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6-24 門前の訪問者 2
レオンは門前でじっと待っていた。
夕暮れの風が少し冷たくなり始めてき頃。
騎士とともにアドニスが現れた。彼は威厳ある雰囲気をまとい、まっすぐレオンの前にやって来た。
「どうも、お待たせしました。私はこの王宮騎士団隊長、アドニスです。銀の髪の女性を探しているそうですね?」
レオンは会釈すると、名乗った。
「……初めまして、レオンと申します」
「確かに銀の髪の女性はここにおりますが……あなたが探している女性と同一人物なのでしょうか? その女性の名前は?」
「名前は……分からないのです。聞いていないので……」
サフィニアの名を口にしてはいけないことを、レオンは理解していた。
「そうですか……」
アドニスは一歩踏み出し、声の調子をわずかに低くした。
「失礼ですが、その銀髪の女性とあなたは一体、どういう関係なのですか? 名前も知らない相手を探してここまで来る理由は何ですか?」
レオンは少しだけ目を伏せ、言葉を選びながら答えた。
「……旅の途中で財布を落としてしまい……途方に暮れていた時でした。銀髪の女性が声をかけてくださったのです。『お金は返さなくていいから』と、少しだけ貸してくださったんです。さらに、食べ物まで分けてくださいました……」
また一つ、嘘をついてしまった罪悪感にレオンの胸が痛む。
「その女性は名前も告げず、ただ南に向かうとだけ、教えてくれました。それだけが手がかりでした。助けてもらったお礼を伝えたくて、ここまで来ました」
「……」
アドニスはしばらくレオンを見つめていた。
瞳の奥に、探るような光を宿し――
****
――時を遡ること少し前。
サフィニアとセザールは王宮騎士団施設へ向かう馬車の中にいた。
「今日は本当にありがとう、セザール。とても楽しかったわ」
セザールに笑顔を向ける。
「そうおっしゃっていただけると嬉しいです。また、今日みたいにお誘いしても良いでしょうか?」
「それは……」
サフィニアは言葉に詰まった。
セザールとの外出は、とても楽しかった。けれど彼は自分のことを知る人物だ。
公女だったこと、父に見捨てられたこと。ヘスティアとジルベールのこと、そして偽装死をして逃げたこと。
セザールと一緒にいると、それらの感情が沸き上がってくる。すると……。
「申し訳ありません。僕が今日楽しかったので、ついまたサフィニア様をお誘いしたくなってしまいました。サフィニア様の気持ちも考えず、申し訳ございません」
謝罪するセザールの顔はどこか悲しげだ。
「そんな、謝らないで。私だって今日はセザールと一緒にお出掛けすることができてとても楽しかったもの。た、ただ……私はメイドだし、そんなにしょっちゅう出掛けるわけには、いかないでしょう?」
それは苦しい言い訳だった。セザールもそのことに気付いているのだろう。
「確かにおっしゃる通りですね。なら一月に一度くらいならお誘いして良いですか?」
「そうね。それくらいならいいわ」
頷くサフィニア。
「ありがとうございます、サフィニア様。もうじき王宮騎士団施設にも到着しますね……おや?」
窓の外に目を向けたセザールが首を傾げる。
「どうかしたの?」
「はい、門前にアドニス様がいらっしゃいますね。誰かと一緒です。あの人物は……誰でしょう……?」
サフィニアも窓に目を向け……瞬間血の気が引いた。
「う、うそ……そんな……レオンさん……?」
サフィニアの顔が青ざめた――
夕暮れの風が少し冷たくなり始めてき頃。
騎士とともにアドニスが現れた。彼は威厳ある雰囲気をまとい、まっすぐレオンの前にやって来た。
「どうも、お待たせしました。私はこの王宮騎士団隊長、アドニスです。銀の髪の女性を探しているそうですね?」
レオンは会釈すると、名乗った。
「……初めまして、レオンと申します」
「確かに銀の髪の女性はここにおりますが……あなたが探している女性と同一人物なのでしょうか? その女性の名前は?」
「名前は……分からないのです。聞いていないので……」
サフィニアの名を口にしてはいけないことを、レオンは理解していた。
「そうですか……」
アドニスは一歩踏み出し、声の調子をわずかに低くした。
「失礼ですが、その銀髪の女性とあなたは一体、どういう関係なのですか? 名前も知らない相手を探してここまで来る理由は何ですか?」
レオンは少しだけ目を伏せ、言葉を選びながら答えた。
「……旅の途中で財布を落としてしまい……途方に暮れていた時でした。銀髪の女性が声をかけてくださったのです。『お金は返さなくていいから』と、少しだけ貸してくださったんです。さらに、食べ物まで分けてくださいました……」
また一つ、嘘をついてしまった罪悪感にレオンの胸が痛む。
「その女性は名前も告げず、ただ南に向かうとだけ、教えてくれました。それだけが手がかりでした。助けてもらったお礼を伝えたくて、ここまで来ました」
「……」
アドニスはしばらくレオンを見つめていた。
瞳の奥に、探るような光を宿し――
****
――時を遡ること少し前。
サフィニアとセザールは王宮騎士団施設へ向かう馬車の中にいた。
「今日は本当にありがとう、セザール。とても楽しかったわ」
セザールに笑顔を向ける。
「そうおっしゃっていただけると嬉しいです。また、今日みたいにお誘いしても良いでしょうか?」
「それは……」
サフィニアは言葉に詰まった。
セザールとの外出は、とても楽しかった。けれど彼は自分のことを知る人物だ。
公女だったこと、父に見捨てられたこと。ヘスティアとジルベールのこと、そして偽装死をして逃げたこと。
セザールと一緒にいると、それらの感情が沸き上がってくる。すると……。
「申し訳ありません。僕が今日楽しかったので、ついまたサフィニア様をお誘いしたくなってしまいました。サフィニア様の気持ちも考えず、申し訳ございません」
謝罪するセザールの顔はどこか悲しげだ。
「そんな、謝らないで。私だって今日はセザールと一緒にお出掛けすることができてとても楽しかったもの。た、ただ……私はメイドだし、そんなにしょっちゅう出掛けるわけには、いかないでしょう?」
それは苦しい言い訳だった。セザールもそのことに気付いているのだろう。
「確かにおっしゃる通りですね。なら一月に一度くらいならお誘いして良いですか?」
「そうね。それくらいならいいわ」
頷くサフィニア。
「ありがとうございます、サフィニア様。もうじき王宮騎士団施設にも到着しますね……おや?」
窓の外に目を向けたセザールが首を傾げる。
「どうかしたの?」
「はい、門前にアドニス様がいらっしゃいますね。誰かと一緒です。あの人物は……誰でしょう……?」
サフィニアも窓に目を向け……瞬間血の気が引いた。
「う、うそ……そんな……レオンさん……?」
サフィニアの顔が青ざめた――
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