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第4章 11 降り立った2人
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ルドルフとクロード警部補を乗せた汽車が『カウベリー』駅に到着したのは12時を少し超えていた時間だった。カウベリーは最近続いている寒波の影響でとても寒かった。
「やはり冬のカウベリーは寒いね」
白い息を吐きながらホームに降り立ったクロード警部補は言った。
「はい、そうですね」
ルドルフも白い息を吐きながら返事をする。
「ルドルフ君。とりあえずどこかでお昼にしないか?この駅の周辺でどこか食堂はあるかな?とりあえずここは冷える。まずは改札口へ向かおう」
ルドルフはうなずくと、2人は駅の改札を目指してホームを歩き始めた。ホームに人影は全く無く、歩いているのはルドルフとクロード警部補の2人きりだった。
歩きながらクロード警部補の質問にルドルフは少し考えた。
「そうですね…。確か駅前に小さな喫茶店があるのですけど、食事が出来るかどうか分からなくて。それよりも刑事さん、僕の家に行きませんか?母さんには今日家に帰ると伝えてあるんです。きっと何か食事を用意してくれているはずです」
「い、いや。それではルドルフくんのお母さんに迷惑をかけることになってしまうよ」
しかしルドルフは言った。
「大丈夫ですよ。それに刑事さんは僕の恩人です。だってコリンがオルゴール工房で働けるようになったのは他でもない、刑事さんのお陰です。刑事さんが紹介してくれたからコリンはオルゴール職人の道を目指せるようになったのですよ?」
「いや、それはたまたま私の知り合いがオルゴール工房を経営していたからさ。彼も人手不足で悩んでいたからね。コリンくんを褒めていたよ。あんな酷い労働環境で2年も働いていたなんて根性があるって。」
「そうですか、でもやっぱり僕は刑事さんに感謝の気持ちで一杯です。だからどうか僕の家に来て下さい。これから家に電話を入れてみますから」
「ああ…すまないね」
クロード警部補の言葉にルドルフは笑みを見せると駅の改札を抜けて、正面口に置かれた公衆電話へ向かった。
公衆電話の前にやってきたルドルフは早速受話器を上げて、銀貨を1枚投入するとダイヤルを回し始めた。
ジー
ジー
そしてダイヤルを回し終えたると受話器を耳に押し当て、応答を待った。
何回目かのコール音の後、電話口応答があった。
『はい、テイラーでございます』
それはルドルフの母であった。
「もしもし、母さん?僕よ。ルドルフだよ」
『まあ、ルドルフかい?駅に着いたんだね?』
嬉しそうな母の声が受話器越しから聞こえてくる。
「うん、刑事さんも一緒だよ。」
『刑事さんて…この間家にやってきたあの刑事さんかい?』
「うん、これから刑事さんと家に帰るけど何かお昼ごはんを用意しておいてもらえないかな?」
『ああ、分かったよ。多分家でお昼を食べるだろうと思って準備はしておいたからね。だから1人増えようと同じだよ』
「ありがとう、母さん。それじゃまたね」」
ルドルフはそれだけ伝えると、電話を切ってクロード警部補の元へ向かった。
「刑事さん!」
「ああ、ルドルフ君。電話は終わったのかい?」
ちょうどタバコを吸っていたクロード警部補は携帯用灰皿にタバコを押し付けて火を消すと尋ねた。
「ええ。母さんの方は大丈夫でした。では早速駅前で辻馬車を拾って僕の家へ向かいましょう」
「そうだな。それではお言葉に甘えて少しお世話になろうか」
クロード警部補はベンチに置いたボストンバックを持った。
そして2人は人気の無い駅を出て、辻馬車の乗り場へと足を向けた―。
「やはり冬のカウベリーは寒いね」
白い息を吐きながらホームに降り立ったクロード警部補は言った。
「はい、そうですね」
ルドルフも白い息を吐きながら返事をする。
「ルドルフ君。とりあえずどこかでお昼にしないか?この駅の周辺でどこか食堂はあるかな?とりあえずここは冷える。まずは改札口へ向かおう」
ルドルフはうなずくと、2人は駅の改札を目指してホームを歩き始めた。ホームに人影は全く無く、歩いているのはルドルフとクロード警部補の2人きりだった。
歩きながらクロード警部補の質問にルドルフは少し考えた。
「そうですね…。確か駅前に小さな喫茶店があるのですけど、食事が出来るかどうか分からなくて。それよりも刑事さん、僕の家に行きませんか?母さんには今日家に帰ると伝えてあるんです。きっと何か食事を用意してくれているはずです」
「い、いや。それではルドルフくんのお母さんに迷惑をかけることになってしまうよ」
しかしルドルフは言った。
「大丈夫ですよ。それに刑事さんは僕の恩人です。だってコリンがオルゴール工房で働けるようになったのは他でもない、刑事さんのお陰です。刑事さんが紹介してくれたからコリンはオルゴール職人の道を目指せるようになったのですよ?」
「いや、それはたまたま私の知り合いがオルゴール工房を経営していたからさ。彼も人手不足で悩んでいたからね。コリンくんを褒めていたよ。あんな酷い労働環境で2年も働いていたなんて根性があるって。」
「そうですか、でもやっぱり僕は刑事さんに感謝の気持ちで一杯です。だからどうか僕の家に来て下さい。これから家に電話を入れてみますから」
「ああ…すまないね」
クロード警部補の言葉にルドルフは笑みを見せると駅の改札を抜けて、正面口に置かれた公衆電話へ向かった。
公衆電話の前にやってきたルドルフは早速受話器を上げて、銀貨を1枚投入するとダイヤルを回し始めた。
ジー
ジー
そしてダイヤルを回し終えたると受話器を耳に押し当て、応答を待った。
何回目かのコール音の後、電話口応答があった。
『はい、テイラーでございます』
それはルドルフの母であった。
「もしもし、母さん?僕よ。ルドルフだよ」
『まあ、ルドルフかい?駅に着いたんだね?』
嬉しそうな母の声が受話器越しから聞こえてくる。
「うん、刑事さんも一緒だよ。」
『刑事さんて…この間家にやってきたあの刑事さんかい?』
「うん、これから刑事さんと家に帰るけど何かお昼ごはんを用意しておいてもらえないかな?」
『ああ、分かったよ。多分家でお昼を食べるだろうと思って準備はしておいたからね。だから1人増えようと同じだよ』
「ありがとう、母さん。それじゃまたね」」
ルドルフはそれだけ伝えると、電話を切ってクロード警部補の元へ向かった。
「刑事さん!」
「ああ、ルドルフ君。電話は終わったのかい?」
ちょうどタバコを吸っていたクロード警部補は携帯用灰皿にタバコを押し付けて火を消すと尋ねた。
「ええ。母さんの方は大丈夫でした。では早速駅前で辻馬車を拾って僕の家へ向かいましょう」
「そうだな。それではお言葉に甘えて少しお世話になろうか」
クロード警部補はベンチに置いたボストンバックを持った。
そして2人は人気の無い駅を出て、辻馬車の乗り場へと足を向けた―。
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