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6-23 門前の訪問者 1
――夕暮れの王都。
王宮騎士団施設の石畳の門前に、一人の青年が立っていた。
彼はレオン。
旅装姿で少し薄汚れた外套をまとい、門の向こうに広がる荘厳な建物を見上げていた。
「……とうとう、僕はここまで来てしまった……」
ポツリと呟くレオン。
ここに自分が探している銀髪の女性がいるかもしれない。
いや、いるはずだ。そう信じてミレア王国までやって来たのだから。
「サフィニア様……」
思わずその名を口にしたとき、レオンの姿を目撃した当直の騎士が近づいてきた。
「ここで何をしているのです? こちらはミレア王国直属の王宮騎士団施設ですよ。御用件は何でしょう?」
レオンは少し緊張した面持ちで、以前から考えていた嘘の話をする。
「も、申し訳ございません。僕は旅の者でレオンと申します。銀髪の女性を探しています。以前旅の途中で助けていただいた方で……南に向かうとだけ聞いていました。そして、こちらにその女性がいるかもしれないと噂で聞いて訪ねた次第です」
銀髪の女性と言う言葉に、騎士は眉をひそめた。
「……その女性のお名前は?」
「名前……は分かりません。ただ、とても優しい方でした」
うつむき加減に答えるレオン。
騎士はしばらく彼を見つめていたが……。
「こちらで少々お待ちください。隊長に確認を取ってまいります」
そう言って、騎士は建物の奥へと向かっていった――
****
夕陽が窓辺を赤く染める頃、アドニスは執務机に向かって書類に目を通していた。
――コンコン
扉がノックされ、外側から声をかけられた。
『アドニス様、少々よろしいでしょうか』
「入ってくれ」
返事をすると扉が開き、先ほどの騎士が姿を現す。
「アドニス様。不審な人物が門前に現れました。まだ青年ですが、少し薄汚れた身なりをしています。その……どうやらソフィアさんを訪ねてきたようなのですが」
アドニスの手が止まり、目が険しくなる。
「何? ソフィアさんに?」
「ええ。銀髪の女性を探していると言っています。見たところ、おとなしそうな人物で悪い男には見えませんでした。レオンと名乗っていましたよ」
「レオン……」
(この間はセザールがソフィアさんを訪ねてきた。そして今、二人は一緒に出掛けている。セザールは妻を亡くしてから再婚の話があっても、首を縦に振らなかったのに……そして今度はレオンと名乗る男が訪ねてきただと?)
アドニスは難しい顔になり、腕組みした。
(ソフィアさんがここへ来て、まだ十日足らず……それなのに、セザールだけでなく、また別の人物が訪ねてくるとは……)
メイドとは思えない気品ある立ち居振る舞い。
他の使用人の話によると読み書きも出来るし、計算もできると聞いている。
そして自分の身の上を決して語らないその姿勢はまるで何かを隠しているように思えてならない。
「……」
考え込んでいると、騎士が遠慮がちに声をかけてきた。
「……あの~、アドニス様? どうしましょう?」
アドニスは立ち上がりると、制服の襟元を整えた。
「分かった。その人物に会いに行こう。君も一緒に来てくれ」
「はっ」
こうしてアドニスは騎士を伴って、レオンの元へ向かった――
王宮騎士団施設の石畳の門前に、一人の青年が立っていた。
彼はレオン。
旅装姿で少し薄汚れた外套をまとい、門の向こうに広がる荘厳な建物を見上げていた。
「……とうとう、僕はここまで来てしまった……」
ポツリと呟くレオン。
ここに自分が探している銀髪の女性がいるかもしれない。
いや、いるはずだ。そう信じてミレア王国までやって来たのだから。
「サフィニア様……」
思わずその名を口にしたとき、レオンの姿を目撃した当直の騎士が近づいてきた。
「ここで何をしているのです? こちらはミレア王国直属の王宮騎士団施設ですよ。御用件は何でしょう?」
レオンは少し緊張した面持ちで、以前から考えていた嘘の話をする。
「も、申し訳ございません。僕は旅の者でレオンと申します。銀髪の女性を探しています。以前旅の途中で助けていただいた方で……南に向かうとだけ聞いていました。そして、こちらにその女性がいるかもしれないと噂で聞いて訪ねた次第です」
銀髪の女性と言う言葉に、騎士は眉をひそめた。
「……その女性のお名前は?」
「名前……は分かりません。ただ、とても優しい方でした」
うつむき加減に答えるレオン。
騎士はしばらく彼を見つめていたが……。
「こちらで少々お待ちください。隊長に確認を取ってまいります」
そう言って、騎士は建物の奥へと向かっていった――
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夕陽が窓辺を赤く染める頃、アドニスは執務机に向かって書類に目を通していた。
――コンコン
扉がノックされ、外側から声をかけられた。
『アドニス様、少々よろしいでしょうか』
「入ってくれ」
返事をすると扉が開き、先ほどの騎士が姿を現す。
「アドニス様。不審な人物が門前に現れました。まだ青年ですが、少し薄汚れた身なりをしています。その……どうやらソフィアさんを訪ねてきたようなのですが」
アドニスの手が止まり、目が険しくなる。
「何? ソフィアさんに?」
「ええ。銀髪の女性を探していると言っています。見たところ、おとなしそうな人物で悪い男には見えませんでした。レオンと名乗っていましたよ」
「レオン……」
(この間はセザールがソフィアさんを訪ねてきた。そして今、二人は一緒に出掛けている。セザールは妻を亡くしてから再婚の話があっても、首を縦に振らなかったのに……そして今度はレオンと名乗る男が訪ねてきただと?)
アドニスは難しい顔になり、腕組みした。
(ソフィアさんがここへ来て、まだ十日足らず……それなのに、セザールだけでなく、また別の人物が訪ねてくるとは……)
メイドとは思えない気品ある立ち居振る舞い。
他の使用人の話によると読み書きも出来るし、計算もできると聞いている。
そして自分の身の上を決して語らないその姿勢はまるで何かを隠しているように思えてならない。
「……」
考え込んでいると、騎士が遠慮がちに声をかけてきた。
「……あの~、アドニス様? どうしましょう?」
アドニスは立ち上がりると、制服の襟元を整えた。
「分かった。その人物に会いに行こう。君も一緒に来てくれ」
「はっ」
こうしてアドニスは騎士を伴って、レオンの元へ向かった――
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