嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第3章 5 よく似た青年

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「え?」

ヒルダが袖を掴んだ男性はエドガーによく似た青年だった。金色に輝く髪に青い瞳…けれど…

(違う…遠目からはそっくりに見えたけど‥この方はお兄様では無いわ…)

一方、袖を掴まれた青年は困ったような顔でヒルダを見た。

「え…と…君は誰かな?」

「あ、あの…私は…」

ヒルダが言いかけた時、青年の背後から赤毛の男性が現れた。

「おい、ノワール。誰だ?その子は…って…。えっ?!もの凄く可愛い子じゃないか!」

けれどヒルダの耳には赤毛の男性よりも、目の前に立つエドガーによく似た青年の方が気がかりだった。

(そう…この方は…ノワールと言う方なのね…。私ったら馬鹿ね。お兄様かと思って…。よく考えるとここにいるはずは無いのに…)

その時―。

「ねぇっ!どうしちゃったのっ?!突然…席を立ったかと思えば…この方はヒルダの知り合いなの?」

後から追い掛けて来たドロシーがノワールを見上げながら言った。

「…生憎、俺はこの子の事を知らないよ。今初めて会ったばかりだ。むしろ突然袖を掴まれて驚いてるよ。しかも俺の事を『お兄様』なんて言うし。大体俺には妹なんかいない。兄と弟ならいるけどな」

ノワールは迷惑そうな顔でヒルダを見る。

「申し訳ございませんでした…知っている方にとてもよく似ていらしたものですから…」

ヒルダは俯くと言った。

「あ~そんな事気にする必要は無いって。誰にだって勘違いってものはあるんだから。それにノワールとこの子…雰囲気が似てるじゃないか。金の髪に青い瞳…」

赤毛の青年は遠慮なしにジロジロとヒルダを見ながら言う。そんな露骨な男性の視線をドロシーは良しとしなかった。

「どうも申し訳ございませんでした。さ、それじゃ席に戻りましょう。ヒルダ」

ドロシーに手を引かれて席へ戻りかけた時、ノワールがポツリと呟いた。

「ヒルダ…?もしかして…ヒルダ・フィールズ…?」

「え…?」

ヒルダは足を止めてノワールを振り向いた。

「ど、どうして私の名前を…?」

するとノワールは笑みを浮かべてヒルダを見ると言った。

「俺の事を知りたいか?」

「は、はい」

ごくりと息を飲んでヒルダは頷く。

「そうか、なら俺と2人きりで話をしよう。」

「え?!」

ヒルダはあまりにも突然の提案に驚いた。

「おい、俺とそこの女の子はどうするんだよ」

「そうよ。大体私はヒルダと貴方が2人きりで話をする事を認めていないよ?」

赤毛の青年とドロシーがノワールに言う。

「そうか?でも…」

「ヒルダは俺と話がしたそうだけどな?」

「…」

ヒルダは黙ってノワールを見た。

(知りたい…この人の事を。何故私の名前を知っているのか…でも…)

ヒルダはチラリとドロシーを見た。ドロシーは男性を苦手に思っている。それに友達になったばかりなのだ。

「いえ…結構です。突然袖を掴んでしまい、申し訳ございませんでした」

ヒルダは頭を下げてノワールの元を去ろうとするとドロシーが言った。

「ちょ、ちょっとヒルダ。私の意見を尊重する事は無いのよ?本当はこの人と話がしたいんじゃないの?」

ドロシーはヒルダの肩に手を置くと言った。

「ううん、いいの。だって‥‥」

ヒルダが言いかけた時、背後にいたノワールが声を掛けて来た。

「俺の名はノワール・ハミルトン。エドガー・フィールズの実の兄だよ」

「え…?!」

ヒルダは驚いて振り向き…目を見開いてノワールを見た―。


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