許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
62 / 77

62 今夜はお泊り

しおりを挟む
 講義開始のチャイムが鳴るギリギリに私は教室に入ることが出来た。すると階段教室の丁度真ん中の座席にキャロルとダイアナが座り、私の方に手を振っている。
すぐに2人の席へ移動し、空いているキャロルの隣に座ると早速私に尋ねてきた。

「どうだった?テア。ちゃんと伝えたい事は伝えてきた?」

「ええ・・多分伝わったとは思うけど・・・。」

浮かない顔の私を見てダイアナが声を掛けてきた。

「どうしたの?何かあったの?」

「ええ・・私、ついにやってしまったわ。」

ため息をつきながら言う。

「え?やったって・・・何を?」

キャロルが首を傾げる。

「ええ、実はヘンリーとは噴水のある園庭で話をしたのだけど・・なかなか納得してくれなくて・・最後彼に言いたいことは全部伝えて、背中を向けて歩き始めた時に 今までの事は謝罪するから捨てないでくれって追いかけてきたのよ。」

「うわっ!何それっ!女々しいっ!」

ダイアナが露骨に嫌そうな顔をする。

「そ、それで・・・どうなったの?」

キャロルが心配そうに続きを促す。

「そうしたら私の知り合いの女子学生が、『テアッ!危ないっ!逃げてっ!』って声を掛けてくれて・・それを聞いたヘンリーが怒って、今度は彼女の方へ向かって行ったの。彼女は他に3人の女子学生たちと一緒にいたわ。」

「ええ!何それっ!最低っ!」

ダイアナが机を叩き、周囲の目が私たちに注がれ・・たまたま他の男子学生たちと座っていたニコルと視線が合い、なぜかウィンクされた。

「落ち着いて、ダイアナ・・テアから続きを聞きましょう。それで?次はどうなったの?」

「ええ、それで私は彼女たちが危ないと思って・・・ついに生卵をヘンリーの頭にぶつけてしまったのよ。」

「「え・・・?」」

その言葉を聞いたキャロルとダイアナの目が見る見るうちに見開かれ・・。

「テアッ!ついにやったのね?!おめでとうっ!」

キャロルが抱き着いてきた。ダイアナは手を叩いて喜んでいる。

「それで?ヘンリーの様子はどうだったの?」

キャロルは目をキラキラさせながら尋ねてくる。

「え、ええ・・・生卵の匂いが大嫌いなヘンリーは背後にあった噴水に服のまま飛び込んで噴水から噴き出す水で一生懸命髪の毛を洗っていたわ。周りにいた人たちは大笑いしてその様子を見ていたわ。きっと今頃ヘンリーは噴水に飛び込んだ罰として学園長に呼び出されているかもしれないわ・・。」

