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32 電話の後で・・・
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キャロルは・・・私の質問に何と答えるのだろうか・・?
『ああ、これからもあの子と宜しく頼むわねって言われたことね?』
「え?」
『もちろん、おば様に言われるまでもないじゃない。私とテアはお互いおばあちゃんになってもずーっと友達よ?』
「え、ええ・・・そうね。キャロル。」
何だ・・・私の聞き間違いだったんだ・・・。あの事と、あの子の・・・。良かった・・変に母とキャロルの関係を勘ぐってしまった自分がおかしくなって、笑いがこみあげてきた。
「ふふ・・ふふっ」
『どうしたの?テア。急に笑い出したりして・・。』
受話器越しからキャロルの声が聞こえてくる。
「ううん、何でもない・・・。でも・・好きよ、キャロル。私・・貴女の事が。」
『どうしたの?テアったら・・。ふふ。でも、私もテアが大好きよ。だから・・守ってあげるからね?』
「ええ、私も・・キャロルは大切な親友だから・・何か困ったことがあったら守ってあげる。」
『フフ・・それは頼もしいわね・・。あ、ところでテア。明日はどうやって大学へ行くの?』
突然キャロルが話の話題を変えてきた。
「明日?明日は普通に馬車で大学へ行くけど?」
『1人で行くつもりなの?』
「ええ、勿論・・そうよ?」
『腕を怪我しているのに1人で馬車の乗り降りは出来るの?荷物もあるのに・・誰か付き添ってくれる人がいた方が良いのじゃないの?』
「大丈夫よ、だってショルダーバックなんだもの。1人で平気よ。それに付き添いも必要ないわよ。御者の人の手を借りれば良いのだから。」
『だけど・・・。うん、そうね・・・。きっと大丈夫ね。分かったわ。テア。それでね、明日・・・大学が終わったら私の住む女子寮に遊びに来ない?』
「え?寮生じゃないのにお邪魔して大丈夫なの?」
『ええ、同じ女子なんだもの。大丈夫よ。』
「分かったわ。楽しみにしてる。」
『ええ、私も明日は・・・とても楽しみだわ。それじゃあね、テア』
「ええ、おやすみなさい。」
そして私たちは電話を切った―。
電話を切って自室へ戻る為に廊下を歩いていると、不意に背後から母に声を掛けられた。
「テア。」
「何?お母さん。」
私は振り向くと返事をした。
「明日は一緒に朝食を食べましょう。」
「え?」
私は母の突然の言葉に耳を疑った。なぜなら母はとても食が細く、朝はいつもスープだけなので、食卓に顔を出すことが無かったからだ。
「あら?何?その意外そうな顔は・・。」
「だ、だって・・お母さん、いつも朝食を食べない人だから・・・。」
すると母は再び私の怪我をしている右腕を見ると言った。
「貴女、利き腕を怪我しているから、夕食を食べるのも大変だったと聞いてるわ。だから明日の朝は食事をするの手伝ってあげるわよ。」
「え・・?」
流石に18歳になって、口を開けて食べ物を入れてもらうのは恥ずかしい。
「い、いいわよ。お母さん・・・。明日は片手で食べられるサンドイッチにしてもらうから・・。」
「サンドイッチだけでは駄目よ。他のものも食べないと。もしかして私が食べさせるのは嫌なのかしら?他の人ならいいの?」
母は何故か向きになって言う。
「そんな、まさか・・・。」
他の人って一体誰の事?一瞬私の脳裏にヘンリーの事が頭に浮かんで・・消えた。彼が私に恋人同士みたいに食べさせてくれる・・・等してくれるはずがない。他ならぬキャロルでもない限り・・・。
「どうしたの?テア。突然黙ったりして・・まさかやっぱり他に食べさせてもらいたい人がいるのかしら?」
私はため息をつくと言った。
「まさか・・・そんな人いないわ。それじゃ・・お母さん。明日の朝食・・食べさせて下さい。」
「ええ、分かったわ。それじゃおやすみなさい、テア。」
「はい、お母さん。おやすみなさい・・。」
挨拶をすると私は改めて部屋へと向かった。
