275 / 566
第1章 5 ルドルフとマドレーヌ
しおりを挟む
そこに立っていたのは紙袋を抱えたマドレーヌだった。
「あ・・マドレーヌ・・・。」
「ええ。どうしたの?こんなところに立って・・あ、そうか~・・うん、なるほどね。ここはヒルダのアパートメントの前だものね?ヒルダに会いに来たのね?ひょっとして留守で会えなかったの?」
重そうな紙袋を抱え直しながらマドレーヌは一方的に話し始めた。
「う、うん・・。そうなんだ・・・。けど・・。」
(まさかヒルダ様の親友の彼女に会うなんて・・。)
ひょっとするとこのアパートメントの前で右往左往している姿を見られたのではないだろうか?ルドルフはその事を考えると顔が赤面しそうになった。
「それで?ヒルダには会えたの?」
「いや・・実は・・訪ねなくて・・・。」
「え?ここまで来て?」
マドレーヌは驚いた顔を見せた。
「あ、ああ・・。」
ルドルフはバツが悪そうに頷く。
「それなら私が一緒について行ってあげるわよ。」
マドレーヌは本当はヒルダとルドルフが両思いなのを知っていた。
(2人がうまくいくように協力してあげなくちゃ。)
「え?!そ、そんな・・・いいよ。」
ルドルフは焦った。マドレーヌと一緒に訪ねる方が恥ずかしいと思ったのだ。なのにマドレーヌはルドルフにお構いなしに、アパートメントの中に入って行った。
慌てて後を追うルドルフが目にした光景は彼女がもうドアノッカーを握り締め、ノックする姿だった。
コンコン
マドレーヌはドアをノックした。
「マ、マドレーヌッ!」
ルドルフが止めた時は既に手遅れだった。
「ど、どうしてノックなんかっ?!」
「あら?だってヒルダに会いに来たのでしょう?それに・・。」
マドレーヌはルドルフが手に持っている紙バックをチラリと見ると言った。
「その中身・・ヒルダへのお土産なんじゃないの?」
「・・・。」
ルドルフは黙って頷く。
「だったら会えばいいじゃないの。・・・でも出てこないわね・・・声も聞こえないし・・・。」
さらにもう一度マドレーヌはノックをしたが、やはり返答は無い。
「・・留守なのかしらね?」
マドレーヌはルドルフを振り返りながら言った。
「う、うん・・・。」
ルドルフは曖昧に頷く。
(良かった・・・ヒルダ様が留守で・・・。でも一体どこへ行ったのだろう・・・。)
ヒルダが不在だったことはルドルフにとっては助かったが、今度はヒルダがいないことに少しだけ不安を感じた。
「何処に行ったのかしら・・?買い物かしら?」
マドレーヌは首を傾げながらルドルフを見た。
「さ、さあ・・僕には分からないよ。いないみたいだし・・・行こう。」
「そうね。」
ルドルフに促され、マドレーヌは返事をした。2人でアパートメントを出るとルドルフは尋ねた。
「何処へ行くつもりだったの?紙袋を抱えて。」
「家に帰るだけよ。買い物をしてきたんだもの。」
「そう、なら家まで持ってあげるよ。すごく重そうだから。」
ルドルフの提案にマドレーヌは少しだけ迷った。持ってもらうのは悪い気がしたからだ。けれども好奇心旺盛な彼女はどうしても2人の関係を知りたかった。
(歩きながら話が聞けそうね・・・。)
「ええ。それじゃ持ってくれる?」
マドレーヌは紙袋をルドルフに手渡しながら笑みを浮かべた。
「うん、いいよ。」
ルドルフは紙袋を受け取ると、2人は並んで歩きだした。
「マドレーヌはこの辺に住んでいるの?」
「ええ。私の家はね、ここメインストリートに並んだ洋菓子店を経営してるの。」
「そうなんだ。だからマドレーヌって名前が付いたんだね。」
「フフ・・・・ヒルダと同じことを聞くのね?」
「え?あ・・そう?」
「ねえねえ・・・2人は同じ町の出身でしょう?どんな関係だったの?」
マドレーヌは突っ込んだ話をしてくる。
「そ、それは・・・・僕の父が彼女の父親の執事をしているから・・。それだけの関係だよ。」
ルドルフはヒルダの過去をあまり話したくは無かったので。曖昧に言った―。
