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第3章 1 新生活の始まり
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季節は9月に入り、今日からヒルダの大学生活が始まる。
「ヒルダ様、今日からいよいよ大学生活が始まりますね」
カミラが出かける準備をしているヒルダに声を掛けた。
「ええ、高校生の時とはまた違う生活が始まると思うと今からドキドキするわ」
ヒルダは髪を整えると言った。今までは背中まであった長い髪を肩先までバッサリ切ったヒルダがカミラを振り向くと言った。
「ヒルダ様。その髪型、素敵ですよ」
「ありがとう。短くなった分、手入れが楽になって良かったわ。何しろ大学は汽車に乗って通わなければならないから」
「ヒルダ様‥」
ヒルダは父とのわだかまりが解け、学費も生活費も全額ハリスが援助してくれる事が決定している。ヒルダが通う大学に住み心地の良い寮が完備され、寮とはいえど中々高額な寮費がかかるので、お金に余裕のある裕福な学生だけが入寮出来る。ヒルダは寮に入ろうと思えばいつでも入れるだけの余裕はあったのだが、アパートメントから大学に通うことを選択したのだ。
(ヒルダ様は…きっと私の為に寮に入ることをやめたのだわ)
カミラはそう考えていた。
ヒルダとカミラがこのロータスに一緒に暮らすようになってから4年近くが経過していた。いつしかヒルダとの生活はカミラにとってかけがえのないものとなっていた。
カミラは今年22歳になるが、結婚の予定も無いし、恋人もいない。出来ればずっとヒルダと2人の生活を続けたい…そう思っているくらいだった。
(だけど…ヒルダ様はまたいずれ誰かと恋をして…今度こそ結婚するかもしれないわ。そうしたら私は…)
「どうしたの?カミラ?」
不意にヒルダに声を掛けられてカミラは我に返った。
「い、いえ。少し考え事をしていただけです」
「考え事?」
「ええ、ヒルダ様の大学生活はどんなものになるのかと…」
「そうね。少し私も不安だけど…4年間しっかり勉強するわ。…お兄様とも以前に約束したから…」
「ヒルダ様…」
エドガーからの便りはピタリと終わってしまった。時折母から届く便りによると夫婦仲はまずまず良好だろうとの事だった。
「あ、そろそろバスが来る時間だわ。それじゃ行ってくるわね」
ヒルダはリュックを背負うと笑顔でカミラに手を振った。
「はい、行ってらっしゃいませ。ヒルダ様」
ヒルダは玄関に出るとシューズボックスの上に飾られたルドルフの写真に向かって声を掛けた。
「行ってきます。ルドルフ」
そして扉を開けて杖を持つとアパートメントを後にした。
ヒルダのアパートメントの真ん前には『ロータス』駅行きのバスが出ている。このバスに乗れば10分で駅に到着する。そして汽車で30分かけて『クレイブ』という駅で降りる。ここにヒルダの通う大学があるのだ。大学は駅から徒歩で5分とかからない場所にあるので通学はさほど苦では無い。
ヒルダが通う大学は名門大学として有名で、多くの学者や著名人を排出している。そしてヒルダは文学部を選択した。ヒルダには夢があったのだ。それは絵本作家になるという夢だった。
(絵本作家になって…一生1人で行きていけるように自立できれば…)
バス停でバスを待ちながらヒルダはこれから始まる新しい大学生活に思いを馳せるのだった―。
「ヒルダ様、今日からいよいよ大学生活が始まりますね」
カミラが出かける準備をしているヒルダに声を掛けた。
「ええ、高校生の時とはまた違う生活が始まると思うと今からドキドキするわ」
ヒルダは髪を整えると言った。今までは背中まであった長い髪を肩先までバッサリ切ったヒルダがカミラを振り向くと言った。
「ヒルダ様。その髪型、素敵ですよ」
「ありがとう。短くなった分、手入れが楽になって良かったわ。何しろ大学は汽車に乗って通わなければならないから」
「ヒルダ様‥」
ヒルダは父とのわだかまりが解け、学費も生活費も全額ハリスが援助してくれる事が決定している。ヒルダが通う大学に住み心地の良い寮が完備され、寮とはいえど中々高額な寮費がかかるので、お金に余裕のある裕福な学生だけが入寮出来る。ヒルダは寮に入ろうと思えばいつでも入れるだけの余裕はあったのだが、アパートメントから大学に通うことを選択したのだ。
(ヒルダ様は…きっと私の為に寮に入ることをやめたのだわ)
カミラはそう考えていた。
ヒルダとカミラがこのロータスに一緒に暮らすようになってから4年近くが経過していた。いつしかヒルダとの生活はカミラにとってかけがえのないものとなっていた。
カミラは今年22歳になるが、結婚の予定も無いし、恋人もいない。出来ればずっとヒルダと2人の生活を続けたい…そう思っているくらいだった。
(だけど…ヒルダ様はまたいずれ誰かと恋をして…今度こそ結婚するかもしれないわ。そうしたら私は…)
「どうしたの?カミラ?」
不意にヒルダに声を掛けられてカミラは我に返った。
「い、いえ。少し考え事をしていただけです」
「考え事?」
「ええ、ヒルダ様の大学生活はどんなものになるのかと…」
「そうね。少し私も不安だけど…4年間しっかり勉強するわ。…お兄様とも以前に約束したから…」
「ヒルダ様…」
エドガーからの便りはピタリと終わってしまった。時折母から届く便りによると夫婦仲はまずまず良好だろうとの事だった。
「あ、そろそろバスが来る時間だわ。それじゃ行ってくるわね」
ヒルダはリュックを背負うと笑顔でカミラに手を振った。
「はい、行ってらっしゃいませ。ヒルダ様」
ヒルダは玄関に出るとシューズボックスの上に飾られたルドルフの写真に向かって声を掛けた。
「行ってきます。ルドルフ」
そして扉を開けて杖を持つとアパートメントを後にした。
ヒルダのアパートメントの真ん前には『ロータス』駅行きのバスが出ている。このバスに乗れば10分で駅に到着する。そして汽車で30分かけて『クレイブ』という駅で降りる。ここにヒルダの通う大学があるのだ。大学は駅から徒歩で5分とかからない場所にあるので通学はさほど苦では無い。
ヒルダが通う大学は名門大学として有名で、多くの学者や著名人を排出している。そしてヒルダは文学部を選択した。ヒルダには夢があったのだ。それは絵本作家になるという夢だった。
(絵本作家になって…一生1人で行きていけるように自立できれば…)
バス停でバスを待ちながらヒルダはこれから始まる新しい大学生活に思いを馳せるのだった―。
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