! そ、そんな……!」

エレーヌは口元を押さえた。

「レイリアの部屋は闇に覆われ、誰も近寄る事すら出来ない。何とか私は入る事が出来たが、恐らく普通の人間には無理だろう。それにエレーヌ……君の国を犠牲にしてしまった……」

エレーヌは首を振った。

「いいえ、ジークの行いは間違えておりません。仮に私がその場にいたとしても同じ判断を下します。それよりも肝心なのはレイリアの方です。一体どうしたらレイリアを救えるのですか!?」

「そうだな……誰が救えるだろうか……」

ジークベルトは少し考え……閃いた。

「そうだ……! 母なら……レイリアを救えるかもしれない!」

「え? お母様って……先代の女王にですか?」

「ああ、母にレイリアを視てもらう。きっと母ならレイリアを救える方法を知ってるはずだ」

ジークベルトの母……先代の女王は退位後は、この国の奥地にある城で暮らしていた。

「明日、レイリアを連れて母に会いに行ってくる。だからエレーヌは何も心配するな。今は出産まで安静にしていてくれ。そして丈夫な子供を産んで欲しい」

そしてジークベルトはエレーヌを抱きしめた――


****

 代々、マーヴェラス王国の直系は必ず強い魔力を秘めて産まれてくる。
最初に生まれた子供に一番強い魔力が宿る為、例え王女でも先に生まれてきたのであれば、国を継ぐ事が決まりとなっていた。

王は代々特殊能力を持っており、ジークベルトの母は物の本質を見極める能力に長けていたのである。

 ジークベルトの母――ユリアナは18歳の時に婿養子を取り、19歳でジークベルトを出産している。
ユリアナの夫は若くして病で亡くなり、ジークベルトは父親の思い出が無かった。

女王として国を治めていたユリアナだったが、ジークベルトが18歳を迎え、エレーヌと結婚した直後に王位をジークベルトに譲ると宣言したのだ。

ジークベルトに王位を譲ったユリアナ。
彼女は周囲の反対を押し切り、森の奥深くに住居を構える数人の世話係を連れて移り住んでしまったのだ。
今はそこで、ひっそりと隠居暮らしをしている。

「そうね。お義母様ならレイリアを助ける方法を知っているかもしれないわ」

エレーヌはポツリと口にする。

「ただ……問題はレイリアが母の元へ行くかどうかなのだが……」

「でもジーク。あの子を助ける為よ。お願い、何としても絶対にレイリアを説得して頂戴」

「ああ、分かったよ。エレーヌ」

ジークベルトは愛する妻の髪をそっと撫でた――


****

――翌朝

ジークベルトはレイリアの部屋を訪ねていた。

「え? 森の奥に住むおばあ様の家に行くですって?」

「そうだよ。レイリアは覚えていないだろうが、赤ちゃんの時に会ったことがあるんだ。おばあ様なら、レイリアを元に戻す方法を知っているかもしれない。だから……」

「嫌よ! 何故私がわざわざそんな面倒な場所へ行かなければならないのよ! 私は絶対にここから動かないわ! 向こうから来ればいいでしょう!? それに私は今の自分の姿が気にいっているの! 余計なことはしないでちょうだい!」

レイリアはヒステリックに叫ぶ。

「レイリア……私はどうしても私はお前を救いたいのだ。お母さんだって、そう思っている。だから頼む。お父さんと一緒におばあ様の家に行こう?」

ジークベルトはレイリアの小さな手を握りしめる。

「何するのよ! 私に触らないで!」

乱暴に手を払いのけると、再びレイリアは叫んだ。

「早く出て行って! 貴方の顔を見ていると虫唾が走るわ!」

そしてジークベルト目掛けて、クッションやピロウを次々と投げつける。

「わ、分かった! 出る! 出て行くから物を投げるのはやめてくれ!」

追い払われるように部屋を出たジークベルト。
レイリアの部屋のドアに寄りかかりため息をついた。

「レイリア……どうすれば、お前を元に戻すことが出来るんだ……?

そこへヨハネスがやってきた。

「ジーク、やはりここにいたんだな」

「ヨハネス? 一体どうしたんだ?」

すると、いきなりヨハネスは謝罪してきた。

「ジーク……すまない」

「何を謝る?」

「実は俺、ユリアナ様をこの城に連れて来てるんだ……勝手な真似をしてすまない」

「え?」

ジークベルトは驚いてヨハネスを見ると、彼の背後から懐かしい声が聞こえた。

「久しぶりね。ジーク」

「は、母上……!」

それは、久しぶりの親子の再会だった――
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