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1-9 両親との別れ
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長い時間が経過していた。
ジークベルトは落ち着かない様子で執務室で仕事をしている。
本当なら、ユリアナが部屋から出てくるまで待機していたかったのだが、仕事をさぼるなとヨハネスに言われ、渋々執務室に連れて来られたのだった。
「遅い……母上は一体何をしておられるのだ……?」
――コンコン
その時、執務室のドアがノックされた。
すぐにヨハネスが応対すると、執務室にユリアナとレイリアが現れた。
「レイリア、身体はもう良くなったのか?」
ジークベルトが笑みを浮かべて立ち上がったが、それをユリアナが制した。
「お待ちなさい、ジーク」
「母上……?」
「これよりレイリアは私が預かる事とします。この城へはレイリアの呪いが解ける
までは、もう戻ってくることはありません」
「な、何を言っておられるのですか!? 幾ら母上と言えどもそれは承諾出来ません!」
「やめて! それは私がこれ以上この城に居たくは無いからよ!」
レイリアは真っ赤な瞳でジークベルトを睨み付けた。
「レイリア……?」
するとレイリアは冷たい笑みを浮かべた。
「本当に愚かな人なのね。この国の国王なら 漆黒の髪がどれ程忌み嫌われているかって事位知っているでしょう? 自分の娘がこの城で肩身の狭い思いをしてもいいっていうの?」
「レイリア……私は別にそのような意味で言った訳では……」
項垂れるジークハルトにユリアナが語りかける。
「ジーク、これで分かったでしょう? この城にはもうレイリアの居場所は無いのよ。私が責任を持ってレイリアを預かります。剣術や魔力の使い方、全てを私が教示します。そしていずれサバトスが復活した時にレイリアを旅立たせます。何故なら呪いを解くにはレイリア自らがサバトスを倒さなければならないからです」
「母上、正気ですか? レイリアは女の子ですよ? しかもこの国の姫です。それを戦わせようとするなど無謀な話です! 私は断固として反対です!」
「……なら親子の縁を切って頂戴」
レイリアは冷たい声で言い放った。
「レイリア? 今何を……」
「どうしても私を行かせないと言うなら、今ここで親子の縁を切って! 私の邪魔をするような人はもう親でも何でも無いわ! 貴方なんか大嫌いよ!!」
大きな声で叫ぶも、心の中で泣いていた。
<嘘よ!! 私は一度もお父様を嫌った事なんか無いわ! 大好きなのに!!>
レイリアは自分の心がまるでナイフで刺されたような痛みを感じていた。思ってもいない事を口から出てしまうと言う事がこれ程苦しいとは思いもしなかった。
そんな様子をユリアナはじっと見ているが、やがて口を開いた。
「レイリア、少し席を外しなさい。私は貴方のお父様とお話がありますから」
「あ、そう」
レイリアはプイと背中を向けて部屋から出て行った。
「母上! 何故私達から娘を奪うような真似をしようとするのです!?」
ジークベルトはすっかり冷静さを欠いている。
「落ち着きなさい、ジーク。貴方には分からないのですか? レイリアが心の中でずっと泣いているのを」
「え……? どういう意味ですか?」
「今のレイリアは呪いによって本心とは真逆の言葉しか話せなくなってしまっているのです。貴方に酷い言葉を投げつける度にレイリアの心は傷ついています」
「ま、まさか……」
「これ以上レイリアの心が傷つけば、もうあの子は正気を保てなくなってしまうかもしれない。貴方はそれでも良いのですか?」
ジークベルトは黙り込んでしまった。
「あの子の為に、私は貴方とエレーヌから引き離すのです」
「……分かりました。母上、レイリアをよろしくお願いします」
****
こうして、レイリアは10年育った城を離れ、祖母のユリアナと深い森の中で暮らす事となった。
季節は秋—―落ち葉が舞い落ちる季節。
レイリアの両親は1台の馬車が城門から出て行くのを窓から馬車が見えなくなるまでずっと二人で見送っていた。