ため息をつきながら言った。

「まあまあ、これで少しはヘンリーも反省するんじゃないの?今までテアに散々酷い事をしてきたのだから・・・テアもそんなに落ち込むことないわよ。」

キャロルが肩をポンポン叩きながら言う。

「ええ、でも・・・ヘンリーが許婚の関係は辞めないと言ってるのよ。困ったわ・・。私は彼から離れたいのに。」

「ま!ヘンリーっていったい何考えてるのかしら?!余程一人きりになりたくないのね?」

ダイアナが腕組みしながら言う。するとキャロルが意味深な事を言った。

「大丈夫よ、テア・・・。もうすぐヘンリーの悩みが完全に解決するから・・。」

「え・・?それは一体どういう意味・・。」

そこまで言いかけた時、担任の教授が教室に入ってきたので話は中断されてしまい・・・授業に集中する頃にはキャロルの言葉を私は完全に忘れてしまっていた―。



****

キーンコーンカーンコーン・・・・

5限目までの講義が終わり、私とキャロルは一緒に帰るべく2人で並んで廊下を歩いていた。

「フフフ・・・。今夜と明日はテアの家にお泊り・・・嬉しいわ~・・。」

キャロルは私に腕を絡め、コツンと肩に頭を乗せてきた。

「ええ、私も嬉しいわ。」

すると背後から声を掛けられた。

「テア、キャロル。」

振り向くとそこにはフリーダとレオナが立っていた。声を掛けたのはレオナだった。

「相変わらず仲がいいわね、2人は。まるで恋人同士みたい。」

「こ、恋人同士なんて・・・。」

思わずキャロルを見た。するとキャロルは意味深なことを言った。

「そうね~・・・私が男だったら絶対テアを恋人にしていたのに・・残念だわ。だから譲ることにしたの。」

「「「え?」」」

私たちは一斉にキャロルを見た。

「キャロル・・・譲るって・・誰の事?まさか・・ヘンリーの事じゃないわよね?」

そんな私を見てキャロルは笑みを浮かべた。

「まさか!彼のはずないじゃない。それより早く帰りましょう。おばさまにも会っていろいろ報告したい事あるし。」

キャロルが私の腕を引っ張る。

「え、ええ。それじゃあねフリーダ、レオナ。」

私は2人に手を振った。

「ええ。また来週ね。」

「さよなら。」

フリーダとレオナも手を振る。


 こうして2人と別れた私たちは一緒に馬車に揺られて屋敷へ向かった―。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません

鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。 「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」 そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。 ——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。 「最近、おまえが気になるんだ」 「もっと夫婦としての時間を持たないか?」 今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。 愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。 わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。 政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ “白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

婚約破棄されたので、もう誰の役にも立たないことにしました 〜静かな公爵家で、何もしない私の本当の人生が始まります〜

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、 完璧であることを求められ続けてきた令嬢エリシア。 だがある日、彼女は一方的に婚約を破棄される。 理由は簡単だった。 「君は役に立ちすぎた」から。 すべてを失ったはずの彼女が身を寄せたのは、 “静かな公爵”と呼ばれるアルトゥール・クロイツの屋敷。 そこで待っていたのは―― 期待も、役割も、努力の強要もない日々だった。 前に出なくていい。 誰かのために壊れなくていい。 何もしなくても、ここにいていい。 「第二の人生……いえ、これからが本当の人生です」 婚約破棄ざまぁのその先で描かれる、 何者にもならなくていいヒロインの再生と、 放っておく優しさに満ちた静かな溺愛。 これは、 “役に立たなくなった”令嬢が、 ようやく自分として生き始める物語。

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

かつて番に婚約者を奪われた公爵令嬢は『運命の番』なんてお断りです。なのに獣人国の王が『お前が運命の番だ』と求婚して来ます

神崎 ルナ
恋愛
「運命の番に出会ったからローズ、君との婚約は解消する」  ローズ・ファラント公爵令嬢は婚約者のエドモンド・ザックランド公爵令息にそう言われて婚約を解消されてしまう。  ローズの居るマトアニア王国は獣人国シュガルトと隣接しているため、数は少ないがそういった可能性はあった。  だが、今回の婚約は幼い頃から決められた政略結婚である。  当然契約違反をしたエドモンド側が違約金を支払うと思われたが――。 「違約金? 何のことだい? お互いのうちどちらかがもし『運命の番』に出会ったら円満に解消すること、って書いてあるじゃないか」  確かにエドモンドの言葉通りその文面はあったが、タイミングが良すぎた。  ここ数年、ザックランド公爵家の領地では不作が続き、ファラント公爵家が援助をしていたのである。  その領地が持ち直したところでこの『運命の番』騒動である。  だが、一応理には適っているため、ローズは婚約解消に応じることとなる。  そして――。  とあることを切っ掛けに、ローズはファラント公爵領の中でもまだ発展途上の領地の領地代理として忙しく日々を送っていた。  そして半年が過ぎようとしていた頃。  拙いところはあるが、少しずつ治める側としての知識や社交術を身に付けつつあったローズの前に一人の獣人が現れた。  その獣人はいきなりローズのことを『お前が運命の番だ』と言ってきて。        ※『運命の番』に関する独自解釈がありますm(__)m

処理中です...