195 / 566
第8章 4 ブルーノとルドルフ
しおりを挟む
同時刻―
ルドルフは職員室でブルーノと進路についての話をしていた。
「どうだ、ルドルフ。新しい学校にはだいぶ慣れたようだな?クラス委員長にもなったし・・友人も増えた様じゃないか?全ては・・・あのオリエンテーリングがきっかけなんじゃないか?」
ブルーノはにこやかに声を掛ける。
「はい。・・・そうだと思います。」
「それで・・ルドルフ。君の志望先は・・・医学部のある大学か・・・。なるほどな・・。確かにこの学校は進学校だから医学部のある大学へ進学する生徒達もいるが・・そうか、ルドルフ。君は医学部へ進学を希望しているからこの高校へ編入してきたのだな?」
「・・・。」
しかし、ルドルフは微妙な顔をしたまま返事をしない。
「ルドルフ・・・ひょっとすると・・ヒルダと知り合いなのか?」
ブルーノの言葉にルドルフはピクリと肩を動かした。ルドルフのその様子でブルーノは理解した。
「そうか・・・やはりヒルダと知り合いだったのだな。クラス名簿の資料でヒルダとルドルフが同じ『カウベリー』の出身だったから偶然かと思ったのだが・・違うんだな?」
ブルーノはルドルフに尋ねた。ルドルフが崖下へ落ちてしまったヒルダの事を自らの危険を顧みず助けに言った事を知らされたときから、ひょっとするとヒルダとルドルフは知り合いだったのではないだろうかとブルーノは考えていたのだ。
「ルドルフ・・・もしかして医学部を目指すのは・・ヒルダの足の為か・・?」
「え・・?」
ルドルフは驚いたようにブルーノを見た。
「そうか・・やはり・・・。ルドルフ・・・君はヒルダの足の怪我の後遺症を治してあげたいと思って医学部を目指そうと思ったんだな?」
「はい・・その通りです・・。」
ルドルフは観念したかのように頷いた。その言葉を聞いたとき、ブルーノはヒルダには悪いが・・ルドルフに相談を持ち掛ける事に決めた。
「君たちが・・故郷でどんな関係だったのかを尋ねるつもりはない。ただ・・ヒルダの事を今後も、あのオリエンテーリングの時の様に気にかけてあげてくれないか?そうだな・・例えば何か悩み事があるようなら相談に乗ってあげるだけでもいい。」
「先生・・・?」
ルドルフは首を傾げた。
(先生は・・・僕に何を告げるつもりなのだろう・・?)
「ヒルダは・・今は父親からの援助で高校へ通う事が出来ているが・・・卒業と同時に家からの援助を打ち切られてしまうらしくて・・・高校を卒業後は就職を考えているそうなんだ。」
「え・・・・就職ですか・・?」
ルドルフは眉を寄せた。
(そんな・・・女性の仕事先なんて・・きつい仕事しか・・ないじゃないか・・・。ヒルダ様のあの足で働くなんて・・!)
ルドルフは自分の考えが甘かった事に今更ながら気が付いた。エドガーからはお金の話は何も知らされてはいなかった。もっとも・・・赤の他人の自分にそこまでの事をエドガーが話してくれるとも思えなかった。
「だから俺はヒルダに奨学金制度を利用して、大学進学を持ちかけたんだ。優秀な学生なら大学に通える費用だけじゃなく、一部生活費として援助もしてくれるからな。女性で大卒ともなれば・・たとえ、女性であろうとそれなりの就職先につながるだろうし・・・。」
ルドルフは黙ってブルーノの話を聞いていた。
「まあ・・ヒルダは今大いに悩んでいる時期だと思うが・・同郷の者同士で悩みでもあれば聞いてやって欲しいと思っただけだ。だからルドルフ。そんなに思いつめた顔をするな。俺もヒルダの為に何か出来ないか・・色々調べてみるつもりだから。」
そしてブルーノはルドルフに笑顔を向けた―。
ルドルフは職員室でブルーノと進路についての話をしていた。
「どうだ、ルドルフ。新しい学校にはだいぶ慣れたようだな?クラス委員長にもなったし・・友人も増えた様じゃないか?全ては・・・あのオリエンテーリングがきっかけなんじゃないか?」
ブルーノはにこやかに声を掛ける。
「はい。・・・そうだと思います。」
「それで・・ルドルフ。君の志望先は・・・医学部のある大学か・・・。なるほどな・・。確かにこの学校は進学校だから医学部のある大学へ進学する生徒達もいるが・・そうか、ルドルフ。君は医学部へ進学を希望しているからこの高校へ編入してきたのだな?」
「・・・。」
しかし、ルドルフは微妙な顔をしたまま返事をしない。
「ルドルフ・・・ひょっとすると・・ヒルダと知り合いなのか?」
ブルーノの言葉にルドルフはピクリと肩を動かした。ルドルフのその様子でブルーノは理解した。
「そうか・・・やはりヒルダと知り合いだったのだな。クラス名簿の資料でヒルダとルドルフが同じ『カウベリー』の出身だったから偶然かと思ったのだが・・違うんだな?」
ブルーノはルドルフに尋ねた。ルドルフが崖下へ落ちてしまったヒルダの事を自らの危険を顧みず助けに言った事を知らされたときから、ひょっとするとヒルダとルドルフは知り合いだったのではないだろうかとブルーノは考えていたのだ。
「ルドルフ・・・もしかして医学部を目指すのは・・ヒルダの足の為か・・?」
「え・・?」
ルドルフは驚いたようにブルーノを見た。
「そうか・・やはり・・・。ルドルフ・・・君はヒルダの足の怪我の後遺症を治してあげたいと思って医学部を目指そうと思ったんだな?」
「はい・・その通りです・・。」
ルドルフは観念したかのように頷いた。その言葉を聞いたとき、ブルーノはヒルダには悪いが・・ルドルフに相談を持ち掛ける事に決めた。
「君たちが・・故郷でどんな関係だったのかを尋ねるつもりはない。ただ・・ヒルダの事を今後も、あのオリエンテーリングの時の様に気にかけてあげてくれないか?そうだな・・例えば何か悩み事があるようなら相談に乗ってあげるだけでもいい。」
「先生・・・?」
ルドルフは首を傾げた。
(先生は・・・僕に何を告げるつもりなのだろう・・?)
「ヒルダは・・今は父親からの援助で高校へ通う事が出来ているが・・・卒業と同時に家からの援助を打ち切られてしまうらしくて・・・高校を卒業後は就職を考えているそうなんだ。」
「え・・・・就職ですか・・?」
ルドルフは眉を寄せた。
(そんな・・・女性の仕事先なんて・・きつい仕事しか・・ないじゃないか・・・。ヒルダ様のあの足で働くなんて・・!)
ルドルフは自分の考えが甘かった事に今更ながら気が付いた。エドガーからはお金の話は何も知らされてはいなかった。もっとも・・・赤の他人の自分にそこまでの事をエドガーが話してくれるとも思えなかった。
「だから俺はヒルダに奨学金制度を利用して、大学進学を持ちかけたんだ。優秀な学生なら大学に通える費用だけじゃなく、一部生活費として援助もしてくれるからな。女性で大卒ともなれば・・たとえ、女性であろうとそれなりの就職先につながるだろうし・・・。」
ルドルフは黙ってブルーノの話を聞いていた。
「まあ・・ヒルダは今大いに悩んでいる時期だと思うが・・同郷の者同士で悩みでもあれば聞いてやって欲しいと思っただけだ。だからルドルフ。そんなに思いつめた顔をするな。俺もヒルダの為に何か出来ないか・・色々調べてみるつもりだから。」
そしてブルーノはルドルフに笑顔を向けた―。
2
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
私達、婚約破棄しましょう
アリス
恋愛
余命宣告を受けたエニシダは最後は自由に生きようと婚約破棄をすることを決意する。
婚約者には愛する人がいる。
彼女との幸せを願い、エニシダは残りの人生は旅をしようと家を出る。
婚約者からも家族からも愛されない彼女は最後くらい好きに生きたかった。
だが、なぜか婚約者は彼女を追いかけ……
【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした
凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】
いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。
婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。
貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。
例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。
私は貴方が生きてさえいれば
それで良いと思っていたのです──。
【早速のホトラン入りありがとうございます!】
※作者の脳内異世界のお話です。
※小説家になろうにも同時掲載しています。
※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる