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第10章 6 フィールズ家にて
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無言で馬に乗りフィールズ家に到着したエドガーとルドルフを出迎えたのは2人のフットマンだった。
エドガーは馬から降りるとフットマン達に言う。
「1人は馬を厩舎に連れて行ってくれ。もう1人は紅茶と・・・何かつまめるものを用意して俺の自室へ運んでくれないか?」
「「かしこまりました。」」
2人のフットマンは深々と頭を下げた。
「ルドルフ、部屋へ行こう。」
エドガーは馬から降りたルドルフに声を掛ける。
「はい、エドガー様。」
返事をしたルドルフの顔色は真っ青だった。その様子を見てエドガーは思った。
(ルドルフ・・・顔色が酷く悪い。まあ・・・あれだけショッキングな事を知ってしまったんだ。無理もないだろう・・。)
コツコツと足音を立てながら2人は長い廊下を進む。歩きながらエドガーは背後にいるルドルフに声を掛けた。
「ルドルフ、今夜は・・・泊って行かないか?」
「え?」
突然の提案にルドルフは顔を上げた。
「いや・・・何か予定が入っているなら無理にとは言わないが・・。」
「いえ、そんな事はありません。大丈夫です。」
「そうか・・なら良かった。」
(ルドルフとは今後、グレースの犯した罪を暴き出す証拠を見つけないといけないからな・・・。)
エドガーがルドルフにフィールズ家に泊るように言ったのにはある理由があった。
(父は今夜は領地に帰ってこない。なるべくヒルダの話は父が不在の時に話をしなければならないからな・・。)
****
午後2時―
今、エドガーとルドルフは人払いを済ませたエドガーの自室でテーブルを挟み、向かい合わせに椅子に座り、紅茶を飲んでいた。
2人のテーブルの前にはミックスサンドイッチ、スコーン、紅茶のマフィンが乗っている。
「あの・・・何だか申し訳ございません。」
ルドルフが口を開いた。
「何がだ?」
「お茶だけでなく、このような軽食まで用意して頂いて・・・。」
「ああ・・・気にするな。何せグレースの家で出された紅茶は・・・とてもじゃないが飲めたものでは無かったからな。あの家は・・満足にお茶も出せないほどに・・落ちぶれているのだな。」
エドガーはその時の事を思い出し、顔をしかめた。
「ええ・・そうですね。屋敷の仲は家具らしいものは、ほとんど見当たらなかったし・・以前の暮らしぶりから考えると・・とても信じられませんでした。」
「ああ、あの屋敷を見れば分かる。多分グレースの家は相当裕福だったのだろう。それが何らかの理由で落ちぶれてしまった・・・。恐らくあの屋敷も抵当に入っているかもしれないな。多分父親は金策に走っているんじゃないか?」
「そうかもしれませんね。」
ルドルフはサンドイッチを口に運んだ。
「ルドルフ、まずは一刻も早く落馬事故と教会焼失事件の犯人がグレースだったと言う証拠を見つけなければならない。そうでなければいつまでたってもヒルダは犯人扱いされたままで『カウベリー』に戻ってくることすら許されないからな。親子の縁も切れたままだし。」
「はい・・そうですね・・・これではあまりにもヒルダ様が不憫です。」
ルドルフは唇をかみしめ、両手を膝の上で握りしめた。
「ああ・・・そうだな。こんなのはあまりにも理不尽だ。何の罪もないヒルダが領民から恨まれ・・父の怒りを買い、爵位の剥奪に、親子の縁を切られた挙句に故郷を負われた。それなのに・・本当の犯人は今もこの地で暮らしているなんて・・。」
エドガーはスコーンを口にした。
「エドガー様・・・僕は随分グレースの事を甘く考えていたようです。エドガー様の言葉で観念したグレースが全ての罪を認めると思っていたのに・・まさか開き直って証拠を持って来いと言い出すなんて・・・!」
ルドルフは血を吐くように言った―。
エドガーは馬から降りるとフットマン達に言う。
「1人は馬を厩舎に連れて行ってくれ。もう1人は紅茶と・・・何かつまめるものを用意して俺の自室へ運んでくれないか?」
「「かしこまりました。」」
2人のフットマンは深々と頭を下げた。
「ルドルフ、部屋へ行こう。」
エドガーは馬から降りたルドルフに声を掛ける。
「はい、エドガー様。」
返事をしたルドルフの顔色は真っ青だった。その様子を見てエドガーは思った。
(ルドルフ・・・顔色が酷く悪い。まあ・・・あれだけショッキングな事を知ってしまったんだ。無理もないだろう・・。)
コツコツと足音を立てながら2人は長い廊下を進む。歩きながらエドガーは背後にいるルドルフに声を掛けた。
「ルドルフ、今夜は・・・泊って行かないか?」
「え?」
突然の提案にルドルフは顔を上げた。
「いや・・・何か予定が入っているなら無理にとは言わないが・・。」
「いえ、そんな事はありません。大丈夫です。」
「そうか・・なら良かった。」
(ルドルフとは今後、グレースの犯した罪を暴き出す証拠を見つけないといけないからな・・・。)
エドガーがルドルフにフィールズ家に泊るように言ったのにはある理由があった。
(父は今夜は領地に帰ってこない。なるべくヒルダの話は父が不在の時に話をしなければならないからな・・。)
****
午後2時―
今、エドガーとルドルフは人払いを済ませたエドガーの自室でテーブルを挟み、向かい合わせに椅子に座り、紅茶を飲んでいた。
2人のテーブルの前にはミックスサンドイッチ、スコーン、紅茶のマフィンが乗っている。
「あの・・・何だか申し訳ございません。」
ルドルフが口を開いた。
「何がだ?」
「お茶だけでなく、このような軽食まで用意して頂いて・・・。」
「ああ・・・気にするな。何せグレースの家で出された紅茶は・・・とてもじゃないが飲めたものでは無かったからな。あの家は・・満足にお茶も出せないほどに・・落ちぶれているのだな。」
エドガーはその時の事を思い出し、顔をしかめた。
「ええ・・そうですね。屋敷の仲は家具らしいものは、ほとんど見当たらなかったし・・以前の暮らしぶりから考えると・・とても信じられませんでした。」
「ああ、あの屋敷を見れば分かる。多分グレースの家は相当裕福だったのだろう。それが何らかの理由で落ちぶれてしまった・・・。恐らくあの屋敷も抵当に入っているかもしれないな。多分父親は金策に走っているんじゃないか?」
「そうかもしれませんね。」
ルドルフはサンドイッチを口に運んだ。
「ルドルフ、まずは一刻も早く落馬事故と教会焼失事件の犯人がグレースだったと言う証拠を見つけなければならない。そうでなければいつまでたってもヒルダは犯人扱いされたままで『カウベリー』に戻ってくることすら許されないからな。親子の縁も切れたままだし。」
「はい・・そうですね・・・これではあまりにもヒルダ様が不憫です。」
ルドルフは唇をかみしめ、両手を膝の上で握りしめた。
「ああ・・・そうだな。こんなのはあまりにも理不尽だ。何の罪もないヒルダが領民から恨まれ・・父の怒りを買い、爵位の剥奪に、親子の縁を切られた挙句に故郷を負われた。それなのに・・本当の犯人は今もこの地で暮らしているなんて・・。」
エドガーはスコーンを口にした。
「エドガー様・・・僕は随分グレースの事を甘く考えていたようです。エドガー様の言葉で観念したグレースが全ての罪を認めると思っていたのに・・まさか開き直って証拠を持って来いと言い出すなんて・・・!」
ルドルフは血を吐くように言った―。
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