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第1章 2 ヒルダのパートナー
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「オルゴール…」
ヒルダはポツリと呟き、『ボルト』の町へルドルフと2人きりで旅行した日の事を思い出してしまった。それだけで再びヒルダの胸に熱いものが込み上げてくる。
(ルドルフ…ッ!貴方はもうとっくにいないのに…今でも貴方と交わした言葉の一言一句…全て思い出されるわ…)
優しい声と優しい笑顔。少し照れながら抱きしめてくれたルドルフ。そして2人で交わした甘いキス…。
「どんな音色なのでしょうね」
カミラの言葉でヒルダは一気に現実へと引き戻された。
「そ、そうね。それじゃ回してみるわ」
ヒルダはオルゴールを取り出すと、そっとハンドルを回し始めた。すると優しい音色が流れ始めた。
「あ…」
「これは…」
ヒルダとカミラが声を上げた。その流れ出てきたメロディーは『カウベリー』出身の者であれば誰でも知っている民謡だった。
「コリンさん…」
「コリンさんは…ひょっとすると『カウベリー』へ帰りたいのでしょうか?」
カミラはポツリと呟いた。
「どうなのかしら…もうご両親も『ボルト』の町に住んでいるし、それに…ノラさんも、もうこの世にはいないし…」
ヒルダはノラの事を思い出した。
ルドルフと2人で『ボルト』の町に住むノラを探し出し、結核患者を隔離する施設で見つけたノラ。ルドルフと2人でノラが入院できる病院を探し、何とか結核患者の治療を行う病院に入院させることが出来たのだが…。
全ては遅すぎた。結核菌はノラの全身を蝕んでおり、ノラは年を越す事なく、大晦日の夜に亡くなった。しかし、その顔は穏やかなものだったと後にヒルダは遺体の身元引受人となったクロード警部補に聞かされたのだ。そして、ノラの遺骨はもうすでに
『カウベリー』の墓に埋葬されている。そこには同じく結核で先に命を落としていたノラの両親も眠っている墓である。
結局…グレースと関わり、最後まで生き残ったのはコリンとヒルダの2人だけとなってしまったのだ。
コトン
ヒルダはオルゴールをテーブルの上に置くと言った。
「このオルゴール…ルドルフの写真立ての隣に飾っておくことにするわ」
そして悲し気に笑みを浮かべた―。
17時半―
ヒルダは足首までのロング丈のフリルドレスを着ていた。紺色の落ち着いた色合いのパーティードレスは色白なヒルダに良く映えている。あの日…恋人のルドルフを失ってからのヒルダはまるで毎日喪に服しているかの如く、明るい色合いの服を着る事は無くなった。紺色や黒、ワインレッドやダークな色合いの服ばかりを着て過ごしていた。そして卒業パーティーで着るドレスもまたそうであった。
「どうかしら?カミラ?」
大人っぽく髪をアップにし、普段したことも無い化粧をしたヒルダはもう少女の面影はすっかり消え、今では立派な1人の大人の女性に成長していた。
「とても良くお似合いですよ。ヒルダ様」
「ありがとう、。そろそろマドレーヌが来る頃ね」
ヒルダは壁に掛けてある時計を見ながら口にした時―。
コンコン
扉がノックされる音が聞こえた。
「きっとマドレーヌだわ。私が出るから大丈夫よ」
ヒルダはパーティーバックを肩に掛け、短いヒールを履いた足を引きずるように玄関へと向かった。
ガチャ…
ヒルダは扉を開け、目を見開いた。そこに立っていたのはマドレーヌでは無く、普段見慣れない紺色の燕尾服に身を包んだアレンだったからだ。
「まあ…アレン先生!何故ここに?それにその恰好は…?」
「勿論ヒルダ、お前を迎えに来たに決まっているだろう?今夜のお前のパートナーは俺だからな」
