嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第1章 5 ルドルフとマドレーヌ

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 そこに立っていたのは紙袋を抱えたマドレーヌだった。

「あ・・マドレーヌ・・・。」

「ええ。どうしたの?こんなところに立って・・あ、そうか~・・うん、なるほどね。ここはヒルダのアパートメントの前だものね?ヒルダに会いに来たのね?ひょっとして留守で会えなかったの?」

重そうな紙袋を抱え直しながらマドレーヌは一方的に話し始めた。

「う、うん・・。そうなんだ・・・。けど・・。」

(まさかヒルダ様の親友の彼女に会うなんて・・。)

ひょっとするとこのアパートメントの前で右往左往している姿を見られたのではないだろうか?ルドルフはその事を考えると顔が赤面しそうになった。

「それで?ヒルダには会えたの?」

「いや・・実は・・訪ねなくて・・・。」

「え?ここまで来て?」

マドレーヌは驚いた顔を見せた。

「あ、ああ・・。」

ルドルフはバツが悪そうに頷く。

「それなら私が一緒について行ってあげるわよ。」

マドレーヌは本当はヒルダとルドルフが両思いなのを知っていた。

(2人がうまくいくように協力してあげなくちゃ。)

「え?!そ、そんな・・・いいよ。」

ルドルフは焦った。マドレーヌと一緒に訪ねる方が恥ずかしいと思ったのだ。なのにマドレーヌはルドルフにお構いなしに、アパートメントの中に入って行った。
慌てて後を追うルドルフが目にした光景は彼女がもうドアノッカーを握り締め、ノックする姿だった。

コンコン

マドレーヌはドアをノックした。

「マ、マドレーヌッ!」

ルドルフが止めた時は既に手遅れだった。

「ど、どうしてノックなんかっ?!」

「あら?だってヒルダに会いに来たのでしょう?それに・・。」

マドレーヌはルドルフが手に持っている紙バックをチラリと見ると言った。

「その中身・・ヒルダへのお土産なんじゃないの?」

「・・・。」

ルドルフは黙って頷く。

「だったら会えばいいじゃないの。・・・でも出てこないわね・・・声も聞こえないし・・・。」

さらにもう一度マドレーヌはノックをしたが、やはり返答は無い。

「・・留守なのかしらね?」

マドレーヌはルドルフを振り返りながら言った。

「う、うん・・・。」

ルドルフは曖昧に頷く。

(良かった・・・ヒルダ様が留守で・・・。でも一体どこへ行ったのだろう・・・。)

ヒルダが不在だったことはルドルフにとっては助かったが、今度はヒルダがいないことに少しだけ不安を感じた。

「何処に行ったのかしら・・?買い物かしら?」

マドレーヌは首を傾げながらルドルフを見た。

「さ、さあ・・僕には分からないよ。いないみたいだし・・・行こう。」

「そうね。」

ルドルフに促され、マドレーヌは返事をした。2人でアパートメントを出るとルドルフは尋ねた。

「何処へ行くつもりだったの?紙袋を抱えて。」

「家に帰るだけよ。買い物をしてきたんだもの。」

「そう、なら家まで持ってあげるよ。すごく重そうだから。」

ルドルフの提案にマドレーヌは少しだけ迷った。持ってもらうのは悪い気がしたからだ。けれども好奇心旺盛な彼女はどうしても2人の関係を知りたかった。

(歩きながら話が聞けそうね・・・。)

「ええ。それじゃ持ってくれる?」

マドレーヌは紙袋をルドルフに手渡しながら笑みを浮かべた。

「うん、いいよ。」

ルドルフは紙袋を受け取ると、2人は並んで歩きだした。

「マドレーヌはこの辺に住んでいるの?」

「ええ。私の家はね、ここメインストリートに並んだ洋菓子店を経営してるの。」

「そうなんだ。だからマドレーヌって名前が付いたんだね。」

「フフ・・・・ヒルダと同じことを聞くのね?」

「え?あ・・そう?」

「ねえねえ・・・2人は同じ町の出身でしょう?どんな関係だったの?」

マドレーヌは突っ込んだ話をしてくる。

「そ、それは・・・・僕の父が彼女の父親の執事をしているから・・。それだけの関係だよ。」

ルドルフはヒルダの過去をあまり話したくは無かったので。曖昧に言った―。

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