嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第1章 2 クリスマスの話題

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「おはようございます。」

診療開始15分前にヒルダが出勤してきた。

「あ、おはよう。ヒルダちゃん。」

受付で本日受診に訪れて来る患者のカルテを用意していたリンダが挨拶を返してきた。

「それでは着替えてきますね。」

ヒルダは杖をつきながら受付の前を通り、奥にあるロッカールームへと向かった。

「ヒルダ、おはよう。」

診察室のドアが開き、中にいたアレンが顔を覗かせて来た。

「おはようございます。アレン先生。」

アレンはヒルダの左足を見ると尋ねてきた。

「どうだ?今日の足の具合は?」

「そうですね。冷え込みが今朝はそれほど酷くなかったので痺れはありません。」

「そうか、でも一応昼休みは温シップとマッサージはやったほうがいいだろう。」

「はい、分かりました。では着替えてきますね。」

ヒルダは頭を下げ、次に診察室の隣にある処置室を覗いてみた。そこにはガーゼを均等にはさみで切っている看護師のレイチェルの姿があった。

「おはようございます、レイチェルさん。」

ヒルダが声を掛けるとレイチェルは顔を上げた。

「あ、おはようヒルダ。今日はよろしくね?」

「はい、すぐに着替えてきますね。」

ヒルダは返事をすると、隣にあるロッカールームへと入って行った。ロッカーを開けて脱いだ上着をハンガーにかけ、そのかわりに真っ白なエプロンを身に着ける。荷物をロッカーに入れると、ロッカールームに置いてある箒と塵取りを持って待合室の掃除に向かった・・・。

 午前の診察はかなり忙しかった。
本日はあまり寒くなかったと言う事と、週末が重なり午前の診療はかなり忙しかった。ヒルダは時には受付でリンダの手伝いをしたり、処置室でレイチェルの手伝いをしたりと一生懸命働いた―。



昼休み―


診療所の中にある従業員専用の小部屋でテーブルに向かって座るヒルダ達の姿があった。テーブルにはそれぞれのお弁当が広げられている。

「ふ~・・・今日は朝から忙しかったわね・・・。」

受付のリンダが伸びをしながら言った。

「ああ、確かに忙しかったな。」

アレンは頷くと、ヒルダに声を掛けた。

「ヒルダ、今日は殆ど立ちっぱなしになってしまったが・・足の痺れはどうだ?」

「今のところ大丈夫です。」

お弁当のロールサンドを食べていたヒルダは返事をした。

「そうか、でも食事が終わった後はマッサージをした方がいいだろう。」

「はい、分かりました。」

そんな2人の様子を見ながらレイチェルが声を掛けて来た。

「早いものでもう12月ね。ところでクリスマスだけど・・ヒルダはどうするの?」


「え?私ですか?」

「ええ、そう。」

リンダも会話に加わって来た。

「そうですね・・・・。」

ヒルダは少し考えこんだ。

(あ、そう言えば・・。確かその夜はフランシスのご両親のレストランに呼ばれていたんだわ。)

「夜なら予定がありますけど?」

「え?!」

アレンは自分でも驚くほどに大きな声をあげてしまった。3人の目が一斉にアレンを見る。

(し、しまった・・・興味ないふりをしていたのに・・!)

焦ったアレンは咳ばらいをすると言った。

「そうなのか、素敵な夜になるといいな。」

本当はその日の夜はどんなふうに過ごすのかと問い詰めたい気持ちで山々だったが、アレンは自分の気持ちを治めるように言うと、バゲットのサンドイッチにかぶりついた。そんなアレンの様子にリンダが気を利かせてヒルダに尋ねてきた。

「ねえ、ヒルダちゃん。その夜はどんなふうにして過ごすのかしら?」

「はい、実は友人のご両親が港の近くでレストランを経営しているんです。その日の夜はそこでクリスマスパーティーを開くそうで、私と姉も招待されたんです。」

「まあ・・・いいわね!うらやましいわ~・・・私はその日は朝から家族の為にクリスマス料理を作らないといけないから大変だわ・・・。」

肩をすくめながらレイチェルは言う。

「私もそうよ、子供達から出来立てのジンジャークッキーも作ってとせがまれてるんだから・・・。それで?アレン先生はどうやって過ごすのかしら?」

「う・・・。」

今度はアレンが全員から注目を浴びる番となるのだった―。





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