そして翌朝・・・・
私は本当に朝食を食べさせて貰う事になった。
しかも食べさせてくれる相手はヘンリーであり、彼のエスコートで馬車に乗って大学へ行く事になるとは・・この時の私は思いもしていなかった―。
『ああ、これからもあの子と宜しく頼むわねって言われたことね?』
「え?」
『もちろん、おば様に言われるまでもないじゃない。私とテアはお互いおばあちゃんになってもずーっと友達よ?』
「え、ええ・・・そうね。キャロル。」
何だ・・・私の聞き間違いだったんだ・・・。あの事と、あの子の・・・。良かった・・変に母とキャロルの関係を勘ぐってしまった自分がおかしくなって、笑いがこみあげてきた。
「ふふ・・ふふっ」
『どうしたの?テア。急に笑い出したりして・・。』
受話器越しからキャロルの声が聞こえてくる。
「ううん、何でもない・・・。でも・・好きよ、キャロル。私・・貴女の事が。」
『どうしたの?テアったら・・。ふふ。でも、私もテアが大好きよ。だから・・守ってあげるからね?』
「ええ、私も・・キャロルは大切な親友だから・・何か困ったことがあったら守ってあげる。」
『フフ・・それは頼もしいわね・・。あ、ところでテア。明日はどうやって大学へ行くの?』
突然キャロルが話の話題を変えてきた。
「明日?明日は普通に馬車で大学へ行くけど?」
『1人で行くつもりなの?』
「ええ、勿論・・そうよ?」
『腕を怪我しているのに1人で馬車の乗り降りは出来るの?荷物もあるのに・・誰か付き添ってくれる人がいた方が良いのじゃないの?』
「大丈夫よ、だってショルダーバックなんだもの。1人で平気よ。それに付き添いも必要ないわよ。御者の人の手を借りれば良いのだから。」
『だけど・・・。うん、そうね・・・。きっと大丈夫ね。分かったわ。テア。それでね、明日・・・大学が終わったら私の住む女子寮に遊びに来ない?』
「え?寮生じゃないのにお邪魔して大丈夫なの?」
『ええ、同じ女子なんだもの。大丈夫よ。』
「分かったわ。楽しみにしてる。」
『ええ、私も明日は・・・とても楽しみだわ。それじゃあね、テア』
「ええ、おやすみなさい。」
そして私たちは電話を切った―。
電話を切って自室へ戻る為に廊下を歩いていると、不意に背後から母に声を掛けられた。
「テア。」
「何?お母さん。」
私は振り向くと返事をした。
「明日は一緒に朝食を食べましょう。」
「え?」
私は母の突然の言葉に耳を疑った。なぜなら母はとても食が細く、朝はいつもスープだけなので、食卓に顔を出すことが無かったからだ。
「あら?何?その意外そうな顔は・・。」
「だ、だって・・お母さん、いつも朝食を食べない人だから・・・。」
すると母は再び私の怪我をしている右腕を見ると言った。
「貴女、利き腕を怪我しているから、夕食を食べるのも大変だったと聞いてるわ。だから明日の朝は食事をするの手伝ってあげるわよ。」
「え・・?」
流石に18歳になって、口を開けて食べ物を入れてもらうのは恥ずかしい。
「い、いいわよ。お母さん・・・。明日は片手で食べられるサンドイッチにしてもらうから・・。」
「サンドイッチだけでは駄目よ。他のものも食べないと。もしかして私が食べさせるのは嫌なのかしら?他の人ならいいの?」
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「そんな、まさか・・・。」
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「ええ、分かったわ。それじゃおやすみなさい、テア。」
「はい、お母さん。おやすみなさい・・。」
挨拶をすると私は改めて部屋へと向かった。
そして翌朝・・・・
私は本当に朝食を食べさせて貰う事になった。
しかも食べさせてくれる相手はヘンリーであり、彼のエスコートで馬車に乗って大学へ行く事になるとは・・この時の私は思いもしていなかった―。
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