アレンはヒルダに手を差し伸べ、笑みを浮かべた―。
ヒルダはポツリと呟き、『ボルト』の町へルドルフと2人きりで旅行した日の事を思い出してしまった。それだけで再びヒルダの胸に熱いものが込み上げてくる。
(ルドルフ…ッ!貴方はもうとっくにいないのに…今でも貴方と交わした言葉の一言一句…全て思い出されるわ…)
優しい声と優しい笑顔。少し照れながら抱きしめてくれたルドルフ。そして2人で交わした甘いキス…。
「どんな音色なのでしょうね」
カミラの言葉でヒルダは一気に現実へと引き戻された。
「そ、そうね。それじゃ回してみるわ」
ヒルダはオルゴールを取り出すと、そっとハンドルを回し始めた。すると優しい音色が流れ始めた。
「あ…」
「これは…」
ヒルダとカミラが声を上げた。その流れ出てきたメロディーは『カウベリー』出身の者であれば誰でも知っている民謡だった。
「コリンさん…」
「コリンさんは…ひょっとすると『カウベリー』へ帰りたいのでしょうか?」
カミラはポツリと呟いた。
「どうなのかしら…もうご両親も『ボルト』の町に住んでいるし、それに…ノラさんも、もうこの世にはいないし…」
ヒルダはノラの事を思い出した。
ルドルフと2人で『ボルト』の町に住むノラを探し出し、結核患者を隔離する施設で見つけたノラ。ルドルフと2人でノラが入院できる病院を探し、何とか結核患者の治療を行う病院に入院させることが出来たのだが…。
全ては遅すぎた。結核菌はノラの全身を蝕んでおり、ノラは年を越す事なく、大晦日の夜に亡くなった。しかし、その顔は穏やかなものだったと後にヒルダは遺体の身元引受人となったクロード警部補に聞かされたのだ。そして、ノラの遺骨はもうすでに
『カウベリー』の墓に埋葬されている。そこには同じく結核で先に命を落としていたノラの両親も眠っている墓である。
結局…グレースと関わり、最後まで生き残ったのはコリンとヒルダの2人だけとなってしまったのだ。
コトン
ヒルダはオルゴールをテーブルの上に置くと言った。
「このオルゴール…ルドルフの写真立ての隣に飾っておくことにするわ」
そして悲し気に笑みを浮かべた―。
17時半―
ヒルダは足首までのロング丈のフリルドレスを着ていた。紺色の落ち着いた色合いのパーティードレスは色白なヒルダに良く映えている。あの日…恋人のルドルフを失ってからのヒルダはまるで毎日喪に服しているかの如く、明るい色合いの服を着る事は無くなった。紺色や黒、ワインレッドやダークな色合いの服ばかりを着て過ごしていた。そして卒業パーティーで着るドレスもまたそうであった。
「どうかしら?カミラ?」
大人っぽく髪をアップにし、普段したことも無い化粧をしたヒルダはもう少女の面影はすっかり消え、今では立派な1人の大人の女性に成長していた。
「とても良くお似合いですよ。ヒルダ様」
「ありがとう、。そろそろマドレーヌが来る頃ね」
ヒルダは壁に掛けてある時計を見ながら口にした時―。
コンコン
扉がノックされる音が聞こえた。
「きっとマドレーヌだわ。私が出るから大丈夫よ」
ヒルダはパーティーバックを肩に掛け、短いヒールを履いた足を引きずるように玄関へと向かった。
ガチャ…
ヒルダは扉を開け、目を見開いた。そこに立っていたのはマドレーヌでは無く、普段見慣れない紺色の燕尾服に身を包んだアレンだったからだ。
「まあ…アレン先生!何故ここに?それにその恰好は…?」
「勿論ヒルダ、お前を迎えに来たに決まっているだろう?今夜のお前のパートナーは俺だからな」
アレンはヒルダに手を差し伸べ、笑みを浮かべた―。
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