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4章6 変貌
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その時、茂みの陰から男性の顔が見えた。それは紛れもなくリオンだった。
「リオン……」
それでは彼と話しているのは、きっとロザリンに違いない。
「もちろん、忘れていないよ。絶対に他の女性と親しくしないって約束だろう?」
「ええ、そうよ。リオン、貴方のせいで私は大火傷をして二目と見られない顔になってしまったのよ!」
私に背中を向けているロザリンがヴェールをめくる様子が見えた。
「どう? 醜いでしょう? 酷い顔でしょう!? 私は怖くて鏡を見ることが出来なくなった! 人前でヴェールを取ることが出来なくなったのよ! あなたは一生私に尽くさなければならないのよ!!」
「分かってる……全て俺のせいだよ。本当に悪かったと思っている」
その声は悲しげだった。
すぐにこの場を去らなければいけないのに、足が動かなかった。まさか……2人がこんなことになっていたなんて……。
「それが謝罪だっていうの!? ちゃんと地面に跪いて謝りなさいよ!」
その言葉にリオンは無言で跪くと、再び謝る。
「ごめん……ロザリン」
リオン……!
リオンが地面に跪く姿に衝撃を受けてしまった。
もう彼が哀れで見ていられなかった。
踵を返し、静かにその場を去ろうとしたとき。
――パキンッ!!
足元の小枝を踏んでしまい、辺りに音が響く。
「誰っ!?」
ロザリンがこちらを振り向き、姿を見られてしまった。
思わず背中に冷たいものが走る。
「誰なの!? 今、盗み見していたわね!?」
ヒステリックに喚くロザリンをリオンが止めた。
「やめるんだ、ロザリン。彼女はたまたまここを通りかかっただけだろう? そんな言い方をしては駄目じゃないか」
「そんなの分からないでしょう! 絶対に立ち聞きしていたのよ!」
「決めつけは良くないよ」
2人が話し始めた隙を狙って、私は急いでその場を逃げ出した。
「あ! 逃げる気!」
ロザリンが叫ぶ声を聞きながら――
****
2時限目のガイダンスには、ぎりぎり間に合うことが出来た。
「あ、クラリス! 待っていたわよ!」
教室に入ると、エイダが一番出入り口に近い席に座って笑顔で手を振っている。
「遅くなってごめんなさい」
隣に座ると、直ぐにエイダに謝った。
「いいのよ、でも心配したわ。何かあったの?」
「いいえ、ちょっと迷っただけよ。でも本当にごめんなさい、私が分かりやすいように一番後ろの席に座ってくれていたのでしょう?」
エイダにこれ以上余計な心配をかけさせたくはなかった。
「え? 迷ってしまったの? それは大変だったわね……この学園はとても広いから。やっぱり教室まで迎えに行けば良かったわ」
「大丈夫よ、もう覚えたから」
すると教室に教授が入ってきたので、お喋りはそこまでにした……。
ガイダンスが始まったものの、先程の光景が気がかりで全く頭に入ってこなかった。
どうしよう……遠目からではあったものの、リオンとロザリンに見つかってしまった。
私の姿を覚えられてしまっただろうか?
だとしたら、これからは徹底的に2人を避け続けなければ。
先程のリオンの姿が脳裏に蘇ってくる。
ゲーム中のリオンは影があり、刺々しい性格をしたキャラだった。
けれど、さっき見たリオンは全く違っていた。
物悲しい雰囲気をまとい、気弱な青年になっている。
リオンを救ったつもりでいたのに、今のリオンは少しも幸せそうに見えなかった。
私の行動は……単に、自分の人生を狂わしてしまっただけなのではないだろうか?
ガイダンスの間……ずっと自問自答し続けるのだった――
「リオン……」
それでは彼と話しているのは、きっとロザリンに違いない。
「もちろん、忘れていないよ。絶対に他の女性と親しくしないって約束だろう?」
「ええ、そうよ。リオン、貴方のせいで私は大火傷をして二目と見られない顔になってしまったのよ!」
私に背中を向けているロザリンがヴェールをめくる様子が見えた。
「どう? 醜いでしょう? 酷い顔でしょう!? 私は怖くて鏡を見ることが出来なくなった! 人前でヴェールを取ることが出来なくなったのよ! あなたは一生私に尽くさなければならないのよ!!」
「分かってる……全て俺のせいだよ。本当に悪かったと思っている」
その声は悲しげだった。
すぐにこの場を去らなければいけないのに、足が動かなかった。まさか……2人がこんなことになっていたなんて……。
「それが謝罪だっていうの!? ちゃんと地面に跪いて謝りなさいよ!」
その言葉にリオンは無言で跪くと、再び謝る。
「ごめん……ロザリン」
リオン……!
リオンが地面に跪く姿に衝撃を受けてしまった。
もう彼が哀れで見ていられなかった。
踵を返し、静かにその場を去ろうとしたとき。
――パキンッ!!
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「誰っ!?」
ロザリンがこちらを振り向き、姿を見られてしまった。
思わず背中に冷たいものが走る。
「誰なの!? 今、盗み見していたわね!?」
ヒステリックに喚くロザリンをリオンが止めた。
「やめるんだ、ロザリン。彼女はたまたまここを通りかかっただけだろう? そんな言い方をしては駄目じゃないか」
「そんなの分からないでしょう! 絶対に立ち聞きしていたのよ!」
「決めつけは良くないよ」
2人が話し始めた隙を狙って、私は急いでその場を逃げ出した。
「あ! 逃げる気!」
ロザリンが叫ぶ声を聞きながら――
****
2時限目のガイダンスには、ぎりぎり間に合うことが出来た。
「あ、クラリス! 待っていたわよ!」
教室に入ると、エイダが一番出入り口に近い席に座って笑顔で手を振っている。
「遅くなってごめんなさい」
隣に座ると、直ぐにエイダに謝った。
「いいのよ、でも心配したわ。何かあったの?」
「いいえ、ちょっと迷っただけよ。でも本当にごめんなさい、私が分かりやすいように一番後ろの席に座ってくれていたのでしょう?」
エイダにこれ以上余計な心配をかけさせたくはなかった。
「え? 迷ってしまったの? それは大変だったわね……この学園はとても広いから。やっぱり教室まで迎えに行けば良かったわ」
「大丈夫よ、もう覚えたから」
すると教室に教授が入ってきたので、お喋りはそこまでにした……。
ガイダンスが始まったものの、先程の光景が気がかりで全く頭に入ってこなかった。
どうしよう……遠目からではあったものの、リオンとロザリンに見つかってしまった。
私の姿を覚えられてしまっただろうか?
だとしたら、これからは徹底的に2人を避け続けなければ。
先程のリオンの姿が脳裏に蘇ってくる。
ゲーム中のリオンは影があり、刺々しい性格をしたキャラだった。
けれど、さっき見たリオンは全く違っていた。
物悲しい雰囲気をまとい、気弱な青年になっている。
リオンを救ったつもりでいたのに、今のリオンは少しも幸せそうに見えなかった。
私の行動は……単に、自分の人生を狂わしてしまっただけなのではないだろうか?
ガイダンスの間……ずっと自問自答し続けるのだった――
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