いつか再会する日が訪れるのを祈りながら――
ジークベルトは落ち着かない様子で執務室で仕事をしている。
本当なら、ユリアナが部屋から出てくるまで待機していたかったのだが、仕事をさぼるなとヨハネスに言われ、渋々執務室に連れて来られたのだった。
「遅い……母上は一体何をしておられるのだ……?」
――コンコン
その時、執務室のドアがノックされた。
すぐにヨハネスが応対すると、執務室にユリアナとレイリアが現れた。
「レイリア、身体はもう良くなったのか?」
ジークベルトが笑みを浮かべて立ち上がったが、それをユリアナが制した。
「お待ちなさい、ジーク」
「母上……?」
「これよりレイリアは私が預かる事とします。この城へはレイリアの呪いが解ける
までは、もう戻ってくることはありません」
「な、何を言っておられるのですか!? 幾ら母上と言えどもそれは承諾出来ません!」
「やめて! それは私がこれ以上この城に居たくは無いからよ!」
レイリアは真っ赤な瞳でジークベルトを睨み付けた。
「レイリア……?」
するとレイリアは冷たい笑みを浮かべた。
「本当に愚かな人なのね。この国の国王なら 漆黒の髪がどれ程忌み嫌われているかって事位知っているでしょう? 自分の娘がこの城で肩身の狭い思いをしてもいいっていうの?」
「レイリア……私は別にそのような意味で言った訳では……」
項垂れるジークハルトにユリアナが語りかける。
「ジーク、これで分かったでしょう? この城にはもうレイリアの居場所は無いのよ。私が責任を持ってレイリアを預かります。剣術や魔力の使い方、全てを私が教示します。そしていずれサバトスが復活した時にレイリアを旅立たせます。何故なら呪いを解くにはレイリア自らがサバトスを倒さなければならないからです」
「母上、正気ですか? レイリアは女の子ですよ? しかもこの国の姫です。それを戦わせようとするなど無謀な話です! 私は断固として反対です!」
「……なら親子の縁を切って頂戴」
レイリアは冷たい声で言い放った。
「レイリア? 今何を……」
「どうしても私を行かせないと言うなら、今ここで親子の縁を切って! 私の邪魔をするような人はもう親でも何でも無いわ! 貴方なんか大嫌いよ!!」
大きな声で叫ぶも、心の中で泣いていた。
<嘘よ!! 私は一度もお父様を嫌った事なんか無いわ! 大好きなのに!!>
レイリアは自分の心がまるでナイフで刺されたような痛みを感じていた。思ってもいない事を口から出てしまうと言う事がこれ程苦しいとは思いもしなかった。
そんな様子をユリアナはじっと見ているが、やがて口を開いた。
「レイリア、少し席を外しなさい。私は貴方のお父様とお話がありますから」
「あ、そう」
レイリアはプイと背中を向けて部屋から出て行った。
「母上! 何故私達から娘を奪うような真似をしようとするのです!?」
ジークベルトはすっかり冷静さを欠いている。
「落ち着きなさい、ジーク。貴方には分からないのですか? レイリアが心の中でずっと泣いているのを」
「え……? どういう意味ですか?」
「今のレイリアは呪いによって本心とは真逆の言葉しか話せなくなってしまっているのです。貴方に酷い言葉を投げつける度にレイリアの心は傷ついています」
「ま、まさか……」
「これ以上レイリアの心が傷つけば、もうあの子は正気を保てなくなってしまうかもしれない。貴方はそれでも良いのですか?」
ジークベルトは黙り込んでしまった。
「あの子の為に、私は貴方とエレーヌから引き離すのです」
「……分かりました。母上、レイリアをよろしくお願いします」
****
こうして、レイリアは10年育った城を離れ、祖母のユリアナと深い森の中で暮らす事となった。
季節は秋—―落ち葉が舞い落ちる季節。
レイリアの両親は1台の馬車が城門から出て行くのを窓から馬車が見えなくなるまでずっと二人で見送っていた。
いつか再会する日が訪れるのを祈りながら――
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