「あ・・マドレーヌ・・・。」
「ええ。どうしたの?こんなところに立って・・あ、そうか~・・うん、なるほどね。ここはヒルダのアパートメントの前だものね?ヒルダに会いに来たのね?ひょっとして留守で会えなかったの?」
重そうな紙袋を抱え直しながらマドレーヌは一方的に話し始めた。
「う、うん・・。そうなんだ・・・。けど・・。」
(まさかヒルダ様の親友の彼女に会うなんて・・。)
ひょっとするとこのアパートメントの前で右往左往している姿を見られたのではないだろうか?ルドルフはその事を考えると顔が赤面しそうになった。
「それで?ヒルダには会えたの?」
「いや・・実は・・訪ねなくて・・・。」
「え?ここまで来て?」
マドレーヌは驚いた顔を見せた。
「あ、ああ・・。」
ルドルフはバツが悪そうに頷く。
「それなら私が一緒について行ってあげるわよ。」
マドレーヌは本当はヒルダとルドルフが両思いなのを知っていた。
(2人がうまくいくように協力してあげなくちゃ。)
「え?!そ、そんな・・・いいよ。」
ルドルフは焦った。マドレーヌと一緒に訪ねる方が恥ずかしいと思ったのだ。なのにマドレーヌはルドルフにお構いなしに、アパートメントの中に入って行った。
慌てて後を追うルドルフが目にした光景は彼女がもうドアノッカーを握り締め、ノックする姿だった。
コンコン
マドレーヌはドアをノックした。
「マ、マドレーヌッ!」
ルドルフが止めた時は既に手遅れだった。
「ど、どうしてノックなんかっ?!」
「あら?だってヒルダに会いに来たのでしょう?それに・・。」
マドレーヌはルドルフが手に持っている紙バックをチラリと見ると言った。
「その中身・・ヒルダへのお土産なんじゃないの?」
「・・・。」
ルドルフは黙って頷く。
「だったら会えばいいじゃないの。・・・でも出てこないわね・・・声も聞こえないし・・・。」
さらにもう一度マドレーヌはノックをしたが、やはり返答は無い。
「・・留守なのかしらね?」
マドレーヌはルドルフを振り返りながら言った。
「う、うん・・・。」
ルドルフは曖昧に頷く。
(良かった・・・ヒルダ様が留守で・・・。でも一体どこへ行ったのだろう・・・。)
ヒルダが不在だったことはルドルフにとっては助かったが、今度はヒルダがいないことに少しだけ不安を感じた。
「何処に行ったのかしら・・?買い物かしら?」
マドレーヌは首を傾げながらルドルフを見た。
「さ、さあ・・僕には分からないよ。いないみたいだし・・・行こう。」
「そうね。」
ルドルフに促され、マドレーヌは返事をした。2人でアパートメントを出るとルドルフは尋ねた。
「何処へ行くつもりだったの?紙袋を抱えて。」
「家に帰るだけよ。買い物をしてきたんだもの。」
「そう、なら家まで持ってあげるよ。すごく重そうだから。」
ルドルフの提案にマドレーヌは少しだけ迷った。持ってもらうのは悪い気がしたからだ。けれども好奇心旺盛な彼女はどうしても2人の関係を知りたかった。
(歩きながら話が聞けそうね・・・。)
「ええ。それじゃ持ってくれる?」
マドレーヌは紙袋をルドルフに手渡しながら笑みを浮かべた。
「うん、いいよ。」
ルドルフは紙袋を受け取ると、2人は並んで歩きだした。
「マドレーヌはこの辺に住んでいるの?」
「ええ。私の家はね、ここメインストリートに並んだ洋菓子店を経営してるの。」
「そうなんだ。だからマドレーヌって名前が付いたんだね。」
「フフ・・・・ヒルダと同じことを聞くのね?」
「え?あ・・そう?」
「ねえねえ・・・2人は同じ町の出身でしょう?どんな関係だったの?」
マドレーヌは突っ込んだ話をしてくる。
「そ、それは・・・・僕の父が彼女の父親の執事をしているから・・。それだけの関係だよ。」
ルドルフはヒルダの過去をあまり話したくは無かったので。曖昧に言った―。
1
あなたにおすすめの小説
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる