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第7章 20 ノワールの回想 1
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食事が終わった後、ヒルダは無言で紅茶を飲んでいた…が、そのカップを持つ小さな手は小刻みに震えていた。
(ヒルダ…)
ヒルダの顔色はすっかり青ざめ、その表情は虚ろだった。その様子からノワールは思った。きっとヒルダはエドガーの事を愛していたのだろうと…。
「ヒルダ、食事も済んだことだし…気分転換に何処かへ行こう」
(今の状態のヒルダを1人にしておいては何をしでかすか分からないからな)
ノワールは本当にヒルダの事が心配でならなかったのだ。
「ですが…私…今は何をする気にも…」
ヒルダはポツリと言い…窓の外を見ようとした時、壁に貼られたポスターに気がついた。それは…ノワールと、そしてかつてルドルフと一緒に見に行こうとしていた宗教画の絵画展のポスターだったのだ。
「絵画展…」
ヒルダは無意識に口にしていた。そして、再び目に涙が浮かんでくる。
「どうしたんだ?ヒルダ」
ノワールは再び涙を浮かべたヒルダに驚き、戸惑いながら声を掛けた。
「す、すみません…。絵画展が…」
「絵画展?」
ノワールは壁に貼られた絵画展のポスターに気付くと尋ねた。
「絵画展がどうしたんだ?」
「じ、実は…宗教画の絵画展…ルドルフとも…お、お兄様とも一緒に見に行く約束をしていたのに…どちらとも…結局観に行くことが…出来なかったので…」
ヒルダは涙ながらに語った。
「何だって…?」
ノワールの眉が険しくなる。
「エドガーは…その事を知っているのか?」
「いいえ、知りません…お兄様にはそこまでのこと…話しませんでしたから…」
「そう…なのか…?」
「はい…」
力なく頷くヒルダにノワールは言った。
「なら…俺と一緒に観に行こう」
「え…?」
「よし、ヒルダ。これからすぐに絵画展に行くぞ」
ノワールは立ち上がり、コートを羽織ると未だにソファに座るヒルダの腕を掴んで立たせると言った。
「絵画展だろうと何だろうと…ヒルダが行きたい場所なら何処だって俺が連れて行ってやる」
「ノワール様…」
ヒルダはノワールを見つめた―。
****
ガラガラガラガラ…
絵画展が開催されている美術館へヒルダとノワールは馬車で向かっていた。ヒルダは黙ったまま馬車から窓の外を見つめている。その横顔からは…一切の表情を読み取ることが出来なかったが…とても美しい横顔だった。
「…」
その横顔を見つめながら、ノワールは初めてヒルダと出会った日のことを思い出していた。
実はエドガーとヒルダが初めて出会った時…ノワールもヒルダと出会っていたのだった―。
****
ノワールは7歳の時に弟のエドガーと一緒に父親に連れられてカウベリーのフィールズ伯爵家を訪れていた。4歳の誕生日を迎えたヒルダの誕生パーティーに参加するためであった。
「全く…僕はこんな所へ来たくなかったのに…しかも呼ばれている子どもたちは皆僕よりも年下じゃないか」
ノワールは子供の時から普通の子供達より何処か大人びていた。そして人と関わることが好きではなく、本を読むのが大好きな少年であった。
そこでノワールはパーティー会場を抜け出し、1人薔薇の庭が美しいガゼボで本を読んでいた。その本はノワールの最近のお気に入りで少年が船に乗って世界を巡る旅に出る話だった。
夢中になって本を読み続けている時、ふと声を掛けられた。
「ねぇ、ここで何してるの?」
普段のノワールなら聞こえないふりをして無視するところだったが、この時ばかりは違った。あまりにもその声が可愛らしく、誰が声を掛けて来たか気になったからだ。
そして顔を上げたノワールの目の前には…金色に光り輝く長い髪に、零れ落ちそうなほど大きな青い目のそれはとても愛らしい少女。
ヒルダが立っていたのだ―。
(ヒルダ…)
ヒルダの顔色はすっかり青ざめ、その表情は虚ろだった。その様子からノワールは思った。きっとヒルダはエドガーの事を愛していたのだろうと…。
「ヒルダ、食事も済んだことだし…気分転換に何処かへ行こう」
(今の状態のヒルダを1人にしておいては何をしでかすか分からないからな)
ノワールは本当にヒルダの事が心配でならなかったのだ。
「ですが…私…今は何をする気にも…」
ヒルダはポツリと言い…窓の外を見ようとした時、壁に貼られたポスターに気がついた。それは…ノワールと、そしてかつてルドルフと一緒に見に行こうとしていた宗教画の絵画展のポスターだったのだ。
「絵画展…」
ヒルダは無意識に口にしていた。そして、再び目に涙が浮かんでくる。
「どうしたんだ?ヒルダ」
ノワールは再び涙を浮かべたヒルダに驚き、戸惑いながら声を掛けた。
「す、すみません…。絵画展が…」
「絵画展?」
ノワールは壁に貼られた絵画展のポスターに気付くと尋ねた。
「絵画展がどうしたんだ?」
「じ、実は…宗教画の絵画展…ルドルフとも…お、お兄様とも一緒に見に行く約束をしていたのに…どちらとも…結局観に行くことが…出来なかったので…」
ヒルダは涙ながらに語った。
「何だって…?」
ノワールの眉が険しくなる。
「エドガーは…その事を知っているのか?」
「いいえ、知りません…お兄様にはそこまでのこと…話しませんでしたから…」
「そう…なのか…?」
「はい…」
力なく頷くヒルダにノワールは言った。
「なら…俺と一緒に観に行こう」
「え…?」
「よし、ヒルダ。これからすぐに絵画展に行くぞ」
ノワールは立ち上がり、コートを羽織ると未だにソファに座るヒルダの腕を掴んで立たせると言った。
「絵画展だろうと何だろうと…ヒルダが行きたい場所なら何処だって俺が連れて行ってやる」
「ノワール様…」
ヒルダはノワールを見つめた―。
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ガラガラガラガラ…
絵画展が開催されている美術館へヒルダとノワールは馬車で向かっていた。ヒルダは黙ったまま馬車から窓の外を見つめている。その横顔からは…一切の表情を読み取ることが出来なかったが…とても美しい横顔だった。
「…」
その横顔を見つめながら、ノワールは初めてヒルダと出会った日のことを思い出していた。
実はエドガーとヒルダが初めて出会った時…ノワールもヒルダと出会っていたのだった―。
****
ノワールは7歳の時に弟のエドガーと一緒に父親に連れられてカウベリーのフィールズ伯爵家を訪れていた。4歳の誕生日を迎えたヒルダの誕生パーティーに参加するためであった。
「全く…僕はこんな所へ来たくなかったのに…しかも呼ばれている子どもたちは皆僕よりも年下じゃないか」
ノワールは子供の時から普通の子供達より何処か大人びていた。そして人と関わることが好きではなく、本を読むのが大好きな少年であった。
そこでノワールはパーティー会場を抜け出し、1人薔薇の庭が美しいガゼボで本を読んでいた。その本はノワールの最近のお気に入りで少年が船に乗って世界を巡る旅に出る話だった。
夢中になって本を読み続けている時、ふと声を掛けられた。
「ねぇ、ここで何してるの?」
普段のノワールなら聞こえないふりをして無視するところだったが、この時ばかりは違った。あまりにもその声が可愛らしく、誰が声を掛けて来たか気になったからだ。
そして顔を上げたノワールの目の前には…金色に光り輝く長い髪に、零れ落ちそうなほど大きな青い目のそれはとても愛らしい少女。
ヒルダが立っていたのだ―。
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